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(その1)の続き
便乗質問ですが。
・無次元距離の「1」、「6」は、どうやって導出するのでしょうか。
・
>「吹き下げ」があります。ここに微小な翼をおけば、後方翼の影響を受ける
ダウンウォッシュの効果は前述の「1」「6」には含まれないのでしょうか。
やや、矛盾がかんじられるように思います。
じゃま
9.じゃま様
いつぞやは私のヘマな書き込みを、少しは役に立つ方向に導いて頂き有難うございました。
今回も、短く書いて不正確な書き方になったこと反省しております。
無次元距離について
スタッガーをもつ複葉機において前翼と後翼の距離を、機体の首尾軸と上下軸を含む平面における前翼と後翼の断面図における、両者の前縁と前縁の距離を、有次元距離とします。なおスタッガーがほぼ零の場合には、前翼と後翼の上下方向距離が有次元距離になります。
無次元距離は、有次元距離を 7項で書いた後翼の代表寸法で除したものです。
仮に後翼が矩形翼とし、その翼弦長が1m、翼幅が8mであれば、翼面積は8m^2
であり、片翼面積は4m^2、その平方根である代表長さは2mです。
「蛇足ですが・・・・吹き下げ(ダウンウォッシュ」の部分について
この部分の趣旨は、次のように具体的に書き換えて明確にしておきます。
なお後翼の寸法は前述のものを再度使います。この後翼の前方首尾軸方向2m(無次元距離=1)の位置に微小翼を置けば、後翼による吹き下げによって前方翼の有効迎角が更に小さくなるのは明らかでしょう。従って後方の翼は前方の翼に影響を与える、と言う意味です。
ところが、単葉機にだけ詳しい人に「うん、うん」といって貰いたくて「吹き下げ」と言う用語を選んだのは大間違いで、複葉の干渉については自由渦(後縁渦)の他に翼に束縛された束縛渦(翼回りの循環)によって生じる速度もまじめに取り扱う必要があり、上記の前方に置いた微小翼の有効迎角は大きくなるが正しいだろうと定性的に考えている次第です。
如風
10.たーぼふぁん様の質問に対する回答の流れを止めてしまったので、私も回答したいと思います。ただし仮説程度の物ですので、大いに突っ込んでください。
なお、画像検索したところ本機は上翼にも下翼にもエルロンを装備しているように見えますので、エルロンの効きは十分だったのではないかと。
回答は、上翼に後退翼を採用たとき機体の方向安定と運動性の向上は同時に実現された説です。(歴史的には視界確保を狙って上翼を後退翼にしたら、予想外に運動性がよかった、と言う順かも知れませんが)
回答の理由は99艦爆の試験経緯に見られます。
先ずは宙返りの頂上付近での不意自転に悩まされた。 この対策として翼端付近の翼前縁を、スラットを作動させた状態においてスロットをガムテープで塞いだような形状にして、捩り下げを与え問題を解決した。
しかし、宙返りの登り経路において左右によれる傾向がひどかったため、ドーサルフィンで方向安定を増した。
この二つの対策で、運動性において満足のいく機体に仕上がった、というものです。
複葉機は大きな迎角を取ったときに垂直尾翼が主翼の陰に入りやすく、後退翼による方向安定は有り難かったのではと考える次第です。
如風
11.たーぼふぁん様
ご質問の本文にある「著しい後退角」は、3項のたーぼふぁん様の解釈と関係すると思います。必要があれば後で触れます。
如風
12.超音速さま、じゃま様、如風さま。
皆様、詳しい解説をいただきありがとうございます!
皆様のご議論を拝見させていただきまして、航空力学はやはり難しいものだと痛感いたしております。
>11.如風さま
>必要があれば後で触れます。
ぜひ、お願いいたします。
たーぼふぁん
13.>12.有難うございます。 >3.は「翼根で大きいいスタッガー、翼端でスタッガー零 従って翼端で上下翼の干渉が少ない」と読ませて頂きました。
ここでは、機体の運動性と安定性が主題ですから、世傑47.の「著しい後退翼」は、九六艦戦以前の機体で捩り下げは期待できないので、翼端失速に対する不安を慮ってのことではないかと邪推しまして、少々触れた方が良いと思った次第です。 但し、議論の口火を切る程度のものでしかないのですが・・・。
複葉の干渉は、二つの翼に二組の翼端渦ができ、任意の一つの翼に二組の翼端渦が作用するために、一つの翼の「吹き下げ」が大きくなり、有効迎角が小さくなるため、同一翼面積の単葉機と同じ揚力を得るためにはより大きな幾何学的迎角を必要とするので抗力が大きくなる、おおまかにはこの程度で解釈できそうです。
ここでは翼に拘束された束縛渦に着目し、翼を束縛渦で代表させた近似をします。翼に対し左方向から機体の速度の一様流れが流入するものとすれば、束縛渦の回転方向は時計回りです。
この場合複葉の一方の翼を基準としてその渦は、もう一方の翼が前方にあれば巻き上げ流れを誘起し有効迎角を大きくし、後方にあれば巻下げ流れを誘起します。
(「吹き下げ」は後縁渦に関連する技術用語のようで、巻上げ下げを使いました)
九五水偵の後退翼(上翼)については、翼根で有効迎角が増加し、翼端では有効迎角の増加も減少もない、と作用することになります。
なお、下翼はこの逆の作用を受けます。
この効果は上翼について次のように整理されます。 基本的に矩形翼は翼根失速型の揚力分布をしているが、後退角のため翼端失速型の揚力分布に寄せられ(NACA-TM-1120)、複葉後退翼効果で再び翼根失速型の揚力分布に寄せられる。
結果として、上翼も下翼も、著しくない後退翼の揚力分布になっているのではないかと考えます。従って、上翼の見かけほどは翼端失速しにくい。
また後退翼における境界層吹き寄せ効果による翼端失速に対しても、揚力分布の修正が失速防止効果を有しているのではないかと。
最後に、やや書きすぎた思いもありますので、「F86が翼端失速しない理由は」などの修正を頂ければ、幸いです。
ついでの質問ですが、九五水偵の翼面の波板は境界層フェンスのような効果があるのでしょうか?
如風
14.如月さん
翼を束縛渦で近似するというのは、翼端方向の循環を一定とするモデルのことでしょうか。
じゃま
15.じゃま様
はい。 >13.は、簡単な循環一定のモデルでの説明です。
但し、相手翼の特定の翼断面に与える速度は、束縛渦の長さに渡る積分の結果であるとの認識はあるものの、最も近い翼断面同士の関係としか読めない書き方になっています。
このため、効果をやや過大に表す書き方になりました。 「やや書きすぎた」は、そういう思いです、
如風
16.如月さん
如月さんの提示されたモデルは、馬蹄渦モデルの中で最も基本的なものだとおもいます。
二次元翼と三次元翼の考え方を混乱させてしまうところがありますね。
「効果を過大に表す書き方」と如月さんご自身でも理解されています。
循環は一定としているが、揚力分布を考えるとか、翼どうしの干渉なのか、翼断面どうしの干渉なのか、近似のやりかたが、むずかしいと思います。
じゃま
17.じゃま様
設計屋がある装置の一部改造によって性能改善を実施する場合、最初の段階に幾つかのアイデアの有効性を比べるときに、詳しく分かっている元の装置の性能を基準にして各アイデアを単純なモデルにして、元の性能より10パーセント性能が上がるとか5パーセント性能が下がるとかを見積って、アイデアを絞ることがあります。
>13.のやり方はこのやりかたに似ています。
単葉矩形翼の翼幅方向の揚力分布については、我々はかなり制度のいい理論式によるグラフあるいは実験結果のグラフを目にしたことがあり、およそよく知っていると言えます。
そこでこの揚力分布を基準として、複葉翼の場合に簡単な馬蹄形渦糸モデルを用いて、翼根では揚力がやや増えるかあるいは減るか、翼根では・・・を調べているわけです。
こんな簡単なモデルでも、>2で超音速様が引用してくださったA&Q においてさらりと書かれている、正のスタッガーをもつ複葉機では上翼が失速しやすい理由をちゃんと説明できるのです。
これに対し500行の式とグラフを並べて、これこの通りとやる方法もあるでしょうが、この場はそのような場ではないと思います。
如風
18.>17.の最終行について補足しておきます。 実例があるのです。教科書では50行程度の式で纏められている揚力線理論を500行も費やして、懇切丁寧に説明してくれているサイトが。 私も大変お世話になっています。
fnorio.com
よろしければ、皆様参照してください。
如風
19.URLが不正確でした。
http://fnorio.com/#6
如風
20.>13では循環は翼幅方向に一定だと書いてあります。
それなら揚力も一定なはずです。
妙だと思いました。
やはり揚力曲線モデルを持ち出さないと、揚力分布は説明できないから、方針転換したのだと思います。
それでなお、間違っているのは、翼端渦はそれほど大きくならないということです。
教科書ではわかりやすいように大きく書いていますが、実際は小さなものです。
翼端渦が大きいというのは抗力が大きく損失がおおきいことだから。
これは避けるように設計する。
>正のスタッガーをもつ複葉機では上翼が失速しやすい
だから、そんなことはありえない。
翼端渦は、翼どうしが干渉を起こすほどの角運動量はもっていない。
超音速さんの引用した過去ログSchampさんの記述はあちこち間違っています。
翼どうしの干渉が起きたらめちゃくちゃになったはずです。
時代は1930年代の日本で、三次元翼理論なんて知らなかったはずです。
ご紹介いただいたサイトを拝見しましたが、これ、素人さんでしょう。
ここのお題である複葉機に関係したことはほとんど書いてない。
そんなに正確でもない。
如月さんは、このサイトをネタ元に揚力曲線理論を知ったから、引用したのでしょう。
じゃま
21.申し訳ありませんが、渦についての基本であるヘルムホルツの法則に矛盾しないようにお説を修正していただけないと、なんともコメントできません。
如風
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