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> この計画の戦艦建造予定数は10隻ですので、八八艦隊に対抗することを考えた場合、米国も巡洋戦艦を艦隊決戦に使うつもりであると考えた方が自然であると思います。
> そこで質問なのですが、米国が巡洋戦艦を艦隊決戦に使うつもりであったとすると、なぜあれほどペラペラの装甲で計画したのでしょうか?
> それとも、米国は巡洋戦艦を他の任務に使うつもりだったのでしょうか?
用途は英海軍と同じでしょう。
つまり、艦隊決戦には投入するけど戦艦とは殴り合わない・・・です。具体的には主な任務は偵察や索敵で、発見した敵が巡洋艦以下ならば大火力を活かしてこれを掃討。戦艦ならば味方に位置を通報しつつ速力を活かして遁走。戦艦に対しては牽制や擾乱程度の攻撃はするけど、本気でがっぷり四つに組んでまともにぶつかることはしない。戦艦の相手は戦艦がする。そして戦いが終わったら高速力と大火力を活かして残敵を掃討する。
巡洋戦艦という艦種が構想されていた段階から、巡洋戦艦が戦艦とぶつかれば巡洋戦艦が沈むってことは織り込み済みなんです。巡洋戦艦は「戦艦」とは言われていますし戦艦の一種にカテゴライズされてますが、本来は大型の巡洋艦なんですよ。海軍軍縮会議以前は実際に「巡洋艦」として扱われていました。それが戦艦と同等の火力を持っていたせいで、海軍軍縮会議の中で規制対象となる戦艦を定義づける過程で戦艦の一種としてカテゴライズされるようになっていったものなんです。だから、本来の使い方は巡洋艦そのものなんです。
だからユトランド沖海戦で明らかになった「巡洋戦艦の脆弱性」とは、巡洋戦艦の防御力の弱さのことではなく(そんなものは上述したように構想段階で織り込み済み)、巡洋戦艦は構想通りに敵を選んで戦うことなんてできず戦艦とも殴り合わないといけないから現実には生き残れないってことなんです。
高速だから敵戦艦を避けて巡洋艦以下の敵を一方的に狩れるって話だったのに、結局それができずに戦艦と戦わなきゃいけないなら戦艦より高い巡洋戦艦なんて割に合わなくね?・・・っていうのがユトランド沖海戦後の巡洋戦艦の評価です。
だから、「巡洋戦艦は有用だ」という評価をWW1後も維持し続けるためには、WW1で「巡洋戦艦が戦艦とまともに戦った」という状況を生起させたら駄目でしょう。巡洋戦艦が戦艦と撃ちあわなければならなくなった時点で、巡洋戦艦の評価は改めざるを得なくなるんです。おそらく、相手が戦艦じゃなくて巡洋戦艦同士だったとしても同じでしょう。
巡洋戦艦は高速だから鈍足の戦艦との戦いは避けることができる。そして大火力を持っているから巡洋艦以下の艦艇を一方的に狩ることができる。・・・これを立証する実績がWW1で残らなければ、WW1後に「巡洋戦艦は有用」という評価は残らないと思います。
そのために歴史を改変しようと思ったら当然ながらユトランド沖海戦の展開はまったく違ったものにするか、ユトランド沖海戦そのものを生起させなくする必要があるでしょうし、それ以上に巡洋戦艦が巡洋艦以下の敵艦艇を狩りまくったり、高速と火力を活かして敵拠点を艦砲射撃で一撃離脱するような史実では起こらなかった大活躍を加えてやる必要が出てきます。(ただし、この活躍をする巡洋戦艦は英海軍のものでなければならないわけではありません。)
すでにお分かりとは思いますが、ちょっとやそっとの歴史改変では成立しません。かなり大規模な改変が必要になります。
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