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 ▼帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  TAKA 03/4/25(金) 21:16
   ┣Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ねんど 03/4/25(金) 23:09
   ┃  ┗Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  TAKA 03/4/26(土) 8:13
   ┃     ┗Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ねんど 03/4/26(土) 12:16
   ┣Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  いちょう 03/4/26(土) 0:33
   ┣戦時急造ならば  大名死亡 03/4/26(土) 12:34
   ┃  ┣Re:戦時急造ならば  ねんど 03/4/26(土) 13:28
   ┃  ┣小型空母は使えない  BUN 03/4/26(土) 18:27
   ┃  ┃  ┣Re:小型空母は使えない  ルージュ 03/4/26(土) 22:59
   ┃  ┃  ┗Re:簡易航空母艦案  TAKA 03/4/26(土) 23:16
   ┃  ┃     ┗一番簡単に航空戦力を整えるのなら・・・  ルージュ 03/4/26(土) 23:59
   ┃  ┗コロッサスって戦時急造には失敗してるような・・・。  ルージュ 03/4/26(土) 23:20
   ┣Re:「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か?  TAKA 03/4/27(日) 11:39
   ┃  ┣Re:「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か?  ルージュ 03/4/27(日) 13:24
   ┃  ┗Re:「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か?  いちょう 03/4/27(日) 19:53
   ┃     ┗Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  TAKA 03/4/27(日) 22:05
   ┃        ┗Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  いちょう 03/4/27(日) 22:55
   ┃           ┗Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  TAKA 03/4/28(月) 9:39
   ┃              ┣Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  SUDO 03/4/28(月) 11:35
   ┃              ┗空母増勢計画の実態  BUN 03/4/28(月) 12:23
   ┃                 ┗Re:空母建艦計画に関する疑問  TAKA 03/4/28(月) 23:15
   ┃                    ┗Re:空母建艦計画に関する疑問  SUDO 03/4/28(月) 23:55
   ┃                       ┗Re:空母建艦計画に関する疑問  ねんど 03/4/29(火) 4:20
   ┃                          ┣Re:空母建艦計画に関する疑問  mikey 03/4/29(火) 17:28
   ┃                          ┣Re:空母建艦計画に関する疑問  SUDO 03/4/29(火) 17:49
   ┃                          ┣Re:空母建艦計画に関する疑問  ルージュ 03/4/29(火) 19:42
   ┃                          ┗納得  ねんど 03/4/30(水) 1:04
   ┗Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  木 03/4/28(月) 20:10

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 ■題名 : 帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?
 ■名前 : TAKA
 ■日付 : 03/4/25(金) 21:16
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    表題にもありますが、帝国海軍は太平洋戦争中に急造の正規空母として「改飛龍級」の
雲竜級を6隻着工して一部完成していますが、果たして戦時急造空母として「改飛龍級」
は適当だったのでしょうか?
 帝国海軍の戦時急造空母の候補としては「改飛龍級」「改大鳳級」と計画にはない
「翔鶴級」の3つが考えられたと思います。その中で現実的には「改飛龍級」(飛龍級の
スペックダウンバージョン)が建造され「改大鳳級」は計画にとどまりましたが、
果たしてこの選択は好ましい策であったのでしょうか?

 IFの話ではありますが、私は以下の様に考えます。
1. 「改飛龍級」は搭載機数の面でも中途半端であったのではないだろうか?
2. 「改大鳳級」の様な装甲空母は必要であったのであろうか?
 (アメリカのエセックス級が装甲空母でないにのに、開放式格納庫や
 優れたダメコン能力で浮沈空母に近い活躍をしたことから考えると・・・)
  少なくとも英のイラストリアス級装甲空母より米のエセックス級空母の
 方が優れていると言える(艦載機の機数等を総合的に考えると)
 そう考えると必ずしもより資材と建造手間のかかる装甲空母を作る
 必要性はあったのであろうか?
3. 太平洋戦争直前に就航して「太平洋戦争中の日本空母の中でのベスト空母」の
 評価が高い「翔鶴級」を建造するのが一番好ましいのではないのであろうか?
 少なくとも「翔鶴級」は米のエセックス級ほどではないにしろ、優れた空母で
 有り、「日本空母の完成形」で有ったことは間違い無いのであるから・・・
4. もし翔鶴級を継続建造していれば、同一艦形の空母の複数生産になり
 大量生産の効果や複数量生産による経験のフィードバックや設計期間の短縮等で
 もっと効率的に空母を生産できたのではないだろうか?
5. もし4.艦隊計画で大鳳級を1隻建造するのなら、3.艦隊計画の継続として
 翔鶴級をもう2隻建造していて、その後太平洋戦争の開戦後に数隻の翔鶴級を
 建造していたら昭和19年6月のマリアナ沖海戦の時には翔鶴級4隻+軽空母
 複数になっていて艦載機を100機以上増やせていた。又もう少し戦時急造空母の
 着手が早ければ、レイテ沖海戦の時には複数の戦時急造翔鶴級が誕生していた
 可能性がある。そうした方が好ましかったのではないであろうか?
 (艦載機(特に戦闘機)の古さ、搭乗員の錬度、日本の国力・生産力・経済力は
 此処では取りあえず検討外として)

 私はこの様に考えますが、皆さん如何に考えられますでしょうか?
私の拙い意見への皆さんのご教示をお待ちしております。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ■名前 : ねんど  ■日付 : 03/4/25(金) 23:09  -------------------------------------------------------------------------
   >  (艦載機(特に戦闘機)の古さ、搭乗員の錬度、日本の国力・生産力・経済力は
>  此処では取りあえず検討外として)

↑ここ、かなり重要だと思うんですけど…
実際の全てのファクターを要件に入れない事には雲龍型を量産する方針を立てた史実の選択を批判する事ができないと思いますが…
これを無視するなら戦時急増云々はどうでも良くてただ日本一の空母は何か?ってだけの問題提起になってしまいませんか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ■名前 : TAKA  ■日付 : 03/4/26(土) 8:13  -------------------------------------------------------------------------
   > >  (艦載機(特に戦闘機)の古さ、搭乗員の錬度、日本の国力・生産力・経済力は
> >  此処では取りあえず検討外として)
>
> ↑ここ、かなり重要だと思うんですけど…
> 実際の全てのファクターを要件に入れない事には雲龍型を量産する方針を立てた史実の>選択を批判する事ができないと思いますが…
> これを無視するなら戦時急増云々はどうでも良くてただ日本一の空母は何か?ってだけ>の問題提起になってしまいませんか?

 本当は無視はしたくないのですがね・・・ 日本の国力・生産力・経済力は別に無視をしなくても良いのですが、私的には少なくとも「改飛龍級」建造と「翔鶴級」建造に
際してそんなに製造コスト的には極端に大きな差はないと考えます。
 只主機の生産力では苦しむことになる事も予想できるので、量産に関する一部改良
(改飛龍級の様に陽炎型の主機の複数搭載へ改良(改飛龍型は2基だが3基は必要?))
を行えば少なくとも改飛龍級は6隻着工3隻就航でしたが、改翔鶴級を4.艦隊計画の
大鳳級も飲み込んで作っていれば量産効果もあり6隻着工全竣工は可能だったでしょう。
少なくとも4.艦隊計画で2隻、戦時急造計画で4隻の着工は可能でしょう。
 又ドック的には横須賀・呉・佐世保の海軍工廠と川崎神戸・三菱長崎等には十分
建造可能のドックが複数有りますから建造は十分可能です。後は主機の生産能力が
足かせになる可能性は存在しますが、陽炎型主機で有れば有る程度量産可能ですから
極端な絶対的ネックにはならないでしょう。

 只就航するであろう昭和18年以降の時代の「帝国海軍の艦載機の古さ」(零戦が
グラマンに敵わない)と搭乗員の錬度(それだけ母艦があっても十分米軍に対抗できる
錬度の搭乗員が揃えられるか?)という問題は又別でしょう。
 少なくとも帝国海軍は太平洋戦争を大規模消耗戦と認識して開戦当初より
対策は取っていないですから、「母艦は有れども艦載機は使い物にならない」という
可能性は十分存在します。(実際マリアナ沖海戦の状況はその様な状況でしたから)
 しかしそれは空母の建造とは又別の問題であると考えます。ですから「取りあえず
検討の対象外」という言い方にしたのですが・・・

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ■名前 : ねんど  ■日付 : 03/4/26(土) 12:16  -------------------------------------------------------------------------
   いちょう様が指摘されている事ごもっともだと思います。
やはりクルーの能力も除外する事もできないと思います。TAKA様の言うとおりに6隻の翔鶴が出揃ったとしても一部(最後期の艦)はやはり虚しく内地に釘付けだった公算大だと思うのですが。
翔鶴を量産する時点で、もう少し戦局が楽なシミュレーションをしないといちょう様と同じ結論にたどり着いてしまいますよね。
大鳳をぶっちぎる案は良いとは思いますが、例の「アウトレンジ戦術」との絡みもあるので、当時そういう選択ができたかどうかを考えると「後知恵」の域を出ないと思います。それがありなら「大和は作らないで翔鶴もう2隻」なんてのもアリになってしまうと思うのです。どこぞの架空戦記のように指導者がタイムスリップすればそうなるのでしょうが…
確かに翔鶴を沢山造れればそれに越した事は無いのは誰しも異論ないと思います。(あるかな?)
無知な私の意見ですが、雲龍よりも更に小型で角角デザインの空母を多数作った方が良かったと思います。それから●鷹シリーズや大鳳を除く●鳳シリーズも意味合いは違いますが戦時急造艦ですよね。これらを有効活用するシミュレートの方が現実的だと思います。「空母用カタパルト実用化」なんていうお約束前提が付きますが…

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ■名前 : いちょう  ■日付 : 03/4/26(土) 0:33  -------------------------------------------------------------------------
    結果論かもしれませんが、「改飛龍型」ですら開戦後の起工では、まとまった戦力として期待することは難しかったのではないでしょうか。
 昭和18年以後、海軍の主兵(正兵)が新編第一航空艦隊をはじめとして基地空軍化していくことは、賢明であり、現実的な選択であったと思います。
 奇兵としての空母の頭数を揃えるなら、改装空母を主体にすべきであったでしょう。
 そもそも、正規空母6隻で戦争に突入した時点で、こちらは1隻も失わずに、敵の空母を撃沈し続ける以外に、光明は見出せなかったと考えます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 戦時急造ならば  ■名前 : 大名死亡 <k.u.k.koga@nifty.com>  ■日付 : 03/4/26(土) 12:34  ■Web : http://homepage2.nifty.com/daimyoshibo  -------------------------------------------------------------------------
    計画はされていませんが、イギリスのコロッサスのような、思い切って性能の低さに目をつぶった設計はできなかったものでしょうか。
 大きさ・速力は彗星がぎりぎり発艦できるだけにして、搭載機30機くらい。
 それとも、彗星・流星・天山が運用できる最低限の大きさ・機関性能が雲竜なんですかね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:戦時急造ならば  ■名前 : ねんど  ■日付 : 03/4/26(土) 13:28  -------------------------------------------------------------------------
   >  それとも、彗星・流星・天山が運用できる最低限の大きさ・機関性能が雲竜なんですかね。

通説ではそういう事になってますよね。それもこれも要はカタパルトが無いのが困った事じゃないですか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 小型空母は使えない  ■名前 : BUN  ■日付 : 03/4/26(土) 18:27  -------------------------------------------------------------------------
   >  計画はされていませんが、イギリスのコロッサスのような、思い切って性能の低さに目をつぶった設計はできなかったものでしょうか。
>  大きさ・速力は彗星がぎりぎり発艦できるだけにして、搭載機30機くらい。
>  それとも、彗星・流星・天山が運用できる最低限の大きさ・機関性能が雲竜なんですかね。

ミッドウェー直後に航空本部案として簡易な航空母艦案が提出されていますが、この艦の要目はこと飛行機の搭載設備に関してはかなり贅沢なものです。これは当時の航空本部が飛行機の運用上、最低限必要と考えた飛行甲板の規模、艦の速力を示しています(想像ではなく確認できるという事です)。航空本部は小型空母に対して殆ど期待していないのです。

私は戦時急造空母に何が適していたか、というような話題よりも「雲龍はなぜ建造されたのか?」に興味を覚えます。
旧式機を運用してさえスペース的に不自由があり、帰還した攻撃隊の補給作業も滞る傾向にあった飛龍型をなぜあの時点で一隻建造したのでしょう。予算上、大鳳型から切り詰めて飛龍型となったと説明されてはいますが、既に大鳳型と翔鶴型の優劣が検討され、翔鶴型では今後の戦闘に耐えられず、大鳳型を日本海軍航空母艦のスタンダードとする方向性があった時期に、何故、更に旧式な飛龍型の建造が計画されたのか。最近はそんな事を考えています。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:小型空母は使えない  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 03/4/26(土) 22:59  -------------------------------------------------------------------------
   >雲龍はなぜ建造されたのか

全くの想像の話になるので恐縮なのですが…
開戦前にマル五計画で中型航空母艦が計画された頃の航空母艦の陣容で、一番小型の空母である龍譲の代艦として計画されたという線はないのでしょうか?
既に龍譲は運用に色々問題を抱えていたようですし、この時期に代艦を建造すれば新型機の運用開始に間に合わせる事が出来そうです。
同型艦については空母予備艦を艦隊航空戦力としは見切りを付けた結果とも思えますね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:簡易航空母艦案  ■名前 : TAKA  ■日付 : 03/4/26(土) 23:16  -------------------------------------------------------------------------
   > ミッドウェー直後に航空本部案として簡易な航空母艦案が提出されていますが、
>この艦の要目はこと飛行機の搭載設備に関してはかなり贅沢なものです。これは
>当時の航空本部が飛行機の運用上、最低限必要と考えた飛行甲板の規模、艦の速力を
>示しています(想像ではなく確認できるという事です)。航空本部は小型空母に
>対して殆ど期待していないのです。

☆ 航空本部大西総務部長の「航空母艦整備方針に関する意見」に出ている航空母艦
 の事ですね?この意見にしろ、艦政本部がマリアナ海戦後に出している
 工期10ヶ月で完成の簡易空母案も、基本的には隼鷹級に近い感じの空母ですね。
  「戦時急造空母」と完全に割り切るのなら、「翔鶴級」なんか贅沢で逆に
 翔鶴級のすぐ後に竣工した準商船改造空母の隼鷹級をスペックダウン改良した
 空母に完全に割り切ることが必要であったのかもしれません。工事期間は
 艦政本部の案を参考にしても1年ちょっとで完成しますから、雲竜の着工した
 17年8月に着手しても18年末には戦力化できると言うスピードも魅力です。
  英のコロッサス級の話も出ていましたが、有る程度性能を割り切った急速建造
 空母という点では発想は上記の2案も似ています。
  上記航空本部案は「所要最低限の速力と飛行甲板を有する運搬艦で、戦後は
 貨物船として利用するか、そのまま廃棄する様な考えで良く、航空母艦としての
 既成観念を捨て去るべきだ」と書いているそうですが、まさしく「戦時急造空母」
 にはこの様な割り切りが必要なのかもしれません。
  そう考えると「改飛龍級」も私の言いだした「翔鶴級」の建造も既成概念に
 とらわれた考え方で、追いつめられた発想下での戦時急造空母としての
 発想の割り切り方が足りないのかもしれませんね・・・

  そう考えると本来は米の「ジープ空母」が一番理想なのかもしれませんが・・・
 割り切れば小型空母も艦隊航空戦で十分使い道があるとは思うのです。
  日本の場合は「カタパルトが実質的に実用化できなかった」「米と違い日本の
 艦載機は翼を大きく畳めず、小型空母では搭載機数が限られる」「米と違い
 ブロック建造技術等が発達していなかった為、小型空母を数十隻建造すると
 言う空母の大量生産が不可能」という理由が有り、小型空母が実用的では無い
 という事には成りますが、逆に言えばこの様な制約があるから、使い捨てと
 明言された上記の航空本部案の様な空母も中型空母(搭載機数54機)という
 サイズになるのでしょう。
  日本の場合「小型空母に期待しない」ではなく「小型空母には期待したくても
 期待するだけの内容を盛り込むだけの技術がなかった」という事になるのでは
 無いでしょうか?米ではジープ空母として実用化できているのですから。

> 私は戦時急造空母に何が適していたか、というような話題よりも「雲龍はなぜ
>建造されたのか?」に興味を覚えます。
> 旧式機を運用してさえスペース的に不自由があり、帰還した攻撃隊の補給作業も滞る
>傾向にあった飛龍型をなぜあの時点で一隻建造したのでしょう。予算上、大鳳型から
>切り詰めて飛龍型となったと説明されてはいますが、既に大鳳型と翔鶴型の優劣が
>検討され、翔鶴型では今後の戦闘に耐えられず、大鳳型を日本海軍航空母艦の
>スタンダードとする方向性があった時期に、何故、更に旧式な飛龍型の建造が
>計画されたのか。最近はそんな事を考えています。

 ☆ 「5.計画で軍令部案が海軍省で予算上査定されて大鳳級3隻が大鳳級2隻+
  飛龍級1隻に減らされた」というのは強ち間違いではないでしょう。今や
  状況証拠しかないですが、軍令部にしてみれば「4.計画の大鳳と5.計画の
  大鳳級3隻の計4隻で1つの航空艦隊を編成する」という用兵計画を立てるのも
  理解できますし、海軍省にしてみれば幾ら昭和16年という情勢が緊迫している
  時期で有れども、「2年前の4.計画では1隻だった大鳳級を今回の5.計画で
  いきなり3隻建造は無理だ」「それならば1隻は中型の飛龍級に減額査定しよう」
  と言う官僚的発想になっても可笑しくはないでしょう。海軍省も今のお役人さんも
  顔負けの官僚的発想だったみたいですから・・・
   其処で5.計画の前倒しの「昭和16年度戦時艦船建造及び航空兵力拡充」の中で
  「すぐ建造できる空母は?」となったときに、「5.計画の中で1隻だけ中型空母が
  有るではないか!飛龍級だから大鳳級より小型で戦力の急速充実には好都合だ」
  「それに何せ安いし早くできる。装甲空母は建造に時間がかかるから・・・」
  という事で、まずは飛龍級の雲竜を建造し出そうとした所、いきなり昭和17年
  6月のミッドウェーの敗戦で主力空母4隻を失い、「何が何でもとにかく
  空母建造だ」とネコも杓子もなった時にタイミング良く建造直前の飛龍級の
  雲竜が有り、それで改5.計画で一番手っ取り早く建造できる空母として雲竜に
  プラスして5隻建造されることになったのではないでしょうか?
   あくまでも状況からの推察であり、これが正しいとも言いませんし、それを
  証明する証拠もありません。只完全にフィクションですが推察すればこんな発想で
  物事が進んだと考えても可笑しくはないでしょう。昔から役人の官僚的発想は
  変わっていないですから、装甲空母を中型空母へ査定するのは十分あり得ます。
  その後は偶々時代の流れに当てはまっていって、雲竜級の中型空母建造が進んで
  行ったというのが一番近い正解ではないでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 一番簡単に航空戦力を整えるのなら・・・  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 03/4/26(土) 23:59  -------------------------------------------------------------------------
   米軍の護衛空母のような小型艦を多数建造するぐらいなら割り切って「建造しないで陸上航空隊を揃える」方向に向かったのが日本海軍だったのでは?
少なくとも割り振られる人的リソースを考えるとこちらの方がマシだと思います。(ボーグ級で一隻900人以上必要)
米海軍と日本海軍が戦時急造空母に求めたモノは随分違うと思いますので護衛空母は余り比較対照には出来ないのではないでしょうか。
簡易空母は陸上航空隊で代用出来るならば、建造する空母はどのようなものになるかを考えてみた方が良いかも知れませんね。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : コロッサスって戦時急造には失敗してるような・・・。  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 03/4/26(土) 23:20  -------------------------------------------------------------------------
   >  計画はされていませんが、イギリスのコロッサスのような、思い切って性能の低さに目をつぶった設計はできなかったものでしょうか。
>  大きさ・速力は彗星がぎりぎり発艦できるだけにして、搭載機30機くらい。
>  それとも、彗星・流星・天山が運用できる最低限の大きさ・機関性能が雲竜なんですかね。

雲龍級の建造期間は1年10ヶ月〜2年でコロッサス級の建造予定期間24ヶ月よりも短い工期で完成していますね。
コロッサス級は必ずしも戦時急造とは言えない本式の軽空母ではないかと思いますが。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か?  ■名前 : TAKA  ■日付 : 03/4/27(日) 11:39  -------------------------------------------------------------------------
    此処でいちょう様・ルージュ様が仰有られていますが、「戦時急造空母を作るより
陸上航空隊を増強した方が好ましい」と言うのは如何なのでしょうか?
 歴史上は昭和18年以降決戦兵力として第一航空艦隊(基地航空部隊)を米機動部隊に
対抗する兵力として増強しています。しかし米機動部隊への決戦兵力として日本の基地
航空部隊は「マリアナ沖海戦」「台湾沖海戦」「レイテ沖海戦」を戦っていますが、
「台湾沖海戦」こそ大規模に米機動部隊に攻撃を掛けては居ますが(戦果稀少ですが)
「マリアナ沖海戦」でも「レイテ沖海戦」でも日本航空部隊は先に基地で米機動部隊の
攻撃を受けあえなく壊滅的打撃を受けています。

 確かに基地航空部隊で有れば、大きな陸上基地を使えるので使用機種の制約も
有りませんし、離着陸にも特殊な技術は必要有りませんし整備等に関しても楽です。
そう言う意味では戦力の急速増強には有利であるのは明らかです。
 しかし広い太平洋上では、基地航空部隊の基地は当然島嶼に限られるので、
基地の場所を隠蔽するのは難しいですし、陸上基地は当然移動できません。
ですから自由に移動できる米空母機動部隊に、索敵力の弱い日本の基地航空部隊は
敵を発見する前に壊滅的打撃を受けたのです。

 又空母に関しても制約は沢山あります。使用航空機は艦載機に限られますし、
離着陸には高い技量が必要です。一般的に言えば基地航空隊の搭乗員より
空母搭載機の搭乗員の方がかなり高い技量の持ち主でなければ勤まりません。
又空母機動部隊は大艦隊であるので、燃料の補給等で行動が制約されます。
 しかし補給の制約は有れども、移動は海の上で有れば制約がある訳では有りません。
何処かに待機していて敵機動部隊の登場に対応して出現と言う事も出来ますし
攻撃時には場所を選ばず攻撃を行うことが出来ます。逆に劣勢時に敵根拠地を
奇襲攻撃して敵の攻撃を逸らすという奇策も採ることが出来ます。
(本来ならマリアナ沖海戦の時にも此位の攻撃策を取っても良かったのでは?)

 さて一概には言い難いですが、「戦時急造空母建造」と「基地航空隊増強」の
どちらが好ましかったのでしょうか?日本の国力では空母建造の場合航空機増産と
母艦建造の両方が必要であり、その両方は難しいから航空機増産に絞り
基地航空隊増勢に賭けたというのが現実なのでしょうが・・・
 現実的には帝国海軍には定見がなかったと思います。開戦時には何も考えずに
ミッドウェーの敗戦時には「空母建造」に傾く物の、18年4月には「昭和18年度
以降戦時艦船補充建造並びに陸上防備兵力増勢に関する件」の中で新規空母建造が
中止・延期になり、基地航空隊増勢に傾くが、上記3海戦の敗北で最終的には
特別攻撃作戦一辺倒というのが実際の流れであったと思います。
後知恵になるかもしれませんが、この策は正しかったのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か?  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 03/4/27(日) 13:24  -------------------------------------------------------------------------
   駆逐艦もタンカーも輸送船も足りない当時の日本で基地航空隊か母艦航空隊かを選べるような余裕は無かったというのが現実ではないでしょうか。
戦票船を母体とした陸軍の熊野丸は建造開始から半年で就役、雲龍級でも起工から進水までの期間はインディペンデンス級と大差の無い空母ですが、ソロモン以降の船舶大量消耗の中では他を優先されても仕方ないと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か?  ■名前 : いちょう  ■日付 : 03/4/27(日) 19:53  -------------------------------------------------------------------------
   > 此処でいちょう様・ルージュ様が仰有られていますが、「戦時急造空母を作る
>より陸上航空隊を増強した方が好ましい」と言うのは如何なのでしょうか?

 お言葉を返すようですが、「戦時急造空母を作るより陸上航空隊を増強した方が好ましい」というニュアンスでは言ってないつもりです。「改飛龍型」ですら19年6月の決戦時に間に合ってないのに、それ以上工数の要する大型空母を開戦後に起工しても、史実どおりの戦局の展開が前提ならば、完成しても使う場面がない、あるいは戦力化すらできないということが言いたかったのです。

> 歴史上は昭和18年以降決戦兵力として第一航空艦隊(基地航空部隊)を米機
>動部隊に対抗する兵力として増強しています。しかし米機動部隊への決戦兵力と
>して日本の基地航空部隊は「マリアナ沖海戦」「台湾沖海戦」「レイテ沖海戦」
>を戦っていますが、「台湾沖海戦」こそ大規模に米機動部隊に攻撃を掛けては居
>ますが(戦果稀少ですが)「マリアナ沖海戦」でも「レイテ沖海戦」でも日本航
>空部隊は先に基地で米機動部隊の攻撃を受けあえなく壊滅的打撃を受けていま
>す。

 まさか、基地航空部隊だから負けたが、空母機動部隊なら勝っていたなんておっしゃらないでしょうね。

 そもそも、攻撃側から見れば、味方基地航空部隊の傘の届かない敵の要地(すべてに当てはまるわけではありませんが)に対する攻勢作戦において、敵基地航空兵力を無力化するために、空母機動部隊を投入するわけです。これを守備側から見れば、味方要地附近の制空権確保のために基地航空兵力の配備は必須なわけです。
 少なくとも、このことだけからでも、17年後半以降守勢に回った日本が、最優先で整備する必要があった戦力が何かは、自明のことではないですか。

> しかし広い太平洋上では、基地航空部隊の基地は当然島嶼に限られるので、
>基地の場所を隠蔽するのは難しいですし、陸上基地は当然移動できません。

 基地の場所を隠蔽する必要はありません。先に敵を見つければよいのです。
 また、陸上基地は移動できませんが、そこを使用する飛行機隊は艦船よりも速く移動できます。これは「基地機動航空部隊」構想の基礎であり、シャトル・アタック戦法もその利点を活かしたものです。

>ですから自由に移動できる米空母機動部隊に、索敵力の弱い日本の基地航空部隊
>は敵を発見する前に壊滅的打撃を受けたのです。

 これは、必ずしも正解ではありません。先に見つけたけれど、他の要因により敵に有効打を与えることができなかった場合が多かったのです。また、マリアナ沖の場合でも、小沢機動部隊も敵より先に見つけていますが、ご存じのような結果に終わっています。

> しかし補給の制約は有れども、移動は海の上で有れば制約がある訳では有りま
>せん。
>何処かに待機していて敵機動部隊の登場に対応して出現と言う事も出来ますし
>攻撃時には場所を選ばず攻撃を行うことが出来ます。
 
 敵の攻勢時期、攻撃目標を正確に見抜くことがいかに難しいかは、「あ」号作戦
の戦訓が教えています。逆に、こちらの待機地点を察知され、決戦場に向かうまでの動静はすべて米潜水艦に監視されていました。

> さて一概には言い難いですが、「戦時急造空母建造」と「基地航空隊増強」の
>どちらが好ましかったのでしょうか?

 そもそも、「戦時急造空母建造」と「基地航空隊増強」を二者択一で議論しようなんて無意味だと思いませんか。
 もちろん、守勢作戦においても空母機動部隊が有効な防御戦力になり得ることは、ミッドウェー海戦における米機動部隊の例を見るまでもないことくらいわかっているつもりです。
 しかし、空母4隻対3隻という戦力差ならともかく、正規空母7隻対3隻(隼鷹級を入れても5隻)、軽空母8隻対6隻(4隻)、艦載機1000機対400機のハンデは、戦術で補ってもなお天佑神助・神風の再来でもない限り逆転は難しかったのです。
 しかも、米海軍がこのくらいの戦力をぶつけてくることは、すでに戦前からわかっていた事ですから、正規空母の対米パリティが昭和17年末〜18年前半に崩れることは、海軍首脳にはわかりすぎるくらいわかっていたのです。こういう状況で、改飛龍型が2〜3隻、または改翔鶴型が2隻ほど加わったところで大勢に影響はなかった、とは思われませんか。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  ■名前 : TAKA  ■日付 : 03/4/27(日) 22:05  -------------------------------------------------------------------------
   >  そもそも、「戦時急造空母建造」と「基地航空隊増強」を二者択一で議論しようなんて無意味だと思いませんか。
>  もちろん、守勢作戦においても空母機動部隊が有効な防御戦力になり得ることは、ミッドウェー海戦における米機動部隊の例を見るまでもないことくらいわかっているつもりです。
>  しかし、空母4隻対3隻という戦力差ならともかく、正規空母7隻対3隻(隼鷹級を入れても5隻)、軽空母8隻対6隻(4隻)、艦載機1000機対400機のハンデは、戦術で補ってもなお天佑神助・神風の再来でもない限り逆転は難しかったのです。
>  しかも、米海軍がこのくらいの戦力をぶつけてくることは、すでに戦前からわかっていた事ですから、正規空母の対米パリティが昭和17年末〜18年前半に崩れることは、海軍首脳にはわかりすぎるくらいわかっていたのです。こういう状況で、改飛龍型が2〜3隻、または改翔鶴型が2隻ほど加わったところで大勢に影響はなかった、とは思われませんか。

 まあそれを言い出せば、話は簡単ですよ。「日本の国力・生産力・経済力では逆立ち
してもアメリカには敵わない」の一言で終わりなのですから・・・
何せ第二次大戦時のアメリカは「世界を敵に回しても勝てる経済力と生産力」を保有していたのですから、その様な国に国力が10分の1以下の日本が戦争を挑んでも
天佑神助や神風が毎回起きない限り勝つことが出来ません。
 日本では、「限られた生産力をどの様に割り振るか?」という事が問題になるからこそ
「「戦時急造空母建造」か「基地航空隊増強」か」と言う様な選択が存在するのです。
アメリカで有れば、正規空母のエセックス級を大戦期間中に17隻も竣工させ、その上
軽空母やらジープ空母やら余るぐらい作ってしまい、その上航空機は腐るほど作ってしまうのですから・・・・

 正直言って此処でいろんな議論を繰り返していますが、幾ら何を行っても「アメリカの
経済力・生産力の絶対性」は揺るぐことはありません。それに比べたら太平洋戦争当時の
日本の経済力・生産力は「大人と赤ん坊」ぐらいの差があり、これはそれこそ戦後の日本の高度成長が完成する時代まで追いつくことすら出来ない絶対的差が控えていたの
ですから、その方向に議論が進めば、一言で結論が付いて終わりでしょう。
 此処で色々議論していますが、その大部分は最後はこの「国力の絶望的差」という事で
結論が付いてしまうですから、無駄な議論とも言えるでしょう。これは他の議論でも
十分言えることです。「これが事実だ」「ちゃんと戦史を読め」と他のツリーでは
議論が盛り上がっていますが、そうなると「その前にある大元の国力を考えたらあっと
いう間に結論が出てお終いだろう。それなのに無駄な議論するの?」という事に
なると思うのですがね・・・
 ですから無理を承知で(艦載機(特に戦闘機)の古さ、搭乗員の錬度、日本の国力・
生産力・経済力は此処では取りあえず検討外として)と言う前置きをしたのです。
この前置きが事実に目を隠す無理な前置きで有ることを指摘されていますが、
敢えて私が前置きを置いた理由を考えてください。其処まで考えないで只漠然と
この様な前置きをするほど私は愚かではないと思っております。
そうしないと私も「国力が違いすぎる」「そんなに大量には生産できない」で
3秒で議論が終わるのは百も承知していましたから・・・

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  ■名前 : いちょう  ■日付 : 03/4/27(日) 22:55  -------------------------------------------------------------------------
    いや、だって、TAKAさん、上から三つ目のスレッドで、ねんどさんのツッコミに対してこう答えてるじゃないですか。

> 本当は無視はしたくないのですがね・・・ 日本の国力・生産力・経済力は別に無視をしなくても良いのですが、

 これを無視した議論なら、そもそも日本が開戦に踏み切った理由そのものがなくなってしまうじゃありませんか。

 それに、わたしは「日米間の国力の絶望的差」があるから、何をやっても無駄だったなんて言ってるつもりはありませんよ。ミッドウェー戦後の戦局の守勢への転換と決戦時期の想定から、基地航空部隊を主役の座に据えるという海軍の選択は、極めて自然なものだったと言っているだけです。
 改飛龍級の代わりに翔鶴級を建造していたらという本題のご主張に対しては、大勢は変わらないだろうということを意見として述べさせていただきます。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  ■名前 : TAKA  ■日付 : 03/4/28(月) 9:39  -------------------------------------------------------------------------
   >  いや、だって、TAKAさん、上から三つ目のスレッドで、ねんどさんのツッコミに対してこう答えてるじゃないですか。
> > 本当は無視はしたくないのですがね・・・ 日本の国力・生産力・経済力は別に無視をしなくても良いのですが、
>  これを無視した議論なら、そもそも日本が開戦に踏み切った理由そのものがなくなってしまうじゃありませんか。

 私は「日本の国力(経済力・生産力を含めた総合的意味)の絶望的低さ」を考えれば
考えるほど、「勝算のない無謀な戦争に突っ込んだ」という事になると思いますよ。
 日本が対米開戦に踏み切った理由は「ジリ貧になるより一発勝負」で局面打開の為
無謀な戦争を挑んだという事になると思いますよ。
だからこそ山本五十六は「1年半は暴れてみせるがその後は・・・」というような発言を
近衛首相にしているのです。実戦部隊の最高司令官が「先は分からない」というような
発言をすると言う事は「勝てません」と言っているのと同義語なのですから。
 ですから海戦に踏み切った理由は存在するが、勝算は存在しなかったという事です。
その事は此処でも何回も出てきている事ですから敢えても触れる必要はないでしょう。
無視した議論というのではなく、「端から結論の決まった議論」なのですよ。
>
>  それに、わたしは「日米間の国力の絶望的差」があるから、何をやっても無駄だったなんて言ってるつもりはありませんよ。ミッドウェー戦後の戦局の守勢への転換と決戦時期の想定から、基地航空部隊を主役の座に据えるという海軍の選択は、極めて自然なものだったと言っているだけです。

 私は「基地航空部隊を主力に据える」というのがミッドウエー以後すぐに出てきた
議論ではないことを、此処に書いておきます。少なくともミッドウエー後の改5.計画で
空母を建造しようとして、実際に雲竜級が着工されていることを考えれば、
「基地航空部隊主力案」が構想として存在していたのは、井上中将の意見書からも明らか
ですが、少なくとも現実化したのは18年4月には「昭和18年度以降戦時艦船補充建造並びに陸上防備兵力増勢に関する件」が出て空母建造が中止されてからでしょう。
 その時にはソロモン戦域で空母機動部隊の艦載機が消耗して艦載機部隊の再建と
空母建造を同時に行わなけばならなかった状況に追い込まれてからでしょう。
 その段階になり初めて「とにかく時間も資源もない」「だからより簡単な基地航空部隊増勢に注力しよう」という事になったと考えます。
 少なくとも海軍が守勢転換を認識しているのはソロモンの消耗戦の時期です。
ミッドウエーの敗戦直後ではありません。基地航空部隊の増勢案は「追いつめられて
仕方なく行った」というのが実情でしょう。その時期になれば又話は別でしょう。

>  改飛龍級の代わりに翔鶴級を建造していたらという本題のご主張に対しては、大勢は変わらないだろうということを意見として述べさせていただきます。

 大勢は変わらないでしょう。何せ「日米間の絶望的な国力差」が存在しているの
ですから・・・。大局的に見れば簡易空母案で作ろうと、改飛龍級を作ろうと、
翔鶴級を作ろうと、如何なる日本の空母より優れているエセックス級を17隻建造して
その上軽空母や簡易空母を掃いて捨てるほど建造するアメリカの国力の前には
何も変わらないことは厳然たる事実です。
 但し少なくとも対米開戦を織り込んだ「昭和16年度戦時艦船建造及び航空兵力拡充」
及び改5.計画の段階で5.計画で建造予定の大鳳級2隻+飛龍級1隻とか飛龍級の
先行建造や改5.計画での雲竜級(改飛龍級)の建造よりかは、思い切って16年竣工で
ついこの前まで建造していた翔鶴級をそのまま追加建造した方が戦力・空母能力・生産の効率性等の側面で好ましいのではないか?と考えただけです。
 あくまでも厳然たる「日米間の絶望的国力差」の中で、より好ましかったと思われる
策を問いかけただけですので・・・

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:「日米間の国力の絶望的差」これが結論ですね?  ■名前 : SUDO  ■日付 : 03/4/28(月) 11:35  -------------------------------------------------------------------------
    基地航空隊中心方針は戦前のマル4計画から始まっていたんでわ?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 空母増勢計画の実態  ■名前 : BUN  ■日付 : 03/4/28(月) 12:23  -------------------------------------------------------------------------
   >  私は「基地航空部隊を主力に据える」というのがミッドウエー以後すぐに出てきた
> 議論ではないことを、此処に書いておきます。少なくともミッドウエー後の改5.計画で
> 空母を建造しようとして、実際に雲竜級が着工されていることを考えれば、
> 「基地航空部隊主力案」が構想として存在していたのは、井上中将の意見書からも明らか> ですが、少なくとも現実化したのは18年4月には「昭和18年度以降戦時艦船補充建造並びに陸上防備兵力増勢に関する件」が出て空母建造が中止されてからでしょう。

基地航空部隊の大規模な増強が決定されるのは航空主兵を打ち出したマル四計画に続いた開戦前のマル五計画立案時からです。そしてマル五計画に続くマル六計画構想の中でも基地航空部隊は戦力の中核に据えられています。マル五計画の実施計画となった改マル五計画では航空母艦の増強も大幅に盛り込まれていますが、同じように基地航空部隊の増勢も大幅に盛り込まれています。ですから改マル五計画は単純な空母増強計画ではありません。改マル五計画での母艦航空部隊の増勢状況と同計画で基地航空部隊が何隊増勢されるのかを比較すれば納得できるでしょう。
母艦部隊の再建計画と本来の機動航空兵力であった第十一航空艦隊に代わる第一航空艦隊のような機動航空兵力の新設構想はほぼ同時に進行しています。

このような状況下で雲龍型の追加建造と改大鳳型の建造が決定するのですが、実際に立案された建造計画の中で改大鳳型に高い優先順位があったとはとても言えません。また特設航空母艦の新規工事もかなり慎重に検討され、輸送事情とにらみ合わせる中で大半の計画が廃案となっています。ミッドウェー直後の空母建造熱のような動きは基地航空部隊の増強よりも実体が薄いのです。

で、翔鶴型を建造したらどうかという問題提起についてですけれども、大鳳型と翔鶴型を比較して仮にマル四計画の大鳳と同時期に翔鶴を建造した場合についての性能面と建造費にわたる検討は開戦前にも行われています。結論としては翔鶴型は防御力に劣る為に将来の航空戦には耐えられないという結論となっているようです。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母建艦計画に関する疑問  ■名前 : TAKA  ■日付 : 03/4/28(月) 23:15  -------------------------------------------------------------------------
    取り急ぎ掻い摘んでご質問をさせて頂きます。
>
> で、翔鶴型を建造したらどうかという問題提起についてですけれども、大鳳型と翔鶴型>を比較して仮にマル四計画の大鳳と同時期に翔鶴を建造した場合についての性能面と建>造費にわたる検討は開戦前にも行われています。結論としては翔鶴型は防御力に劣る為>に将来の航空戦には耐えられないという結論となっているようです。

 翔鶴級の防御能力への疑問はどうも建造当初から有ったみたいですね?
それで大鳳級・改大鳳級を今後の日本空母のスタンダードにしようと言う考えで
4.及び5.艦隊計画は組まれた物と思いますが、其処で一つ疑問を・・・
 確かに装甲空母である大鳳級の防御能力は一般的に考えれば、それ以前の
普通空母より上であることは間違い有りません。しかしその装甲空母化による犠牲が
搭載機数になって現れています。改大鳳級は搭載機数では翔鶴級の7割5分程度の
搭載機数しか有りません。という事は翔鶴級と改大鳳級では防御力と搭載機数を
トレードオフして居るという事です。
 そうなると翔鶴級の搭載能力(=攻撃力)と改大鳳級の防御力のどちらを重視した
建艦計画を立てるべきだったのでしょうか?それとも「空母は沈みやすい物」と
割り切って、前述の「航空本部の簡易空母案」のような「簡単に作れる航空機輸送艦」
的な空母を作るという事のどれが好ましかったのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母建艦計画に関する疑問  ■名前 : SUDO  ■日付 : 03/4/28(月) 23:55  -------------------------------------------------------------------------
   >  そうなると翔鶴級の搭載能力(=攻撃力)と改大鳳級の防御力のどちらを重視した
> 建艦計画を立てるべきだったのでしょうか?それとも「空母は沈みやすい物」と

 でもって、翔鶴の工数/搭載量は、飛龍の工数/搭載量より悪いのですから、搭載量重視なら翔鶴を作る意味はなくなります。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母建艦計画に関する疑問  ■名前 : ねんど  ■日付 : 03/4/29(火) 4:20  -------------------------------------------------------------------------
   > >  そうなると翔鶴級の搭載能力(=攻撃力)と改大鳳級の防御力のどちらを重視した
> > 建艦計画を立てるべきだったのでしょうか?それとも「空母は沈みやすい物」と
>
>  でもって、翔鶴の工数/搭載量は、飛龍の工数/搭載量より悪いのですから、搭載量重視なら翔鶴を作る意味はなくなります。

これは決定的な説得力を持つではありませんか!
とすると(多少の無理はあっても)実際最正面で運用しうる最小の規模が飛龍クラスなら、史実の戦時急造型として雲龍型量産という選択は結構妥当な線だった様に思えてきました。

では残るTAKA様の疑問で私も興味があるのですが、「戦時急造でない方」として翔鶴型と大鳳型とではどっちの選択が賢明だったのでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母建艦計画に関する疑問  ■名前 : mikey  ■日付 : 03/4/29(火) 17:28  -------------------------------------------------------------------------
   > では残るTAKA様の疑問で私も興味があるのですが、「戦時急造でない方」として翔鶴型と大鳳型とではどっちの選択が賢明だったのでしょうか?

零戦と流星の組み合わせでの搭載機数見積もりを見ると、下記のように常用機数は同じです。
翔鶴:零戦18(補用0)+流星36(補用3)=57
大鳳:零戦18(補用0)+流星36(補用0)=54
ちなみに値は、BUNさんの「空母搭載機の真実」から持ってきています。

条件によっては翔鶴に遜色ない搭載能力があり、これに防御力を加味すると、大鳳の方が無難な選択だと思います。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母建艦計画に関する疑問  ■名前 : SUDO  ■日付 : 03/4/29(火) 17:49  -------------------------------------------------------------------------
   > では残るTAKA様の疑問で私も興味があるのですが、「戦時急造でない方」として翔鶴型と大鳳型とではどっちの選択が賢明だったのでしょうか?

 ・飛龍:甲板短 装甲無
 ・翔鶴:甲板長 装甲無
 ・大鳳:甲板長 装甲有
 という関係になります。
 飛行甲板の長さは同時発進数に大きく関連します。
 即ち攻撃隊として一度に出せる規模は搭載機の性能(離陸距離)と飛行甲板の長さで定まる訳です。
 そういう観点では、翔鶴と大鳳の攻撃隊進発能力は同等です。
 翔鶴の搭載能力の大きさは、離陸距離の大きい航空機を扱う限りに於いては、有効性を持たなくなるといえます。
 別館の真実一路の「空母搭載機の真実」に零戦+流星のセットで用いた場合の各空母の搭載数の見積もりが出ています。
 蒼龍:零戦12+3 流星27+6 合計39+9
 翔鶴:零戦18+0 流星36+3 合計54+3
 大鳳:零戦18+0 流星36+0 合計54+0
 つまり事実上翔鶴と大鳳の搭載力(戦力として運用する能力)は同等になっています。
 となると、搭載力が同じで、防御の有無が異なるのですから翔鶴を選ぶ理由は何処にも無いでしょう(勿論工数等を勘案したら話は変わってきますが、防御の有無は絶大な違いかも知れません)
 高性能大型艦上機を運用し、苛烈な敵攻下での運用を考えた場合、翔鶴はそれほど有利なところはないというのが最終的な結論でしょう。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:空母建艦計画に関する疑問  ■名前 : ルージュ  ■日付 : 03/4/29(火) 19:42  -------------------------------------------------------------------------
   > では残るTAKA様の疑問で私も興味があるのですが、「戦時急造でない方」として翔鶴型と大鳳型とではどっちの選択が賢明だったのでしょうか?

搭載機数の比較は既に出ていますので価格の面から比較します。
以前にAnsQで出ていた同時期計画の大和、翔鶴と信濃。大鳳で比較すると翔鶴が20%程度高価という結果になってしまいまいました。
大和、信濃の価格は計画年度も違いますし物価上昇が激しいので単純に計算しただけで比較出来るとは思いませんが、20%も差が出ている事を考えると大鳳級は意外と安価な空母かもしれません。
工数の比較はデータが無いので比較出来ないんですが、工期で見ると翔鶴が3年8ヶ月、瑞鶴が3年4ヶ月、大鳳が2年8ヶ月と1年〜8ヶ月も差が出ていますね。
果たして大鳳は装甲空母と言う語感から感じるほど高価で複雑な空母なんでしょうか?

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : 納得  ■名前 : ねんど  ■日付 : 03/4/30(水) 1:04  -------------------------------------------------------------------------
   mikey様、SUDO様、ルージュ様の豪華三段落としでぐうの音も出ません!
これは複雑な問題ではないようですね。
私は今までルージュ様ご指摘の「装甲空母」のイメージを大鳳に抱いていました。
思いがけずいい事を聞きました。有難うございました。

新参者の私は「別館」なるものの存在を知りませんで、今日覗いてみたら興味深い記事のある事ある事…。これからかぶりつくところであります。

 ───────────────────────────────────────  ■題名 : Re:帝国海軍の戦時急造空母には「改飛龍級」が適当だったのか?  ■名前 : 木  ■日付 : 03/4/28(月) 20:10  -------------------------------------------------------------------------
   たしか必要労力(マンパワー)でカウントすると
翔鶴級は大和より手間がかかったはずです。
大和が100万で
翔鶴が110万だったはず。


ああ資料が手元にない。

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