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386 インド洋での99艦爆の(日本側主張での)高命中率は有名ですが、ミッドウエーでの実際に急降下したSBDの機数に対しての命中弾をざっと計算すると全くサバを読まずに4割から5割の間に収まりますが、優秀とされる日本側母艦搭乗員の技量を凌ぐ可能性はありませんか?

  1. そうかもしれません。インド洋での日本側の命中率に関しては2つの点で但し書きが必要でしょう。まず命中率が日本側だけの記録による事。それから当時の搭乗員によれば「訓練でもこれだけの命中率をだした事はなかった」と証言している事です。なんにせよ一つの戦闘での結果だけで技量を判断するのも乱暴でしょう。


  2. 85%の命中率主張は一度だけではありません。飛龍艦爆隊がヨークタウンを攻撃した際、6機投弾して5発の命中(83%)を報告し、実際の命中は3発との米軍記録があり、インド洋での実態もこれに近いのではないかと思われます。BUN


  3. 開戦時の主力6空母の搭乗員は真珠湾攻撃に向けて直前まで猛訓練を積んでいました。それこそ、当時ベテラン搭乗員といわれた莫大な飛行時間を持つ連中に、燃料を惜しむことなく半年以上かけての猛特訓をほどこしたのです。米軍パイロットも訓練は積んでいたものの、「真珠湾攻撃」という明確な目標をもつ日本軍には到底及びませんでした。


  4. 開戦して1年はこの搭乗員達が大活躍し驚異的な命中率を誇ります。(艦爆だけでなく艦攻の雷撃も命中率が高かった。)しかし、戦闘を行うたびに彼らは減っていきます。その後は米軍と同じ立場で搭乗員の量産をしなければならなくなり、戦局の不利が生産に直接響いてくる日本軍は、ある程度訓練された搭乗員すら作れなくなってしまうのです。


  5. 一、二航戦の雷撃退は


  6. 一、二航戦の雷撃隊はミッドウエー出撃前に横須賀航空隊による技量の審査を受けておりその評価は劣悪で「この程度の技量の者(母艦搭乗員全てを指す)が珊瑚海等で本当に成果を収めたのか疑問」と酷評されており、その後の実射演習でも操縦ミスによる魚雷の発射失敗が約三分の一にも及んでいます。また水平爆撃の訓練は編隊長機のみが実施、急降下爆撃は九州から内海西部の摂津へ飛んで実施した為一日一回もで出来ず、夜間飛行は不可能というのが実態でした。「技量優秀」とは程遠い状況です。(一航艦戦闘詳報による)BUN


  7. また、陸上基地の零戦隊の技量水準も同様で、開戦時より配備され「精鋭」とされていた二四航戦や、ミッドウエー進出予定の六空を含む二六航戦での例では技量Aとされる者は2割から4割程度でその他は技量C評価の搭乗員で構成されていました。(5月20日現在の状況表からBUNが計算)ですから「開戦当初のベテラン揃いの海軍航空隊」というものは母艦上にも陸上基地にも存在しなかったのではないかと思われます。BUN


  8. うむ、これは面白い問題です。実は以前の5航戦の話題の時から搭乗員の技量について調べ中&考え中でして、まだはっきりした結論は出ていません。長考になりそうです。皆さんが見なくなった頃に自分なりの見解を書くかもしれまんせん(EOS)


  9. そんなこと言わずに早く書いて下さいよ。真珠湾攻撃の「猛訓練」の際の急降下爆撃の命中率は40%でした。殆ど回避しない標的に対しての成績です。また、一、二航戦の定員は開戦直前まで充足されておらず、三,四航戦からの根こそぎの転勤で補充されています。先に話題の五航戦は内戦部隊、教官等を中心に補充しており長期に渡る充実した訓練は実施していません。ですから、驚異的な水準などには一度も達したことはないのですが、私は4割の命中率を記録する艦上爆撃隊は十分、「精鋭」と考えております。そして敵もまたそれにも増して「精鋭」でしょう。BUN


  10. 命中率の比較でちょっと気になるんですが、命中率の分母(投弾数)がどれくらいの数なのか?30個以上のサンプルがないと統計学的に意味のある比較はできないそうですが。また、何回かの作戦を平均しての命中率が○割といっても、個々の作戦ごとには命中率のばらつき(分散)があるわけで、平均命中率が多少高くても分散の大きい場合、その搭乗員は果たして優秀といえるのかどうか?まあ、命中率計算の基となる細かいデータなんて公にされてないのかもしれないが。(アリエフ)


  11. ミッドウエーの場合は最初の3空母それぞれの成績が加賀4/9、赤城2/3、蒼龍3/12を記録しています。また、最後の飛龍に対する攻撃も、最初の7弾は飛龍の必死の回避と零戦の妨害によって回避されていますが、一弾命中後、視界が塞がれてからは4弾連続命中を記録しているので統計的にというより、肝心な時に確実に命中を記録する「歴史的」高命中率といえるでしょう。残念ながら文句のつけようはありません。BUN


  12. 蒼龍の時のヨークタウン艦爆隊の命中率は3/9という説もありますね(18機のうち5機は爆弾を事故のため持たず、4機は他艦に投弾したと…)。


  13. 日本海軍は毎年度末(技量がピークを迎えるとされる)に自由回避の標的艦に対しての攻撃訓練を実施しています。昭和14年の「摂津」に対しての急降下爆撃(使用機は96艦爆)は53.7%、15年の記録は分かりませんが、16年10月の真珠湾直前の時には平均40%程度、ベストが65%程度といった記録があります。これは動目標に対しての数字で、静目標に対しては80%以上のようです。日本海軍は実戦時の命中率は訓練時の1/3と想定していたようですが、艦砲射撃の場合はほぼその通り(まだ甘いが)になったのに対して、


  14. 航空攻撃の場合には(初期には)逆に訓練時より良かった事になります。日米対比に関しては、実戦での記録で見る限りは日本海軍がやや優位かな、ぐらいsiか言えません。


  15. で、私が迷っていた点は2つあって、一つは「技量」というのは母艦搭乗員だけのそれを指すのかそれとも日本海軍(及び米海軍)の搭乗員全般のそれを指すのかという点。後者に関しては開戦時の日本海軍のそれはかなりひどい状況だったのは皆さんご存じの通りです。質問は前者の事でしょうが、こちらも空母が増えて母艦搭乗員が大量に必要になれば水増しの結果全体的な技量は落ちます。5航戦は下にBUNさんが書かれているように、ハワイ作戦終了後は返す約束で内戦部隊や教官配置の者までかき集めという無理をしてまで


  16. 搭乗員を充当しましたが、結局全体的な技量低下は避けられませんでした。


  17. もう一つは両者の攻撃法の問題。以前に山本五十六の本で読んだのですが、日本海軍の攻撃法が敵艦にできるかぎり肉薄して投弾するというものであった事に対して若手の士官搭乗員だったかが「実戦では対空砲火があるのだからこんなに肉薄攻撃はできない。それより対空砲火の射程外から攻撃する戦法や技術を開発するべき」と意見したのに対して山本が「そんな馬鹿な事を言っていないで訓練しろ」と一喝したという話があります。これは山本には科学的な面だけではなく訓練主義(精神主義)的な面もあったという事で紹介されているのですが、


  18. これが以前から気になっています。敵艦に確実に命中させるには、より低速でより接近して投弾するのが一番ですが、対空砲火によるリスクは大きくなります。別の言い方をすれば、日本海軍の訓練というのは技術というより気合いと根性を鍛えるという面が強く、技術的には両者に差はなかった(同じ爆撃条件では同じ結果)だったのかもしれないなんて考えたりもします。


  19. で、裏を取るために色々調べているのですがまだよくわかりません。日本の急降下爆撃法は本によって色々違いますが、平均的な所で降下角52度から60度、降下速度240ノット、投弾高度(引き起こし点)500mといった所だと思いますが、米海軍のそれがどれくらいだったのかわかっていません(EOS)


  20. あれだけの見事な爆撃を連続で受けていながら、ミッドウエー後の戦訓の中で、敵艦上機搭乗員の技量は低い(命中したのは元々急降下爆撃法の命中率が高い為とのこと)、と総括されています。飛龍の報告を100%信じて、実際に観測できた味方空母の被爆状況を比較するとそう取れますが、米軍の報告はミッドウエーに限って言えばかなり精度が高い報告をしています。この辺もなかなか憎いというか、技量を裏付けているのでしょう。BUN


  21. ウォルター・ロードの「逆転」の中では米海軍の急降下爆撃帯は通常2200ftで投弾する訓練を受けている、という記述があります。ミッドウェイ戦では1500〜2500ftで各機投弾していたようです。


  22. ↑追加、SBDの降下最大速度は240kt、降下角は70度+という表記がAircraftにありました。


  23. みなさん有り難うございます。なんかあんまり変わらないみたいですね。となると考えすぎなんでしょうか(EOS)



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