QQCCMMVVGGTT
457 TVで見たリノエアレースで、F8Fが大きなスピナを付けて小さな冷却空気取り入れ口になっていましたが、あれでエンジンの冷却は問題無いのでしょうか?
レースという短い間だから?現代技術で何かあるとか?
又あの形が空気抵抗が少ないのであれば、大戦機もカウリングを絞って小さなスピナを付けるより、カウリングを絞らずに大きなスピナを付けた方が良かったという事にならないのでしょうか?
陵風

  1.  冷却は知りませんが、形状抵抗の減少を狙って
    大きなスピナを付けた例はあります。→強風。

     ただ、それが形状抵抗の減少につながったか
    どうかというと・・・大差無いんじゃないんですか?
    WW2空冷の最速機、P-47だって、最速の艦戦、F4Uだって、
    スピナが無いじゃないですか。

    SADA

  2.  上記の通り「大差」はないです(形状抵抗の改善は表面積増加による摩擦抵抗でかなり食われる。)。ただ、レースですからちょっとでも空力を改善しようとしておるわけです。
     なお、エアレーサーにおいては、
     (1)機体表面に熱を伝導させる(機内蒸し風呂状態)
     (2)還流する潤滑油をわざと少しずつもらし、熱を逃がす(オイル消費激悪)
     (3)液冷機の場合、蒸気冷却等の特殊な冷却をする
     (4)エンジンやラジエーターに水を噴霧して強制冷却する
     (5)ベンゾール添加等の怪しい高オクタン燃料の使用
     (6)アンチノック剤を使用
    等の実用機では決してできない手法を用いて、冷却及びエンジンの高温作動を行っています。

     実用機でスピナが嫌われる理由は、おもにプロペラハブ(特に可変ピッチ機構)の整備性が悪くなることでしょう。
    Schump

  3.  1.最高速度を記録したP47はJ型のスピナ付では?
    陵風

  4. F8FにR-3350を搭載したReno最速レコード保持機「Rare Bare」ですね。
    http://www.rarebear.com/
    間近に見てスピナが巨大なのと(プロペラもでかい)、吸入口が不安な
    ほど小さいのに驚きました。冷却については10数分の全力飛行が
    できればいい、と割り切っているのだと思いますが、抵抗減少効果に
    ついては少々疑問です。高速回転体の表面抵抗というのは静止時に
    くらべて遥かに大きくなるので(その昔、帆の代わりに回転円筒を
    付けた帆船?があったくらいです…振動がひどくて試作どまりでした
    が、航行性能は悪くなかったそうな)、あまり大きなスピナを付ける
    のは逆効果という理論もあるのですが…F8F とならぶ空冷レーサーの
    双璧、ホーカー・シーフューリーもカウリング先端を絞り込み、
    大きなスピナを付けていますねぇ(しかもデフォルトで)。

    まぁ、レーサーの場合は半分(とゆうか八割がた)オーナーの趣味で
    改造の方針を決めてますから、「でっかいスピナーを付けたほうが
    萌える!カッコいい!」という理由かもしれません(^^;)。いや
    冗談じゃなくって、ロゴがカッコ良く映える機体はスポンサーも
    付きやすく、資金を集めるのが有利という要素もあるのですよ。
    プライベーターばかりのエアレースにとっては死活問題ですからね。

    ささき

  5. 余談。Rear Bearは、プロペラがでかすぎて地面を擦るので、滑走中は水平姿勢になれない(三点着陸必須)だそうです。
    Schump

  6. 出場レーサーのエンジンについて。原型は大戦中のエンジンを使わざるをえない思うのですがこれらのエンジンのどのくらい(定義が難しいでしょうが)の程度までオリジナルなのでしょうか?
    地上でもトラクターで何やら引っ張りまくる不思議な競技があり、ここでも例えばグリフォン4連装などというのが出てきますが、グリフォンやダブルワスプはそんなに簡単に手に入るのでしょうか?。一基いくらくらい?
    SHI

  7.  2.実用機でスピナが嫌われる・・・とありましたが、それはアメリカの空冷機に限ったことでは?
    アメリカでも液冷機ではスピナが付いていたし、整備性とは別の理由という事はないですか?
    陵風

  8.  ↑7、大体そのとおり。ベアキャットに囚われてたんで勢いで書いちまいました。
     さて、各国ともスピナを省略した(空力より整備性を取った)のは輸送機等の余り速度を出さない機体で、戦闘機等の高速機であえてスピナを外したのは主に米国空冷機ですな(イギリスやイタリアも空冷機は結構スピナがない。)。液冷がスピナを省略しないのは「せっかく尖らせられるんだから」でしょうが、フェアリー・バトルやらハリケーンのカナダ生産分なんかはスピナなし。
     ついでに旅客機の話をすると、同時期の同級機であるコンステレーションとDC-7がスピナありとなしに分かれているのは、なにやら「早い飛行機が作りたくてしょうがない」ロッキードの宿命を感じさせてよいですな。

     ↑6、エンジンは原則オリジナル(スクラップヤードから発掘、とか物持ちのいい途上国機の退役を狙うとかして入手)を部品の共食いで維持してます(だから数の出てないセントーラスとかセイバーは維持できない)。R-3350なんざ60年代まで海軍御用達だったからパーツはいくらでもあるらしいし、マーリンにいたっては、パワーボート用に新造スペア部品があるそうです。
     とはいえ、レースに勝とうとすればチューンが必要で、予備部品もちゃんとしたものが欲しいところ。アメリカにはそんな需要に応える会社がちゃんとあります。シリンダとピストンはレース用の新造品が量産されてます(ただし、クルマではお約束のボアアップは、元がすでに限界まで行っているために不可能らしい。)。また、チューンとしては、各部(特にクランクシャフト)の研磨、潤滑油流路の拡大、クランクケースへの補強剤追加、クランクシャフト(マーリンにアリソンのをつけてやると剛性が高くてよいとのこと)のカウンターバランス追加、クランクシャフトの回転が上がってもプロペラ先端が音速を超えないように減速ギアを変更(流用品?)等だそうで、お値段としては、R-3350をフルチューンするとチューン代だけで10万ドル程度、レーシングマーリンを本体ごと買うと20〜30万ドル程度になります。
    Schump

  9.  そうそう。マスタングは図面が流布しているので、エンジン以外は新造品の入手が可能だそうです(タイヤ等細かい部品はありものでしょうが。)。
     スピナ省略の経緯がはっきりしているのはB-29。整備の問題もさることながら、マグネシウム合金をふんだんに使ったエンジンが低速時の過熱で燃えるので、どうしてもエンジン全体を厳重に冷やせるようにしたかったそうです(ちなみに離陸時が危なかったらしく、原爆ミッションでは、原爆の最終調整(起爆装置の組付け等)を巡航に入ってからやったそうな。)。
    Schump


Back