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1204 フォッケウルフのプラモデルを作っていてプロペラの幅の広さにおどろきました。零戦のプロペラは逆に細いのですが、
エンジンの出力に関係あるのでしょうか。また、ペラの枚数はどうやって決めるのですか。
イマジン

  1.  プロペラは推力源であると同時に抵抗源でもあるという複雑なパーツで、離昇時と巡航時の効率も相反する関係にあります。1000hp 級のプロペラはどの国を見ても大体同じような直径・形状ですが、2000hp 級の機体となると少ない抵抗で馬力を効率良く推力に変換することが難しくなり、各国の特徴が出てくるようになります。
     ドイツはあまり直径を増やさず丸っこい幅広の三翅とし、イギリスは細身のプロペラを五翅にまとめて使い、アメリカは羽子板のように角張った幅広のプロペラを大直径の四翅として使い…といった具合です。

    >ペラの枚数はどうやって決めるのですか。
     複葉機より単葉機の方が飛行機としての効率が良いように、基本的には「少ない方がいい」のです。一枚羽根はもちろん実現不可能(ごく低馬力の場合例外あり)、しかし二枚羽根はジャイロ効果が大きいため、実用上三枚羽根が一番有利なのだそうです。ただしエンジン馬力が大きい場合、三翅では回転力をうまく推力に変換できません。プロペラの回転数上限というのは直径で決まってしまい(プロペラ先端が音速を超えると衝撃波で急速に抵抗が増大する、直径 3.6m なら 1800rpm あたりが限界)、またピッチ角を無闇に増やしても失速が起きて推力につながらなくなってしまいます。
     そこで幅を増やすとアスペクト比低下による効率低下が起き、枚数を増やすとプロペラ羽根間の干渉でやはり効率が低下します。また直径を増やすのには機体側の制限が大きいうえ、とプロペラ根元と先端部での流速差が大きくなる問題が出ます。
     単なる直径や形状、枚数以外にも捻じり加減や断面形状も関係するし、前述したように低回転時(巡航)の効率と高回転(離昇や戦闘)時の効率を両立させるのも困難なので、プロペラの設計というのは非常に複雑で難しいものだそうです。パラメータがあまりに多いため、計算能力の限られた第二次世界大戦時のプロペラ設計にはなかば手探り・職人芸的なところがあったようです。

    ささき

  2. そういえば五式戦のプロペラ直径は、三式戦二型改の3.1メートルより10セン
    チ短縮されて、その代わりブレードの幅を大きくしていますよね。そして機首も
    太くなっていますし、あれで効率はかなり低下したのではないかと最近思うので
    すが、その割には上昇力や旋回性能の評価が高いからちょっと不思議です。
    旋回性能の回頭性は良くなったとして、維持旋回率は大丈夫なのでしょうか?
    空冷化で軽くなった事が推力低下を補って余りあったと考えて良いのでしょうか?
    便乗質問失礼しました。
    フッフール

  3. >2.
    三式vs五式の議論は過去に議論ボードで散々やってるんです、実は。
    でも結局結論は出ていません。正直言って「よくわからない」のです。
    三式の上昇力は資料によって数値が違いどうも誤植があるらしい、
    五式の公表上昇力は零戦54型にくらべ大差がありすぎどうも嘘くさい、
    といった問題が出てきて結論に行き着きませんでした。

    http://www.epsnet.co.jp/~f4u/discussion/g0075.html

    ささき

  4. >2 彗星も同様の処置を施していますね。こちらは離陸滑走距離が長くなってしまい、艦上機としての運用は諦められています。
    tomo


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