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1211 実戦に間に合わなかった新鋭機について、本によって異なる評価が書かれていることがあります。例えば、Do335やHo229について高速にもかかわらず、運動性・安定性も良好であった、というのがある一方で高速だが運動性・安定性に問題があったと書かれているものもあります。Bv141でも形状通り不安定であったとするものから、特に問題はなかったというのもあります。この評価の違いはどうしてでしょうか?あるいは今となっては、はっきりしないものなのでしょうか。
淡州

  1.  まず、日本で出版されているものならば、ドイツ機に関する限り残念ながら、当時
    のオリジナル資料や文書を検討して書かれているものはほとんどありません。従って、
    古くは40から30年前の海外の出版物を元にして書かれており、事実と確認することの
    できないものが多いため、時には資料の孫引きになってしまい、根拠となる事実が確
    認されないまま、似たような評価になったり、反対に評価に大きく差の出ることがあ
    ります。
     しかし、海外では現実にはオリジナル資料の発見や研究が日本より進んでおり、そ
    れらを調べていけば、実機の実体はある程度見えてきますが、その海外においてすら
    同じ研究者が、根拠となる資料を示すことなく以前とは違った評価や結論を出してい
    ることもよくあります。
     Do335に関しては、もっとも最新のまとまった本は、やはりアメリカのモノグラム
    出版、モナークシリーズのDORNIE335でしょう。しかし、これすら、同じ筆者が以前
    とは違うことを、根拠を明らかにせずに述べている部分もあります。
     このような実状のため、私はできる限り当時のオリジナル資料を収集、分析しつつ
    研究に取り組んでいますが、まだ、完全な結論は出ていません。しかし、評価の書か
    れた本を読む上で大切なことは、まずそれが事実である記録や当時の資料や証言など
    に基づいているかどうかが問題でしょう。特に末期の研究、開発中だったドイツ機に
    関しては、他国とは比較ができにくいだけに、それが事実なのか、筆者の単なる推測
    による感想なのかを区別することが大切でしょう。
    国江

  2. 試作機だけでなく、量産機についても、先人の評価をなんの疑問も無く、まるごとコピーしているケースが多いような気がしてなりません。例えば、大戦末期のドイツ戦闘機に対して、常套句のように使われる「P51,P47,グリフォンスピットに対して歯が立たなくなっていた」という表現です。一体、グリフォンスピットがどれだけドイツ機と実際に空戦を行ったのか疑問ですし、P47などは、むしろしばしば格闘戦でドイツ機に対して苦戦を強いられたという記述も多く見かけます。「ドイツ機を圧倒したのは、P51であった」というのが妥当な表現だと思うのです。まあ、これは一つの例に過ぎませんが、航空機の解説をするプロであれば、人並み以上に懐疑心を持って考察する姿勢を求めたいです。

    しいま

  3. >2

    ドイツのエースの回顧談だと「P-51とはなんとか戦えたが、グリフォンスピット・テンペストには歯が立たなかった」とありますが、空戦回数はP-51Dが大半でしょうね。
    ぽけすて

  4. 一連のホルテン全翼グライダーが良好な飛行特性を持っていたことは知られていますが、Ho229 の飛行試験結果はほとんど伝えられていません。しかし同様な全翼機を作っていたノースロップも小型の実験機 N9M では垂直安定板皆無でうまく飛べたのに、XP-56 や XB-35/XB-49 では結局垂直安定板増設をやっていますから、あの形状のままでは安定性・操縦性に問題が出たことであろうと思います。
    ささき


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