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1229 Ta152の20mm機関砲は主翼の付け根ら辺にありますが、あれはペラの直径外でしょうか?『戦話・大空のサムライ』で、7.7mmはぺら撃ちしてもぺらに穴が空くだけだけども20mmは炸裂するから吹っ飛ぶというようなことを読みました。完全にないとは言い切れない同調が働かない場合など、どう対処していたのでしょうか?
だいすけ

  1.  Fw190 の内翼機銃はプロペラ回転圏内です。初期の A 型では MG17 7.92mm でしたが、後期型から MG151/20 20mm に強化され D 型や Ta152 に引き継がれています。
     MG151/20 は電気発火式のため、ピアノ線や油圧管のような機械式ではなく電線によって同調伝達できました。この電気式同調装置の信頼性に自信があったからこそ、あのような機銃配置が可能だったのではないかと私は思っています(初期型 MG17 の同調はどうなっていたのか?は疑問として残っていますが)。
     いかに信頼性が高くとも人間の作った機械に 100% という事はあり得ませんが、戦闘力の向上と事故発生のリスクを天秤にかけた上で決定されたものだと思います。すなわち「同調が狂ってペラを吹き飛ばし空中分解したら、それはそれで仕方ない」ということです。無茶苦茶な論理のように思えますが戦争とはそういう物であり、戦闘機とはそういう機種なのではないでしょうか。
    ささき

  2. 回答ありがとうございます。零戦とFW190の機銃の位置の違いは同調の技術的な差でしたか。もう一つ質問したいのですが、米軍の戦闘機は12.7mmが炸裂弾じゃないんだから、ムスタングにしろヘルキャットにしろ、もう少し内側につけてプロペラ圏内にしても良さそうなもの、と思うのですが・・・?同調装置なんか米軍は日本より良いのを持ってそうですし。
    質問者

  3.  内翼には、銃より重い物を積んでロールレートを
    向上させたいからではないですか?燃料とか、
    タイヤとか。

    Fw190は燃料タンクを翼に持っていませんので・・・。

    SADA

  4. >2.米軍戦闘機に関しては 1940 年頃を境に武装のコンセプトを変えているようなのです。まず 1924 年のカーチス P-1 から 1936 年のセバスキー P-35 に至るまで「機首同調、7.62mmx1 + 12.7mmx1」の時代が続きましたが、1936〜1940 年の「機首武装を主、主翼武装を従」という配置を経て、1941 年以降の機体はほとんど主翼武装のみとなっています。おそらくこの期間に何らかの研究と意思決定がなされたようで、1941 年以降の米軍機に同調機銃はほとんど見られなくまります。例外は未練のように同調機銃を付けた P-51A/A-36A、構造上同調機銃を捨て切れなかった P-39/P-63、主翼に武装を積めなかった木製軽戦闘機の XP-77、何を考えていたのか良くわからない寄せ集め機の XP-75 くらいでしょう。
    ささき

  5. 大事なことを忘れてました(^^;)
    >零戦とFW190の機銃の位置の違いは同調の技術的な差でしたか。
    機銃の動作形式には装填と撃発を同時に行う「オープンボルト」形式と、装填完了後に別動作で撃発を行う「クローズドボルト」形式があります。前者は発射指示のあとボルトが前進し弾倉から重たい弾薬をエッコラセと引き抜いて装填し撃発するので撃発遅延時間(ラグタイム)がコンマ数秒単位でばらつき、高速(2000rpm で三枚ペラなら秒間 100 回)で回転するプロペラとは同期できないのです。
    日本海軍の99式、イギリスのイスパノ(アメリカの AN-M2 も)、ドイツの MG-FF はオープンボルト形式なので同調装備は原理的に不可能でした。
    一方ドイツの MG151/20、日本陸軍のホ5、ソ連の ShVAK はクローズドボルト式であり同調可能でした。
    ソ連の戦闘機 La-7 は空冷カウリング周囲に3挺の ShVAK 20mm を同調装備するという無茶をやっています。発展型 La-9 では 23mmx4 にエスカレートしましたが、さすがに無茶が過ぎたのか La-9 は 16 機のみの生産に終わり La-11 では 23mmx3 に削減されました(これでも充分無茶ですが ^_^;)
    なお、オープンボルトとクローズドボルトについては拙作のページを見てみてください。
    http://www.epsnet.co.jp/~f4u/crazy/jp/gun/mech.htm


    ささき

  6. 誰も書かないんでちょっと・・・
    1.飛燕/五式戦と疾風の後期の型は胴体に20mm機関砲(ホ5)を積んでます。
    2.12.7mmや13.2mmでもプロペラは破壊される思うのですが、どうでしょう?特に、すべての陸軍制式単発単座戦闘機が胴体に装備した(型によりますが)ホ103は「マ弾」という炸薬弾を使用できたので、なおさらって気がします。ただ、私には「マ弾」の使用実績に対する知識がありませんので、あくまで「使用できた」のレベルで書いておきます。

    もう少し内側につけてプロペラ圏内にしても良さそうなもの>
     プロペラ同調装置をつけるということは、それだけ発射速度が低下するということですから、それを嫌ったということもあるのではないでしょうか。これはあくまで推測ですが。
    胃袋3分の1

  7. ムクのアルミであるペラにとって最も脅威なのは高初速の徹甲弾ではありませんか?しかし、私はホ5で九九式特殊実包であれ何であれ、ペラ撃ちをしても「まずは大丈夫、なんとかなるはず」と思っております。勿論「うわごと」ですが。
    BUN

  8. 胃袋さん細かいから、「ホ5の各弾種であれ、九九式特殊実包であれ、なんであれ」と訂正しておきます。
    BUN

  9. 飛燕・五式戦・疾風、そして「マ弾」と、すべて陸軍なのは関係があるんでしょうか?零戦も紫電も雷電も海軍機ですよね。両者の安全性と命中精度の天秤の度合いに違いがあったとか、同調装置の開発が別とか・・・。あと、素人考えとしてはぺら撃ちの時に徹甲弾なら穴がどんなに大きくても空くだけで、炸裂弾はぺらの羽根が一枚なくなるということで、致命傷になる、と解釈しているのですが。
    質問者

  10. ↑は、ささきさんが書いておられるとおり、海軍の九九式20mmでは同調装置が機構的に付けられなかったからではないんでしょうか?

    胃袋さんは細かいから>
     ・・・人のこと言えませんて(笑)
    胃袋3分の1

  11. >2.
     MG151/20 のように電気発火式でない場合、同調伝達のためピアノ線等の機構を用いる必要があります。主翼機銃を同調式にすると伝達機構が長くなり、故障や誤動作の可能性が増大します。Fw190 以外に内翼同調機銃の装備がほとんど見られないのはこれが理由だと思います。
     主翼装備機銃による弾道拡散については米軍もそれなりに問題と思っていたようですが、主翼付け根に同調銃を増設するのではなく機体構造そのものを見直す研究を行っていた様子です。
    ・双発化:P-38, XP-49, XP-50, XP-67
    ・推進式:XP-52, XP-54, XP-55, XP-56, XP-59
    ・延長軸:P-39, P-63, XP-75

    >9.
     陸軍と海軍では機銃の開発・生産がほぼ完全に別系統でした。同じビッカース系 7.7mm である89式(陸軍)と97式(海軍)ですら弾薬に互換性がないのです。
     陸軍ホ 103 に対し海軍版ブローニングである三式 13.2mm(零戦五二型乙、丙などに搭載)については国本氏の解説が詳しいですが、陸軍と違い炸裂弾は使わなかったようです。
    http://www.platon.co.jp/~vought/kunimoto/3siki13mm.html
     ただ、これが同調装備への配慮なのかどうかはわかりません。私はたぶん無関係だろうと思っていますが。

    >あと、素人考えとしてはぺら撃ちの時に徹甲弾なら穴がどんなに大きくても空くだけで、炸裂弾はぺらの羽根が一枚なくなるということで、致命傷になる、と解釈しているのですが。
    うーん、具体的な影響については実際に撃ってでもみない限り確かなことはわかりませんね。同調機銃には常にプロペラ射貫の危険が存在し、大口径ほど影響が深刻になるであろう、ということは言えますけど。
    ささき

  12. 9.多分、着発信管付きの炸裂弾ではペラの表面で炸裂して致命的な被害が無いのではないかと思います。航空機銃の榴弾は構造の破壊より、燃料タンクの破壊と着火を目的としていますので、装甲やそれに類する金属ムクのプロペラブレードには徹甲弾が最適(最悪)であろうと思います。
    BUN

  13. みなさんのご意見に加え、思い出したことがあって、ちょっと妄想がふくらみましたので、雑談として書いてみます。
    1.以前、佐貫亦男さんだかが、「金属製のプロペラはどんなことがあっても曲がるだけで折れない。折れているのを見たら、それは木製プロペラだ」というようなことを書かれていたのを思い出しました。たしかに、胴体着陸の衝撃でも金属プロペラは折れていない写真ばかりです。ですから、炸薬弾で撃っても折れないかもしれません。
    2.では、徹甲弾で穴が開いたとした場合、そのプロペラは当然の事ながら強度的に弱くなりますので、そのまま回転させていたら、そのうち「ちぎれる」のではないかと思いました。まあ、プロペラの強度がどっち方向に強いのかもわかっていないんで、もちろん想像ですが。

     以上ですが、あくまで妄想です(^o^)。
    胃袋3分の1

  14. ・・・って書いたら気づいてしまいました。
    元々の質問は「Ta152」でしたよね。ということは一部の試作機を除いて木製プロペラですから、炸薬弾で撃ったら折れるんじゃないでしょうか?(^^;;;;;
    胃袋3分の1

  15. 霞ヶ浦自衛隊武器学校の記念館に、物の見事に.50キャリバーで打ち抜かれた
    プロペラ羽根が展示してあり、「空戦により撃墜された雷電の遺品」と説明
    されていました。やっぱプロペラに.50キャリバー以上の弾があたるのは致命的では?
    Navy

  16. 50口径の徹甲弾なら貫通破壊するかもしれませんが、20mmのホ5の榴弾が当たったとしても、変形による異常振動、不時着となるのではないかと思いますが。プロペラってゴッツイですよ。
     BUN

  17. 色々のコメントがて出ておりますが、私なりに補足します。
    胃袋3分の1 氏の読まれた物とは別の本と思いますが やはり ”佐貫亦男”著1985年 
    ”マン・アンド・マシン”に以下の記載が有ります。 「  」の文。


    >5.MG-FF はオープンボルト〜に関連文章。及び 炸薬弾の効果、関連文章。

     「MG−FFはフリューゲルフェスト、主翼固定の意味で同調は出来ない。〜また、この砲は、
      可動式(旋回銃座の意)としても使用できる。ところが〜〜「「英国の戦闘」」で
      エリコン機関砲による戦果は期待ほどでなかった。其の原因は炸裂が早すぎ、敵機の機体に
      命中してすぐに作動する信管は不適当であった。そこで瞬発信管の代わりに遅発信管を使い
      爆発力が強く多量のガスを発生する炸薬を使ってようやく効果を発揮した。
      瞬発信管では金属の尾翼などへ命中弾を与えても、やや大きい穴が開くにすぎない。
      遅発信管によって命中弾を与えると、1メートルぐらいの破口が開くから、必殺の1発となる。
      この弾丸(M型)を使い、砲も改良した型をMG−FF/Mと呼び、以後全部がこれとなった。」


    >1.MG151/20 は電気発火式のため、〜この電気式同調装置〜
    >6.プロペラ同調装置をつけるということは、それだけ発射速度が低下する〜
       に関連文章。

      「MG151/20は同調可能であったけれども、そのときは発射速度毎分695〜785発を
       約200発以下に下げる必要があった。この同調と装弾および発射は全自動の電気式であった。

       〜MG151/20の試験は第二次世界大戦前の1938年すでに行われている。
       〜1940年から終戦の1945年まで総数39500門が生産され、そのうち
       19000門(48%)が1944年に作られた。これはドイツ人の焦りと努力の
       象徴であった。(連合国4発爆撃機の跳梁に対抗の意)」
               

    又、20mmクラスの大口径弾の威力は下記、HPの写真が参考になるんでは−−

      湾岸戦争時のA10攻撃機の主翼、被弾状況です。詳細な説明はされておりませんが、
      イラク軍の当時の対空火力の現状より、シルカ等の23mm弾(HEI弾?)が
      1〜2発命中したぐらいでは? と考えられます。

      http://www.a-10.org/photos/Image1.jpg

    又、現用のAH64アパッチにおいてはコックピット廻りや主要部分に1/2in以上の厚さの
    ジュラルミン装甲を使用している様ですが、その対弾性は23mm弾(HEI弾)
    命中でも20分間の飛行。12.7mmクラスなら30分間以上の飛行を考慮している様です。
    (メインローターの対弾性だったかも!)

    以上の事から、大口径弾(弾種は問わず。自機が搭載している、徹甲弾、炸薬弾、
    焼夷弾、曳航弾、
    のどれが当たるかは神のみぞ知る。)が当たった場合、
    その当時の、むくのアルミのペラは被弾しても持ちますでしょうか? ちょっと厳しいんでは!!


    奇跡の発動機?誉

  18. >17. ”曳航弾”−−−>曳光弾のまちがいでした。 訂正します。
     ちなみに曳光弾とは: 弾丸内に曳光剤を挿入し、空中飛行中光を発し、弾丸の飛行軌跡
     すなわち弾道を明示する物。併せて焼夷の効果も期待し得る。
     曳光距離は概ね1000米附近であるが、2色曳光を使用した物もある。
     これは例えば600米迄緑色、それより1200米迄は赤色曳光とせる。

        以上 昭和18年ごろの弾道学の文献より。



     自分でコメントしながら、佐貫亦男氏の文中、んんん!!!と思うところ有り。

     >.「遅発信管によって命中弾を与えると、1メートルぐらいの破口が開くから、
       必殺の1発となる。」−−−−−−>ちよっと大げさでは!!

     >.「MG151/20はは同調可能であったけれども〜発射速度毎分695〜785発を
        約200発以下に下げる必要があった。」−−−−−>という事は、3〜4発/秒、
        本当か? これが本当なら実戦(4発重爆相手)では使い物にならないんじゃ
        ないでしょうか!!。
      
    *ユンカースプロペラの技術導入の為、1944年頃までベルリンに滞在しておられた佐貫氏
    ですから、かなり信用出来る事。とは思いますが−−−。

    軌跡の発動機?誉

  19. 遅動信管は大型爆撃機対策として防弾タンク貫通後の炸裂を目的として海軍で導入されたものです。ですから、通常の航空機銃の着発信管付き榴弾では防弾タンクの表面で炸裂してしまい、タンクの破壊に至らない、ということです。ましってプロペラブレードであれば着発信管付きの榴弾の効果は極めて小さいのではないか、と考えられるということです。
    BUN

  20. ましてプロペラ・・・・ですね。
    BUN


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