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1397 素朴な疑問なのですが、現在使用されているジェット旅客機は亜音速機なのになぜ翼に後退角がつけられているのでしょうか。
NX

  1.  よくある誤解「後退翼は超音速のため」
     実際には「遷音速〜音速突破のため」に有利な翼です。
     機体が音速に近づくと、翼弦の飛行経路も長い経路を経る=加速される翼上面の気流が音速を超え、最大圧位置を超えてから亜音速に戻るところで翼面に衝撃波が立ち上がります。この部分以降の翼上面の気流は著しい乱流となるので、抵抗の急増・バフェッティングのみならず、(翼後半がなくなるのと同じことになるので)主にピッチ方向の(ときに左右不対称の)安定喪失現象を起こしてしまいます。
     そこで翼に後退角θを付け、翼前縁に垂直な方向の気流の速度を「機速×cosθ」に落とす(実際にはcosθの2/3乗倍)ことで衝撃波の発生を遅らせるという仕掛けが後退翼(デルタ翼も同じ)です。
     機速が音速を超えてしまえば「気流が亜音速に戻る」ところなどあるわけもなく、後退角の必要性はなくなります。
    Schump

  2. 補足しますと、音速を超える巡航速度の機体でも後退翼orデルタ翼を採用しているのは
    抵抗が急増する速度(抵抗発散速度)を高めるためで、ですから
    もとから抵抗発散速度の高い翼断面を持つ場合(F-104のような極端に薄い翼)、
    後退翼である必要性は完全に無くなります。


    たかつかさ

  3. ジェット旅客機は一万メートル以上の高々度を巡航します。気圧の低い高々度では音速が相対的に低くなり、衝撃波が発生しやすくなる事情もあるのではないかと思います。
    ささき

  4. 補足:音速の条件による変化は、気圧よりも温度の影響が支配的です。

    たかつかさ


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