QQCCMMVVGGTT
1602 第二次大戦中日本の航空機の防御が薄弱でアメリカのそれは強固で
あったとよくいわれていますが、ドイツやイギリスの航空機は
どうだったのでしょうか? 防弾鋼板、防弾タンク、自動消化装置
等はどの程度装備されていたのでしょう? またそれらについて
詳しく説明してある書物などはございますでしょうか?
ひろき

  1. 機銃弾で着火しにくい防弾タンクと操縦者を直撃弾から守る装甲の装備が常識となりつつあった大東亜戦争期の日本軍用機中では、三菱製有名機、二機種の防弾装備皆無の状態が異様に目立ちますね。このあたりの事情は考察に値します。
    さて、世界でも1930年代後半から軍用機の防弾装備の検討が本格的に始まりますが、操縦者後方の装甲は別として、防弾タンクの装備は日本戦闘機と同時期に実施され始めます。その後は各国空軍が直面した状況により、様々ですが、防御砲火の強力な大型爆撃機の邀撃を大規模に実施しなけばならなかった独空軍戦闘機は特に重防御になる傾向にあります。個々の機体の防弾装備の変遷は各機の資料にあり、入手も容易ですからご自身で手に取って御覧下さい。

    BUN

  2.  ドイツでは戦前のスペイン動乱参戦の経験から、燃料タンクの防漏化が研究されました。戦闘空域での被撃墜をのぞくと、損害の多くは燃料タンクの損傷のため基地への帰投ができなかった機体が多かったことが判明したからです。このため、敵弾が燃料タンクにあたっても、燃料が漏れないようにした自動防漏タンクが、第二次大戦前に開発されました。
     ドイツの多発機では、Ju88など大戦当初から自動防漏タンクが装備されています。そのほかの機体はドイツでは単発機もほとんどが装備しています。また防弾板も同様で、単発戦闘機のBf109Eはバトルオブブリテンの頃には胴体後部にアルミ積層防弾板を装備していたのが確認できます。
     これら防弾装備のみについての研究書は、やはりドイツ機に関してもありませんので、機会があればまとめたいとも思っています。また、一般に燃料タンクは防弾板で完全に覆うものはドイツでは確認されていません。従って、燃料タンク自体は弾を防ぐことはできないが、漏れを防ぐことはできるので、正確には防弾タンクではなく防漏タンクと呼ぶべきでしょう。
     また、自動消火装置は多発機に装備されており、Do335、He177などではマニュアルで確認できます。
     イギリス機に関してはその研究者におまかせします。
    国江

  3. 「防弾タンク」というのは歴史的な用語ですので、大戦機のセルフシーリングタンクを日本語で呼ぶ際、特に日本機のタンクを呼ぶ場合には、あえて変更する必要は無いのではありませんか。
    BUN

  4. 3に対して
     歴史的な用語というのはどういう意味でしょうか。私にはよくわかりませんが。
     また質問が、ドイツ機とイギリス機ではどうだった、ということなのでドイツ機に関して答えたものです。
     私は日本機の研究者ではありませんので、日本機で公式文書などに自動防漏式タンクが防弾タンクと呼ばれているのであれば、もちろん日本機に関してはそれでよいと思っています。 
     また、昔、防弾タンクと呼ばれるものに関する質問をよく受けましたが、その場合、銃弾などを防弾板のようにストップさせると思っている方が多かったので、説明に苦労した覚えもあります。
    国江

  5. まあまあ、息抜きでこちらを覗いて下さいな!  ”Fighter Armour” 
     http://www.geocities.com/CapeCanaveral/Hangar/8217/fgun/fgun-ar.html
    軌跡

  6. 日本軍用機の防弾鋼による装甲とゴム被覆による防弾タンクの装備は九九式軍偵あたりから導入されていますが、この頃からタンクに関しても「防弾」という用語が使われています。もはや当時と同様のゴム被覆タンクが作られることも無いのですから、当時の名称をそのまま保存して「防弾タンク」としても実害は無く、また「自動防漏式タンク」という呼び変えを行えば、その技術的内容は正しく指し示すことが出来るとしても、実用されていた当時の名称を廃れさせるのはどうかと思います。
     学術論文でもない限り、歴史的名称は残すほうが良いのではないでしょうか。同じように諸外国の「自動防漏タンク」を日本語で「防弾タンク」と呼ぶ事にも問題は無いとおもいますし、reviなどの反射式照準器を「光像式」と呼ぶこともまた、問題無いのではないでしょうか。我々は当時からそのような物をそう呼ぶ文化を持っていたのですから。
    BUN


Back