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1669 Su−27の試作機が15000mまでの上昇時間記録70.33秒という記録を持っていますがシー・ハリアーFRS.1は海面最大上昇率15240m/minです。どうなっとんでしょう?
カダフィ

  1. 海面上昇率が高度15000mまで持続するわけじゃないです。
    ささき

  2.  定性的な話。
     高度が上がってくると空気が薄くなり、翼は揚力を発生しにくくなり、上昇率は低下します。上昇を続けるには、加速して翼への空気流量を増大させて無理矢理揚力を確保する必要があります。つまり、低気圧・高速におけるエンジン性能が上昇性能に大きくかかわってくるのですが、これには以下の要素が絡んできます。

    (低気圧)
     ・酸素分圧も当然下がるので燃料が燃焼しにくい
       →過給あるいは圧縮比の向上が必要
     ・反動推進(ジェット)の場合、噴射ガスが抵抗なく流れるので効率向上
    (高速)
     ・自らのプロペラ/ファン気流またはジェット噴流より速く飛ぶのは不可能
       →プロペラ機やバイパス比の大きいターボファン機は不利
     ・空気取入口に空気が押し込まれる(ラム圧)ことによる実効圧縮比の向上
       (超音速機の場合、吸気を衝撃波を発生させずになめらかに減速させる必要あり)
     ・(上記に関連して)アフターバーナーをラムジェット的に作用させて効率向上

    上昇力を狙った機体は単に翼面積・アスペクト比を大きくするとか軽量化するとかだけではなく、このような要素を設計に組み込んでいるわけです。
    Schump

  3. では僕からは定量的なお話しを少し。
    所定高度までの上昇に要する時間は、上昇率を高度の函数と捉えてその逆数を、高度0から所定の高度に到るまで積分してやれば出るはずです。 今簡単なモデルとして、上昇率が海面高度で最大であり、海面高度から絶対上昇限度に到るまで線形に減退すると仮定して計算すると、(手許にあったSu-27の15,000mまでの上昇所要時間は76秒、同一条件の機体の絶対上昇限度は19,335mとしていましたからこの数字を使ってみます)、Su-27の初期上昇率は 22,823m/min を得ます。

    実際の上昇率は高度に反比例するわけではありませんし、(但し、亜音速で高度10km以内であればかなり良く近似します)、超音速機の場合M1.0近傍で抗力が非常に大きく、余剰推力が少なくなる傾向がある為、現実には高度を縦軸、速度を横軸に置いて等余剰推力曲線を描き、上昇率の変化を検討しなければなりませんが、ごく簡単な仮定をもとにしても、Su-27の記録を得るには上記のような初期上昇率が必要とされる点にご注意ください。

    みなと


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