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2036 いつも楽しく拝見させていただいております。
さて,本サイトや真実一路の「帝国海軍会議大中継」等を読んで思ったことのひとつに,太平洋戦争後半の日本海軍空母艦載機(彗星や天山,流星など)の発艦のことがあります。天山の複葉化?はともかくとして,当時の技術によって機体側への何らかのしくみ等を加えることにより,発艦に要する滑走距離の短縮を図ることはできなかったものでしょうか。
よろしくお願いいたします。
Zafira

  1. 「大中継」の中でも述べられているRATOってやつですよ。
    ロケットを装着して、発艦時のブースターとして使おうというものです。
    まなかじ

  2. 早速のご回答ありがとうございます。
    それでは,RATO以外の方法(高揚力装置など?)についてはどうなのでしょう?開発や改良の動きはあったのでしょうか。それとも当時の技術水準では発案しても実行不可能だったのでしょうか。
    恐れ入りますが,重ねてお願いいたします。
    質問者

  3. 発艦距離の問題というのは、離艦速度の問題と思っていいと思います。
    高翼面荷重の艦上機の発艦距離が伸びるのは、それを空中に浮かばせるまでの速度を得るのに時間がかかる、すなわち滑走距離が伸びる、ということですね。
    機体側としては、天山には蝶型フラップ、流星では二重スロットフラップ&ドループエプロンを採用するなど、かなりの努力はしています。
    しかし、こうした高揚力装置もある程度の速力がないと効いてきません。
    うんと低い速力で、ということになれば、ドイツのFi156シュトルヒに典型的に見られるような、軽量機体に大面積主翼、それに大規模な高揚力装置、という凧みたいな構造にすることになり、搭載力も速力も犠牲になってしまいます。
    実際、烈風の主翼がバカでかいと悪口を言われるのは、発艦距離の短縮のためだったのでしょう。

    まなかじ

  4. 発艦だけに限定して考えると、尾輪式の飛行機は走り始めの加速が悪く、また一度尾翼が浮き上がってからしばらく加速して、もう一度下げて飛び上がるという厄介な形式です。
    よほど強力なエンジンが付いてないと、三点姿勢のまま浮き上がるのは難しいと思いますよ。
    それでも、レシプロ機艦載機で3車輪式への移行は起こらなかった。これは、空母から飛んで空母に降りるという運用をする限り、より難しいボトルネックになる部分が着艦だったからだろうと私は想像しています。
    ちなみにB-25ミッチェルは、空母から飛ばして陸地に降ろすという運用では、それほど困難はなかったのかもしれませんね。前輪オレオの長さを微調整して、何とか飛び上がれる解答が見つかったんでしょう。
    あと、レシプロ機の場合、フラップは離陸滑走距離の短縮にはあまり効いてきません。実際、着陸には40度のフラップを使うことはあっても、離陸は0かせいぜい10度しか使いません。

    何とか浮き上がっても100mくらいでいきなり地面効果がなくなるという、空母特有の事情も考える必要がありそうです。
    MORIOKA

  5. 空母の飛行甲板長を伸ばすか,速力を増すことが一番現実的なような気がしてきました。
    丁寧なご回答ありがとうございました。

    質問者
    Zafira

  6. >4.
    >よほど強力なエンジンが付いてないと、三点姿勢のまま浮き上がるのは難しいと思いますよ。

    設問から少し外れますが、尾輪機が三点姿勢のままで離陸しないのは、早く気速をつける為に空気抵抗を減らし、同時に前方視界を確保するという理由だけではなく、失速速度すれすれで飛び上がってしまう危険を避けるという意味があります。三点姿勢で大きな迎え角をとったまま加速すると、飛行機は失速速度を超えた時点で浮き上がろうとしますが、この不安定な低速で飛び上がってしまうと、突然に風が変わった場合、回復不能な低高度で失速する破目になります。
    この危険を避ける為に、機体を地面と平行にした迎え角の小さな状態で加速し、失速速度にある程度の安全率を見込んだ速度に達したら、そこで初めて機体を引き起こして迎え角を増し(つまり揚力を増し)、上昇に移る訳です。

    つまり、三点姿勢のままでは浮き上がれないのではなく、浮き上がってしまって危ないからやらないという事です。また、この離陸時の安全速度は車輪の配置によって変わるわけではありませんから、

    >また一度尾翼が浮き上がってからしばらく加速して、もう一度下げて飛び上がるという厄介な形式です。

    この引き起こしの部分の手順は、尾輪式も三輪式も同じです。


    とは言え零戦やP−51の離陸の映像を見ると、三点に近い姿勢のままで、案外あっさりと飛び上がっているものがあります。これはその時の滑走路の長さに余裕があるので、空気抵抗減少に気を使う必要が無いのか、或いは不整地なので滑走路面が信用出来ないという事なのか、いずれにしても、ジェネアビで使っている機体とは桁外れの余剰馬力によって、簡単に安全速度に達する事が可能だから出来る技なのでしょう。というよりも、その『余剰』の部分が戦闘機としての性能な訳ですから、その位の余裕があって当然なのかもしれません。

    また余談ですが、ブッシュパイロットが尾輪機を短距離離陸させるテクニックには、フルブレーキのままエンジンを吹かしてその場で強引に尾部を上げ、機体を地面と平行にしてからブレーキを放して滑走開始、という荒技があるそうです。
    MITTU

  7. えー、私の答えに引用が付いてますので・・・
    艦載運用でという前提から、段々と離れていきますが、仕方ないですね。レシプロで発艦経験のある人は少ないでしょうから。(ジェットの経験者も日本語サイトいは来ないか)
    それで三点姿勢で飛び上がれないか、飛び上がらないのかの問題は、あくまで飛び上がれないのだとしたいです。燃料に爆装つき、空荷では飛ぶ必要がないんですから。ただ、私は母艦運用で、失速速度の何割増しで発進する規定かは知りません。3割増を要求したら贅沢かな、1割増だと危ないかな、といった感じを持ってます。でも、失速速度は地面効果なし、パワーなしの数字が公表されるものですから、上手に離陸すれば結構ごまかせるものです。規定がどうかは知りませんよ。洋上は風の急変はないでしょう? あるのかな?
    ブッシュ運用では、さっさと地面からは離れて、地面効果内でもう少し速度を付けるという必要性も多いのです。たとえば、雪解けのターフでグシャグシャだとか。
    それから、尾翼を浮かせてという書き方をしたので、誤解される方がいるといけないので念押しですが、飛行機の尾翼というのは本来後の端っこを下に押し下げておくための翼です。翼断面みるとわかります。それで、尾輪式の飛行機の尻が浮き上がるのは、やっぱり主翼の揚力によるんです。(ただし、指摘されたブッシュパイロットの裏技の場合は別。どっちかというとエアショーのアクロバットで見せる技のような気がしますけど。この場合は、たしかに昇降舵を一杯に下に下げた状態で、地面との隙間を通り抜ける気流で強引に持ち上げる感じです。)
    他の書き込みを見ながら書くことができないので、この辺で。また必要があったら書きます。

    Morioka


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