QQCCMMVVGGTT
2171 飛行機の運動性の定義について教えてください。
例えば右旋回する場合、機体を右にロールし、その後操縦桿を引くと思います。
これなら低翼面荷重の機体の方が旋回性が大なのはわかります。
しかし、右左右のような機動をする場合はロールの速さが重要では無いのでしょうか?
つまり上記のような機動(右左右)の場合、補助翼の効きの悪い零戦より、雷電等のほうが小気味良く動作するような気がしています。
実際、零戦と雷電との擬似戦闘では雷電はどうする事もできなかったようですから
これは誤った感覚でしょうか?

Jack&Betty

  1. >運動性の定義
    うーん、これは非常に奥の深い話なので簡単には定義できないと思います。
    「運動性の悪い」飛行機なら簡単に定義できるんですけどね(笑)。
    一般には舵がよく利いて小回りが利くことを「運動性が良い」と言うみたいです。

    >実際、零戦と雷電との擬似戦闘では雷電はどうする事もできなかったようですから
    要するに空中戦は運動性の比べっこをやるわけではない、という事なのでしょう。

    ささき

  2. 初期の雷電が第二撃以降の旋回戦闘で零戦に捕まって、さらに降下して逃げ切れず負けたのは確かですが、急降下で300ktしか出ないJ2M1ですからね。より後期の機体ならもっと逃げようがあったのではないかとも思います。


  3. どうもありがとうございます。
    雷電が逃げて、零戦が追っかけるという状況を想定してください。
    雷電はダイブして逃げるという戦い方ではなく、最高速に近い状態で右左右と8の
    字を描くような退避行動をとった場合、ロール特性の高い雷電に零戦はついていけ
    ないような気がするのです。
    史実から考えて実際は違うのでしょうね。。
    Jack&Betty

  4. 全速度域での横転操作は零戦のかなり重大な弱点のひとつです。実は、雷電も高速での補助翼は、零戦よりマシではあるにしても、やはり重いです。緩慢な右ロールから左ロールへの切り替えの瞬間は狙い目かも知れませんね。


  5. >緩慢な右ロールから左ロールへの切り替えの瞬間は狙い目かも知れませんね。
     切り返す時に直線飛行する瞬間があり、これが隙になるそうです。坂井三郎氏は著書のなかで「左右に切り返すのは下手糞の飛びかた」と戒めていますね。またエルロンを使って機軸を一周させるバレル・ロールも「無意味な機動」と断言しています。
     しかし、高速でもエルロンのよく利く米軍機には必ずしも当てはまらないようです。坂井氏も二機の F6F が「鋏を切り返すような」編隊シザース機動で彼の追撃を振り切ったことを著書に記していましたし、戦後 P-51 に試乗したとき「零戦では不可能な高速での横転が容易にできる事に脅威を感じた」との談話もあります。

     飛行機にはそれぞれ得意とする飛行域(フライト・エンベロープ)があり、空中戦とは自機をなるべく優位なエンベロープにとどめつつ、相手を苦手な領域へ追い込んで行く戦いです。ですから同条件での「運動性」比較というのは、空中戦の勝敗には直接つながらないと思います。
    ささき

  6.  戦車マガジン ステルス戦闘機 Vol.2/ステルス爆撃機B−2(1992年3月)から抜粋。
     「1980年代の中頃までには、戦闘機設計者と運用解析専門化は、「運動性」という言葉の意味するものをもう一歩突っ込んで考え始めていた。「運動性」とは、マッハ数、高度、余剰推力、G等によって変化する値であるが、これを「敏捷性」と「操作性」で置き代えてはどうかというのである。
      「敏捷性」というのは定義」が難しく、今日でもいまだに厳密に一般的な公式で表現されていないが、「運動性」を”速く”と表現すれば、「敏捷性」は”機敏に”とでも表現できるであろうか。
      ある戦闘機がマッハ0.9で9Gの旋回を継続して行えたり、6Gで引き起こした後でそのまま上昇や加速が行えれば運動性が良いと言える。
      しかしこれだけでは、横転する前に2Gに荷重を減らさなければならないのか、それに要する時間はどれ位かは全く分からない。
      「敏捷性」は、一つの定常的な運動から他の運動へ切り換える能力と定義できる。ノースロップ社では別に「速度ベクトルの方向と大きさを急速に変化する能力」と定義している。」
     ロール率は普通は翼幅が小さい、厳密に言えば回転モーメントが小さいほど良くなります。この事を利用してF−5は目の覚めるようなロールでF−15等と渡り合います。
    ザイドリッツ


Back