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2371 このような質問はどうかと思ったのですがプロペラ機の理屈に通じるのではと感じ質問いたします。それは風車の羽根の数のことです。風車には色々なタイプがありますが羽根の数は多いほど大量の風を受けられ効率が良いのではないのでしょうか?プロペラ機の場合、エンジン馬力に依存するわけですが…なのに風車羽根はなぜ数に違いがあるのでしょうか?
是非とも知りたいのでお願いします!
ヘリコバクター

  1.  風車の羽根の合計面積は大きければ大きいほど駆動力そのものは増加します。つまり、直径を大きくし、幅の広い羽根をたくさん付けていたほうが出力は高い…ことにはなっています。しかし、風車の目的によっていろいろな事情が生じてきます。

    (電力事業・揚水に使う場合)
     回っていない時間が短い方が稼働率が高く、実用的です。よって起動風速が小さいことが重要です。また、大出力の発電機やポンプを駆動するわけですから、負荷は当然大きくなります。このことから、
     ・大直径の羽根を使い、(テコの原理で)発電機の軸を駆動するトルクを稼ぐ
     ・風車自身が重いと弱風時に回らないので、羽根をやたらと増やせない
    という制約が生じ、大直径の1〜3枚羽根(揚水用でも4枚ぐらいまで)のものが多用されます。また、サボニウス型、ダリウス型等の風向に依存しない風車が使われることもあります。

    (ヒコーキの発電・ポンプ駆動に使う場合)
     飛行中に使うわけですから、一定以上の風速が保証されています。と同時に機体の空気抵抗を増やさないように、あるいは使わないときは格納できるようにコンパクトにすることも重要です。よって、
     ・小直径の羽根を使って小型化する
     ・さりとて出力は欲しい
    という事情から、小直径で羽根が幅広だったり枚数が多かったりするものが多くなります。もちろん風向が安定しているのでプロペラ型風車となります。

    (風速計)
     測定範囲にもよりますが、起動風速はなるべく小さい方がよく、しかし強風で壊れないようにするためには回転円板面積を小さくして無理な負荷がかからないようにする必要があります。ただし、負荷は小さくて済みます(小型発電機、又はリードスイッチ・光学センサ等で回転を検出するための円板等)。よって
     ・そこそこの直径にしておく
     ・弱い風を測るには羽根はやたらと減らせない(起動風速が大きくなる)
     ・羽根が重いと風速の変化に対する反応が鈍くなる(羽根枚数に限度)
    という条件になり、せいぜい直径60cm程度で、3〜4枚の幅広の羽根を持つものが普通です(微風用ではファン状の8〜12枚羽根のものもある)。また、首振りを使って風向を測る風車型風速計(プロペラ型風車)と風速だけを測り、風向は別途ベーンを使う風杯型風速計(風杯型風車)があります(他に微風用ビラム風車(風向測定はベーンによる)が少々)。ちなみに、風杯型の風杯(垂直軸周りのお椀)は、昔は4個でしたが、センサの発達で力がいらなくなったことから、反応性の良い3杯型に移行しています。
    Schump

  2. そういえば、戦前にプロペラの設計者だった佐貫亦男先生は、戦後はしばらくのあいだ気象庁で気象観測機器を設計されていたそうですね。

    便利少尉

  3. 早速の回答、有難うございます。ところで
    >・風車自身が重いと弱風時に回らないので、羽根をやたらと増やせない
    とのことについてですが、電力事業の場合、羽根を増やして重量が増加しても受風面積が増えるので好都合の筈では?またピッチ角も調整できるので起動風速などの問題もなくなるのでは?  どうでしょうか。
    ヘリコバクター

  4. >3
    ちょいと調べました。
    羽根枚数の多い風車には

    ・風の通り抜け抵抗〜風車近辺の風速低下が大きい
      →後方乱流(周辺風の巻込み)による騒音等
    ・ハブの構造が複雑化する
      →故障の多さ、強風・高回転時の破損
    ・1回転あたりの風切り回数が多く、運転音が高い
      →騒音の到達距離が大きい

    という性能面以外の問題があるようです。
    Schump

  5. (続き)…話はもう少し複雑なようで、

    (ブレード増やす)
    ・小型でも大トルク・低起動風速が可能
    ・重くなるので大型化しにくい
    ・ブレード同士の干渉による効率低下・騒音
    ・低回転でも騒音の周波数が高い
    ・規模に対して後方乱流が大きい
    ・風向への追従性が悪い

    (ブレード減らす)
    ・大型化しても軽量・安価
    ・ハブに余裕があるので可変ピッチ化しやすい
    ・振動が出にくい(特に3枚)
    ・風速変化に敏感(フライホイール効果少ない)で過回転に陥りやすい
    ・高回転化による騒音の増大(特に小型)
    ・受風面積=出力を稼ぐには大型化が必要

    という長短があります。要するに「少ブレードは大型化に有利」ということで、上記1・4はあくまで事業用大型を念頭に置いて書いたので、「多ブレード=発電に使えない」ということではありません。自家発電用なら多ブレードの方がいい場合もあります。
    Schump

  6. 嗚呼 なるほど 干渉〜乱流の問題が考慮されなくてはならないのですね。そういえば独空軍戦闘機は同様な理由からプロペラ枚数を3枚に限定していたとか。
    丁寧で親切な回答をいただき深謝いたします。

    ヘリコバクター


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