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2578 航空機用エンジンとして、自動車エンジンが転用出来ないのは運用回転数が高い為でしょうか?実用的な減速器が在れば、かなり良いと思うですが・・・。
過去にリノのアンリミテッドクラスに日産のスポーツカーのエンジンを搭載した機体が在りましたが、十分な成績を残す事が出来ずに墜落により失われたのはやはり減速器の不調が原因だったのでしょうか?
タケ

  1.  ご推察のとおり、回転数は大きな問題で、軽くて壊れないギアボックスの製作がネックになっています(この開発費と事故ったときの補償が売上げとペイしない、というメーカーの計算ね)。他に低大気圧環境での過給とか、同一セッティングで対応しなければならない温度範囲がかなり広くなければならないことによる(おもに冷却系の)設計変更等も重要な要員です。
     自作機のエンジンとしては、VWビートルのエンジンがよく使われています(最近はロータックス等の専用エンジンに押されてますが)。これは回転数が低くて信頼性が高いおかげですね(1200cc、48hpというのは航空機用に近いリッターあたり出力)。他にはカナダに古いアコードのエンジンを航空機用に再生している会社があるという記事がちょっと前の航空ファンに出てたはずですが…見つからないT_T…確かギアボックスは自製していたような。

     ニッサンのエンジン(フェアレディやらセドリックやらのVG30の改造型)を積んでいたのは「ポンドレーサー」という機体です。これがうまくいかなかった原因としては、

    ・無茶なチューンアップ(3000ccで1000hp、結局約600hpに制限)
    ・冷却能力不足(狭すぎるナセル内部、ラジエター容量不足)
    ・全開率の高さ(常時全力、ということはクルマではまずやらない)
    ・常時縦に4G以上の加速度(クルマならときどき横に3〜4G程度で済む)

    という航空機特有の運転条件が挙げられます(自動車エンジンの航空機転用一般の問題とはちょっと違う)。
    Schump

  2.  重量と出力だけ見れば魅力的に映りますが、今日の自動車用エンジンは「自動車」という機械に合わせて高度に最適化されており、使用環境のかなり異なる飛行機への転用は簡単にはできないと思います。
     ペラ直結のライカミング O-235 を搭載したセスナ 152 の場合、運用回転域は 1000(アイドリング)、1900〜2550(通常運転)くらいです。どんな飛行機にどういう条件で積むかにもよりますが、回転数「だけ」ならそれほど大きな問題ではないと思います。
     自動車用エンジンの飛行機への応用例が少ないのは要求される性格がかなり異なり、適合する製品が少ないことにあるのではないでしょうか。2乗り小型機に使われる最小クラスの O-235 だと空冷水平対向4気筒 3.8 リッター 100hp / 98Kg、1クラス上の O-360 だと 5.9 リッター 200hp / 130Kg です。
     自動車エンジンは一般に、航空エンジンに比して少排気量、多気筒、高回転です。また電装系や冷却系も複雑で、逆に潤滑系はそれほど激しいGの変動を前提としない設計となっています。逆に頑丈で激しい使用に耐えます。
     飛行機エンジンは自動車用にくらべ原始的で、大雑把というか単純な構造です。しかし広い範囲での気圧・G環境での動作を前提としており、また停止は即大事故につながるため自動車用より頻繁な整備を受けます。つまり飛行機エンジンが原始的で少気筒数なのは部品点数を減らすことで維持費を下げ信頼性を上げる意味があります。

    ささき

  3. ポンドレーサーが充分な成績を残せなかったもうひとつの理由は、機体の設計にもあったと記憶しています、3000馬力級の気体が引き起こすプロペラ後流の激しさは設計者の予想を越えるものだったらしく先行機が起こす乱気流に機体が揉まれてしまう為操縦が難しく、自然他の機体の機体からの影響を受けない高度を取らざるを得ないことからタイトなコース取りが出来ないと言った事が充分な成績を残せなかった理由として挙げられています。
    これは機体が軽いこと(エンジン出力自体があまり大きくないので機体を軽くせざるを得ない)によるもので、実際飛行機として劣っているわけでは有りません。
    ooi


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