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2589  翼面積の算出法について教えてください。
 ごくふつうの飛行機ならば何も悩むこともないと思うのですが、リフティングボディ機や、水平尾翼も正の揚力を発生する模型飛行機などでは、主翼面積だけ考えていてはまずい気がいたします。こうした機体について、発表されているデータからではなく、図面やスケールモデル、模型飛行機ならば現物から翼面積を算出しようとする時にはどのようにすべきなのでしょうか。
fqk

  1. #リフティングボディ
     計算上、とりあえずは平面投影面積をもって翼面積相当とはしますが、通常の翼とは揚力発生の過程が異なる部分がある(下面の形状と迎角で気流を下向きに曲げる作用の割合が大きい・模型での経験上、同一平面形の翼よりもかなり前に空力中心があるような)ので、比較は無意味だとして、データ化しない例が多いようです。
     通常の翼とリフティングボディを併用する機体(ノースロップN-156系、Su-24等)では、揚力発生過程の違いから、それぞれが最も有効な飛行条件が異なるため、データ上、従たる部分であるリフティングボディ部分は算入されません。

    #水平尾翼
     まず、揚力尾翼を翼面積に対してプラスに算入するなら、通常の水平尾翼はマイナスとして算入しなければならないことになりますね。そもそも水平尾翼は主翼後流の影響、面積やアスペクト比が主翼に比べてかなり小さいことによる効率の低下、取付角の違い等により主翼と同等に揚力を発生できるわけではない(面積あたりの揚力は主翼の1/4〜1/3程度)ので、一体にする意味はありません。主翼(の空力中心)・重心・水平尾翼(の空力中心)の位置関係や取付角を明らかにしたうえでそれぞれの面積の比率等を考えることになります。
     公表データでも(揚力尾翼であろうとなかろうと)水平尾翼面積は主翼とは別項目になっています。

    #翼面積の出し方
    (算入)
     ・上半角による目減り分(平面投影を基準に)
     ・胴体と重なる部分(胴体直近の前後縁の線をそれぞれ胴体中心まで延長)
     ・ナセルと重なる部分(両側の前後縁を結んだ線を引く)
    (不算入)
     ・フィレット、ストレーキ等
     ・展開状態のスラット、フラップ等
     ・翼端ポッド、ウイングレット等(公表データでは含む場合もある。)

    Schump

  2. 便乗で申し訳ないのですが、Su-24ってリフティング・ボディを採用していたのですか?詳しく教えていただきたいです


  3.  ありがとうございました。あまり細かくこだわってもキリがないのですね・・・。
    質問者

  4. >2
     Su-24は、低空を音速近い速度で地形をかいくぐりながら侵攻していく用法を前提に開発された機体です。このため、濃密な大気(空力的な負荷が大きい)の中での高G機動により翼付根にかかる負担を軽減するため、しゃくれあがった機首下面とまっ平らな胴体下面を使って胴体から揚力を発生するように設計されています。同じ用途で開発されたF-111やトーネードでもこのような配慮はなされていますが、Su-24のものがもっとも徹底している(原型T6-1がリフトエンジンを内蔵するために胴体が四角断面になっていたことのおかげもある)そうです。
     同様の形態のリフティングボディを持つ飛行体としては、アメリカのAGM-129、AGM-86両巡航ミサイル、フランスのアパシュ空対地ミサイル等があります。
    Schump


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