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2687 Q2679をみて思ったのですが、烈風にはたしか設計段階で、乙案として主翼長13mがあったと思います。
仮定として、例えば、そちらを採用したら、下で述べられているロールとか、突っ込みの性能というのは上がるのでしょうか? もちろんハ43が定格通りの出力を発揮したとしてです。実際は翼面過重が主翼長14mの甲案(実際に製作されたA7M)よりも高くて、不採用になってる筈です(記憶モード)。余剰推力などからみても、個人的にはむしろこっちの方がむしろ格闘戦で威力を発揮したような気がするので・・・。
Yakisaba

  1.  烈風の図体等は要求性能をクリアするために定められました。
     厳しかった条件は離着艦性能と航続力です。

     このあたりの経緯は学研の試作戦闘機に詳しく触れられていますが
     つまり、空母で運用できる戦闘機「艦上戦闘機」として厳しい離着艦条件が定められていたのです。
     17年7月の要求仕様には翼面荷重150で考えられていた事が記されてます。

     三菱は馬力が足りないと主張してます。あんだけの武装と燃料積んで空母から発進するには翼面荷重130が必要であると。(要求性能では合成風速12mで80m以内)
     三菱の試算ではこの時点で(海軍指定とは違い自社主張のA20発動機でも)翼面荷重150では89〜94m(風や積載で多少違う)指定された誉では95〜100mとなり、つまり空母での現実的な運用が出来ません(これは三菱の試算です。三菱は翼面150では無理だと言ってるのです)
     そして130でA20発動機なら74〜79mで発艦できると(つまり要求性能があのままならA20で130にしてくれと三菱はごねてるわけです)
     ですが誉で150で何とかせいと言う事で、これはそのまま通ってます。
     その後空技廠からのちゃちゃが入ったりで(空技廠は別の腹案があった)三菱はこれ幸いと130で作っちゃって、以下ああなるわけです。

     そもそも当初から150で考えられていた(性能重視)
     現実的な空母での運用もあって色々すったもんだあって130になっちゃった。てのが実情で、しかも130を言い出したのは三菱なワケです。
     つまり乙案はそもそもの当初の予定だった設計案でありそれが空母から発進できないというのが各方面で懸念されており、たぶん皆誰かが言い出すのを待っていたのです。空技廠が130でいくべと言い出して、皆それを待っていたので「130で決定」と、そういう事でしょう(笑)
     てなワケで、烈風は空戦性能で主翼サイズが決まったのではなく、離艦性能で決まっていたのです。

    SUDO

  2. #ロール
     翼幅が狭いと、機軸周りの慣性モーメント及び空気抵抗モーメントが減りますので、最大ロール率は上がるのが基本です(あまり極端なことをしなければ)。また、翼幅なりにエルロンが短くなっていればそのぶん操舵も軽くなるはずです。

    #突っ込み
      「急降下(なかんづくパワーダイブ)時の加速」という意味で考えれば、翼面積の小さい機体は「(エンジン推力+重力加速)−空気抵抗」の値が大きくなるので有利です。

    #総合的な格闘戦能力
     甲案は乙案よりもアスペクト比(=翼幅の2乗÷翼面積)が大きいはずです(手許にスペックなし失礼。)。
     アスペクト比の大きな翼には、「(特に大迎角時の)空気抵抗が(面積の割に)少ない〜失速しにくい」というメリットがあります。このため、
     ・急降下後に少々急な引き起こしをしてもスピンに入りにくい
     ・旋回時の速度低下を抑えられる
     ・高高度での性能低下を遅らせられる
    等の利点があり、一概に不利とはいえません。
     また、余剰推力についても(機体重量についてはさておき)上記のような空力的メリットが想定される以上、乙案が有利だと言い切れるのは「中・低高度での水平飛行時の余剰推力」だけで、飛行状態によっては甲案優位のときもありえます。余剰推力の改善をいうなら、エンジンの性能向上や機体の軽量化によるのが正道です。


    …実際問題として、甲乙案程度の差で上記のような有意な空戦能力の差が出たかどうかすら疑問です。甲案とベアキャットぐらいまで違う設計にするならともかく。だったら離艦性能に不安のない甲案をとるのが正解(>1)かと。
    Schump

  3. 150kg/u案と130kg/u案のアスペクト比は多分同じです。理由は・・・聞かないでください。
    BUN

  4. 13.4メートル、28平方メートルと
    14メートル、30.86平方メートルですね。
    算数でやっても、両者がほぼ相似形であることは見て取れるから大丈夫。(何が?)



  5. 皆様ありがとうございます。主翼長が離艦性能からきていたとは知りませんでした。現在海外におり、全て記憶モードで書いてるもので。このページは本当に見てて楽しいです。
    >余剰推力の改善をいうなら、エンジンの性能向上や機体の軽量化によるのが正道
    これは、主翼の縮小による、空気抵抗と重量の低減で、結果的に出力重量比は向上し、旋回終了後の速度維持に有利なのではないのでしょうか? おもいっきり初心者な質問ですみません。
    Yakisaba

  6. >5. 他の方々が答えられないので、僭越ながら私から補足を。一般論で言えば翼面積は大きいほうが(翼面過重が低いほうが)旋回半径は小さくなり、アスペクト比の高い(細長い)ほうが誘導抵抗が少ないため旋回に伴う速度低下が少ないことになります。しかし細長い翼は高速で捩じれやすく横転方向の舵が重くなるため、空戦速度が高い場合には不利になります。このように空戦機動には実に様々な要因が影響するため、一つのパラメータ変更が機体の特性をどう変えるかを答えるのは難しいです。個人的には、烈風の巨大な主翼は前時代的とも言える低速巴戦には有利であっても、P-51 や F4U が得意とする上下面を使った反復一撃離脱戦法には向かないと思います。ただ、互いの特性があまりに違うがゆえに一式戦III型や五式戦に評される「落とせもしないが、落とされもしない」という位置を見つけ出せたかも知れません。
    ささき

  7. >6
     でもね低い翼面荷重は優れた上昇力にも繋がるし、高高度での飛行性能にも寄与するんですよ。落っこちるのが速いだけじゃ縦の空戦は成立しないし、米軍のガンカメラ映像や本土で空線を見た人の話を総合すると「前時代的」な低空巴戦が非常に多いのもまた事実。

     結局のところ完成して使ってみないと良く判らないんじゃないかなとか思うんですけどどうでしょ?


    SUDO

  8. ところで紫電改の艦上戦闘機としての資質は、烈風と比べてどうだったのでしょうか。信濃でのテストでは離着艦には問題なかったそうですが。
    NX


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