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2714 現代では復葉のジェット旅客機などは出現する可能性はないのでしょうか。実現したら、エプロンでの駐機数を多くできるとか、翼の強度をそれほど高くなくてもよいとか、翼幅が小さくても千人乗りジャンボが出来るのではないかと夢想してしまうのですが、ナンセンスでしょうか。
キテレツ

  1. 複葉、とはちょっと違いますが、前進翼と後退翼を翼端で結合した
    ジョインド・ウィングというアイデアがありますね。
    平面形を見ると前後の翼でひし形を形成しています。
    利点は翼根と翼端の両方で結合しているので、普通の片持ち翼に比べて
    軽くて強度を高く出来ることのようです。

    便利少尉

  2.  複葉機というのは空力的に効率が悪いのです。両翼の間の空間は下翼の負圧側かつ上翼の正圧側であるという矛盾した状態になっていることを考えれば、上下の翼が相互に干渉しあって揚力の発生を妨げていることが直観的に理解できるかと思います。これを避けるには上下翼を前後にずらすこともできますが、そうすると後方の翼が前方の翼の後流を受けて効率が低下する、という問題があります。
     数年前、紙飛行機の競技で「多葉機部門」が提唱され、テスト競技会も何回か行われましたが、「n葉機の航続時間は√n倍して点数にするのが妥当らしい」という報告がでていたかと記憶しています。多葉機はそれだけ効率が悪いのです。

     ほかにも、強度を保つために支柱や張り線をつけるとそのぶんの空気抵抗が増えるとか、胴体側の取付点も「重量全部を支えるものを1か所」と「重量の半分を支えるもの2か所」では後者の方がスペースを食うので貨客のスペースがそのぶん減るといった問題が考えられます。
     飛行場内で場所を取らない、といえばB777に「翼端折りたたみ」のオプションがあったような。
    Schump

  3. こんなバカな質問にお答えいただきありがとうございました。そうすると第一次大戦頃の複葉機は下翼の上面形状が上翼の下面形状になって、両翼間では負圧が発生しないようになっているわけですね。仮にブルーエンジェルが2機上下で接近して水平飛行を維持した場合、両機間で負圧が発生していくらか高度をさげることになるのでしょうか。それともどちらかが引っ張られるのかな。
    キテレツ

  4. >3
    #複葉機
     考えすぎです。上下翼とも下面が正圧、上面が負圧になっていて相互干渉しています。だから高速化にともなって単葉機に代わっていったのです。
     複葉機の利点として、翼間支柱や張り線と組み合わせることによって曲げやねじれに強い箱型構造を作り、軽量かつ強固な翼系統を作ることができることがあります。エンジンの出力が低く、材料や工法が未発達だった時代にはこれが重要でした(当時の技術では、かえって単葉機のほうが外部に支柱や張り線をたくさんつけなければならないことすらありました)。
     現在のような片持翼(外部に支柱や張り線を持たない)は、材料そのものもさることながら、空力設計の進歩で厚い翼を使うようになったこと、そして桁自身や桁と外板の組合せが作る立体構造で強度を得る構造が発明されたことにより可能になったものです。
     なお、片持翼の複葉機もあるにはありますが、当然上下翼の干渉の問題は残ります。また、上下翼の干渉を少なくするために上下翼の間を極端にあけた機体(カーチス・コンドル輸送機など)がありますが、これはこれで翼間支柱や上翼支持支柱が長大になって空気抵抗の元になるので、根本的解決にはなっていません。

    #バック・トゥ・バック
     背面飛行をしている機体では、迎角をマイナス(重力との関係ではプラス)にとったり、機種によっては動翼を動かして翼断面を変えたりして下向き(重力との関係では上向き)の揚力を出しています。つまり、翼上面が正圧、下面が負圧の状態にあります。
     よって、背中合わせで並行に飛行している2機は、あえていえば「胴体がくっついていない複葉機」に近い状態にあることになります。
    Schump


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