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2877 ジェット戦闘機の航続距離は燃料搭載量に左右されるのもなのでしょうか?
燃費に優れるジェット戦闘機というものはあるのでしょうか?
rf12

  1.  燃料を多く積んでおけば、それだけ長時間エンジンを回しておくことができますから、航続距離は当然に伸びます。ただし、残燃料が多い状態というのは、

    ・重いので機体を支えるだけの揚力を発生することに伴う空気抵抗が大きい
    ・増槽装備の場合、それ自体が空気抵抗源となる

    ということで、空気抵抗を打ち消す推力も大きくなり、(時間あたりの)燃料消費量は増えます。よって、同じ機体にたとえば2倍の燃料を積んだからといって航続距離・航続時間は2倍にはなりません。

     ジェット戦闘機というのは、以下のような点で他の機種に比べて燃費向上に不利な条件を抱えています。「燃費に優れるジェット戦闘機」といってもこの制限の中でのことになります。

    ・低翼面荷重による運動性能・STOL性の確保→
    ・兵装搭載量を増す→高速巡航に向かない大面積の主翼、強度確保のため重量増、
              兵装・パイロンの空気抵抗
    ・高速性能→大後退角、主翼アスペクト比小、エンジンバイパス比に上限
    ・機動に伴う高G対応→主翼アスペクト比小、強度確保のため重量増
    ・ステルス性向上→エンジン吸気・排気経路の抵抗増大
    Schump

  2. 確かアメリカの「A−10 サンダーボルト」のエンジンが民間機用のエンジン(ビジネスジェット機用だったと思います)で燃費がいいとか聞いたことが・・・
    画面の中の飛行機乗り

  3. >2 A10やS3に用いられているTF34エンジンは、高バイパス比のターボファンエンジンです。これの民間機用型がCF34でカナダのボンバルディアCRJ100などのジェット機に用いられています。
    A10同様、対潜作戦に用いられるS3も高速は不要だが長大な航続距離が求められたものであり、燃費に優れるこのエンジンが用いられたわけです。
    ただ、A10が初飛行した1972年当時というと、戦闘機や攻撃機に搭載できる位のサイズのターボファンエンジンが装備され始めて間もない頃でした。それまでのJ79等のターボジェットエンジンに比べて、ターボファンエンジンは燃費が良く(バイパス比が高いほど有利)、最近の軍用ジェット機でも殆どがターボファンです。
    下はGEのTF34に関するサイトですが、同じ軍用ターボファンでもF110に比べエンジン直径が大きく嵩張るため、超音速戦闘機には向かないようで。
    http://www.geae.com/military/serv_models_tf34.html
    あ、A10やS3ってジェット戦闘機ではなかった・・
    アリエフ

  4. 現代の戦闘機というなら、航続力が燃料搭載量ももちろん左右しますが。やはり無視し得ない条件は、燃料の消費がハネ上がるアフターバーナーの使用時間も重要ではないでしょうか?(つまりどんなミッションをするかということですね。)
    例えば、クリーン状態で3000km近い航続力のあるF15Aは、離陸からアフターバーナーを使用して加速上昇して行くと175kmほどでアフターバーナーを切って(だと思った)帰還する程度だと記憶しています。これってMe163の2倍程度です。

    バウアー中尉

  5. はじめまして。
    ちょっと専門分野にかぶっていたので・・・
    まず先のほうの質問から。
    戦闘機に限らず、すべての内燃機関型航空機の航続距離を決定する要因はいくつかあります。
    結論から言うと、以下のもので航続距離が決まります。

    燃料搭載量
    飛行高度
    積載重量
    機体本体の重量
    飛行の経緯(戦闘行為、急上昇、急旋回など)
    エンジンの新しさ

    飛行高度もとても重要です。空気密度が高い低空では抵抗が大きく非常に効率が悪くなります。
    旅客機でも国内線は搭載燃料が少ないので、急角度で上昇し、なるべく短時間で高空に到達し、高空にとどまる時間の割合を長くしようとします。
    国際線は距離が長いし搭載燃料も重いので、パワーを押さえ気味でゆっくり上昇し、あとはのんびりと高空をひたすら飛びます。
    そのあたりは、重量とも兼ね合うので難しいですが、現在ではほとんどコンピューターで最適経路を計算できるようです。
    レーダーに見つからないように低空飛行すれば当然航続距離は大幅に落ちます。

    これはすべての飛行機について言えることで、戦闘機でも同じです。
    ただし、戦闘機は極限的な航空機で、飛行機の中ではきわめて特殊です。燃費はどちらかというと後回しです。

    そして後の質問
    当然、メーカーは同じクラスでは新しい戦闘機ほど航続距離は伸びるように目指して設計します。(F4,F15,F22など)
    ただ、基本的に新しい飛行機ほど、「同じ条件では」燃費はよくなっています。それは機体の軽量化が進んでいることが大きいです。
    F22はF15よりも多くの燃料を積めますが、空の時の重量はF15よりも軽くなっているはずです。同じ離陸重量だった場合、燃料の量がF22の方が多いのです。
    細かい数字は極秘なのでまったく知りませんが、同じ条件で飛べばF22がF15より燃費が悪いことはないでしょう。
    あくまでも「同じ条件で飛行する」場合です。この条件は、離陸重量、飛行高度、飛行速度、風向き、風速などです。
    当然向かい風で飛べば、地上の同じ2点間を飛ぶにしても、追い風の場合より時間がかかって燃費的にも不利です。
    ただ、燃料と兵器が満載のF16Cと、燃料満載のF16Cでは航続距離は当然違うし、たとえF22のように胴体内に兵器を格納して空気抵抗を減らしても、重量が大きければそのために必要な揚力増加分を揚抗比(アスペクト比とは全然違います)で割っただけの有害抵抗が増加するため、やはり燃費は悪くなります。
    まあ、機外に搭載するよりはましですが。

    ということで、よろしいでしょうか?

    eagle_ace


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