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2986 左または右に急旋回するときに、主翼が殆ど垂直になって旋回しているような場合ですが、このような場合に高度は失われないのでしょうか。あるいは方向舵を昇降舵のように使って、バランスをとっているのでしょうか。
御願いします。
英里

  1. もちろん高度が大きく失われます。
    そのままだとループ状に下がってしまうので、ご指摘のようにラダーを操作してバランスさせますが、
    下がらないように旋回しているときは主翼の傾きは垂直にはなりません。
    「バランス」と言う言葉のとおり、飛行機は飛行中、推力と抗力、揚力と重力など、複数の力が微妙にバランスした状態にあります。
    これを崩すことにより機動を行いますが、姿勢だけではなく高度や速度も変わるのです。
    kazz

  2. 旋回中の機体を重力に逆らって支えるのはやっぱり主翼の揚力です。ちょっと見にくい図ですが、45度バンクで高度維持しながら右旋回する機体を真後ろから見たと思ってください。「・」は本来空白です。


    揚力の
    垂直成分・・・・・
    ・↑・・・・・・・
    ・|・・・・・・・
    \・・・・・・・・
    ・●・−→旋回向心力
    ・・\・・=揚力の水平成分
    ・|・・・・・・・
    ・↓・・・・・・・
    ・重力・・・・・・

    揚力は主翼の鉛直方向、図の右上方向に出ています。重力を1とすれば垂直成分も 1、45 度バンクなので旋回向心力は 1 * tan(45)で 1、主翼に発生する揚力は√(1^2 + 1^2) で 1.4、すなわち 1.4G の旋回です。
    これが 60 度バンクになれば tan(60)=1.73, √(1+1.73^2) = 2G の旋回になります。
    直感的に考えてわかるように、バンク角が増えるほど G は級数的に増大してゆきます。そしてバンクが強くなるほど向心力が増大し旋回半径は小さくなりますが、大揚力を発生しなければ高度が維持できなくなります。高度維持できるだけの揚力を発生できなかった場合、機体は横滑りしながら旋回面から「ずり落ちる」ことになります。横滑りは空気抵抗を増大させ戦闘機が命の綱と頼む速度を失わせるので、これは好ましくありません(ただし坂井三郎氏の得意技「ひねり込み」は横滑りに伴う速度減少を逆手に利用しているらしい?)。
    また、主翼に大揚力を発生させると誘導抵抗が急速に増大して速度が低下します。ジェット戦闘機の場合はアフターバーナーを焚き大推力を発生させ誘導抵抗に打ち勝って等速旋回を続けることも条件によっては可能ですが、レシプロ機ではそんな推力を発生できません。レシプロ機が巴戦に入ると急速に高度を失うのは、旋回によって失うエネルギーを高度減少によって補っているためです。

    >方向舵を昇降舵のように使って…
    上記の図で言えば、機首が左側を向くよう…すなわち左ラダーを踏めば機首は旋回面に対して「上」を向くことになりますが、ふつうの旋回中は逆に右側、すなわち旋回面に対して「下」を向くようラダーを踏みます。旋回に伴って機体は旋回面の「外側」に横滑りしようとする力(アドバース・ヨー)が働くため、それを打ち消し滑らない旋回を続けるために機首を旋回の「内側」へ向けてやる必要があるのです。
    右にエルロンを取って左ラダーを踏むと機体は斜めになったまま横滑りし、片翼の失速を招いてスピンに入ります。スナップ・ロールなど意図してそういう操作を行うのでない限り、そしてスピン・リカバリーに充分な技量と高度がない限り、絶対にやってはいけません。
    ささき

  3. 具体的にお教えいただき、有難うございます。
    ついでと言っては失礼ですが、空対空ミサイルには揚力を得る主翼に相当するものが見当たりませんが、なぜ飛んでいられるのでしょうか。御願いします。
    英里

  4. >3. 進行方向に対し若干角度を持ち、推力の一部で重力に打ち勝っているのでは?
    検索してみましたが、AIM-9 や AIM-120 の推力はまだ機密解除されていないようですね(;_;)
    ちょっと変わり者ですがダグラス MB-1「ジニー」空対空核ミサイルのデータが出てきました。これは自重 372Kg でロケット・モーター TU-389 の推力 16600Kg、推力の約 2.2% を垂直成分に向ければ自重を支えることができ、逆タンジェントで迎角を求めると僅か 1.2 度と出ます。


    ささき

  5. 理解しました。単純な事だったのですね。有難うございます。
    質問者より
    英里

  6. ミサイルでも翼は付いているし、胴体も揚力を発生しています。
    TOW対戦車ミサイルなどは、発射後2-3秒でロケットが燃え尽き、その後は無推力で飛翔を続けます。
    サイドワインダーやスパローも、ロケットの燃焼時間は飛翔時間に比べてごく短いはずです。

    (N)

  7. 45度バンクってのは操縦の基本訓練で実施する項目です。自分の昔日におけるKM−2の操縦経験で言いますと。バンク側に蛇輪を傾け旋回計の玉が滑らないように旋回側の方向舵ペダルを踏めば旋回しますが、揚力が減衰するため、この状態では高度が維持できなくなります。そこで操縦輪を引っ張るわけですが、この状態は揚力が減り高度を維持している状態(つまり、揚力が減っているのに位置エネルギーを維持している状態)ですからエンジン出力が同じなら(ハイパワーのジェット機は存じませんが)速度(運動エネルギー)が減ってしまいます。そして、遂に失速(これをスティープターンストールと言います。)
    していまいます。ひ力なセスナのようなレシプロ機では急旋回の水平旋回は禁物です。操縦輪を緩めれば高度が落ちて速度が増し(位置エネルギーが運動エネルギーに変化して、すぐ回復できますが、低高度だと危険です。
    N熊

  8. 御質問の中で、90°に近いバンク角をとって旋回中の機体のラダー操舵について適切な回答がなされていないようなので、補足させていただきます。
    まずはちょっとおさらい、高度を維持しながら旋回する、水平維持旋回時に翼が発生させる揚力Lは、機体に作用する重力をG、水平面に対する機体のバンク角を
    θと置けば簡単に L=G*secθ と表記できます。 従って今θ=90°であればLは無限大に発散してしまい、現実としてバンク角90°では高度を失うことなく旋回出来ない様がわかります。(バンク角83.6°でL=9G、このあたりが人間に耐えられる水平維持旋回の限界でしょうね。)

    さて本題。空戦等で機首を速やかに目標に向け方向転換したい場合、90°、あるいはそれに近いバンク角を用いる場合が見受けられます。すなわち、高度を失いながらのターンですね。この時はどのような力が機体に作用するでしょうか。
    コンベンショナルな機体では、機体の重心は、縦安定を得る目的で、機体に揚力が作用する点より幾分前に位置させており、また側面積も方向安定の為、重心より後方の投影面積が大きくなっています。
    90°バンクを取り降下中のこの時、機体の斜め下からの相対気流は重心より後方の胴体側面、及び垂直尾翼に作用し機首を下向きに下げようとします。(Keel Effect、いわゆる風見鶏効果)
    飛行条件、機体にもよると思いますが、この機首の”落ちこみ”はかなり著しく経験する現象で、これに抗して機首を所望の方向(水平方向なり、空戦相手なり)に維持するためには、質問者の方が推察される通りラダー操舵によります(トップラダーをあてる、といいます)。
    90°バンクというのは水平面でスプリットSを行うような機動ですから、そもそも旋回時の内翼・外翼といった区別にはあまり意味はありませんが、トップラダーを使う操作は機体のすべりから言えばSlip、旋回の外側に機首を向ける状態に類するでしょうか。
    トップラダーを当てないと、機首はだらりと落ち込み、垂直降下のようになってしまいます。

    ささきさん>2. 右にエルロンを取って左ラダーを踏むと機体は斜めになったまま横滑りし、片翼の失速を招いてスピンに入ります。スナップ・ロールなど意図してそういう操作を行うのでない限り、そしてスピン・リカバリーに充分な技量と高度がない限り、絶対にやってはいけません。

    90°>バンク角でのお話ですが、右にエルロンを取って左ラダーを踏むSlipは一定の速度が保たれている分には危険な操作でないばかりか、積極的に使う技術ですよね。 
    旋回時に危険なのは、速度の遅い旋回内側の翼の速度を更に低下させる操作、例えば右にエルロンを取って右ラダーを踏み過ぎる操作、Skidと呼ばれる現象です。Slipが安定した状態なのに対して、Skidは旋回内側の翼の揚力が更に低下してバンク角を深くし、さらに機首を落ち込ませる結果stallを誘引するというもの、この両者は混同すべきではありません。 さあ早く飛びに行きましょう。
    みなと

  9. 重ね重ね、ありがとうございます。
    質問者より。
    英里

  10. 何かスピンの話題が出たんでスピンの入り方、離脱法についてご説明しましょう。水平飛行状態から出力を変えずに機首を30度ぐらいに上げ位置にして操縦輪(ヨーク)を保持してますと抵抗が増すことにより速度(運動エネルギー)が減少します。無論高度はこの間数百フィートくらい上昇(位置エネルギー確保)しますが、速度がVS(失速速度)に近づいてくると機体に振動が始まります。ここでヨークを思いっきり引きスピンしたい側のラダーを思いっきり踏み込めばそちら側にスピンが始まり自由落下します。最初は垂直に近い姿勢で落下しますが、段々水平スピン状態に姿勢が変化してきます。スピン中は主翼は失速してますが、尾翼はまだ生きてますので水平スピンに入らない内ならリカバリー可能です。操作はヨークを思いっきり前に付き出し、逆フットペダルを同時に踏み込めば水平降下状態で停止しますので行き足を付け速度がイエローゾーンに入る前に引き起こします。この時3G以上かかりますので一瞬ブラックアウト(網膜の血管の血液がなくなることにより視野と視力の減衰)が経験できます。
     なお、90度水平バンクってのは、たいして難しいことではないんでやったことがありますが、レシプロでは少しの間しかできません。旋回はヨークを引っ張ることにより昇降蛇で、水平を保つのはラダーで行いますが。小さなラダーの風圧で機首の落支えている状態ですので長くはできません。無理すればスティープターンストールからスピンに入るでしょうね。でも10000フィートぐらいの高度であれば十分リカバリー可能ですのでセスナ辺りでもやれるかも。でも結構90度バンクって操縦に力が要るから機体は無理してるようなんでU類のセスナなんか壊れるかもしれませんね。
    N熊

  11. 一応お約束。N熊さんはArmed Forceの方のようですが、よいこの皆さんが民間で90°バンクを試してみたければ、A類の機体でパラシュート背負って、然るべきインストラクターの指導の基でやってみてくださいね。
    みなと

  12. みなとさん、N熊さん、丁寧な補足ありがとうございます。

    >早く飛びに行きましょう
    今から久々のクロスカウントリーに行ってきます。
    ささき

  13. >クロスカントリー いってらっしゃーい!天気がいいので僕もFBOの爺さんに差し入れにいくついでに散歩してこようかと思います。
    みなと

  14. 話がドンドン発展して行くので、質問したほうがビックリしています。
    皆さん、有難うございます。
    質問者より。
    英里


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