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3127 ハリアーなどの垂直離着陸機が音速を超えるにはどうすればいいのでしょうか?エンジンの換装・機体デザインなど、教えていただけないでしょうか
するが

  1.  AV-8B ハリアーII の水平飛行における最大マッハ数は 0.98 で、急降下すればマッハ 1.3 くらいは出るようです。つまり空力や機体強度は超音速飛行に耐えるわけで、足りないのは推力です。あるいは推力に比して遷音速抵抗が大きすぎるわけです。
     推力の不足はアフターバーナーで補えますが、これも可変エンジンノズルとの関係で簡単には装着できません。もっとも、このノズル形状をそのままにアフターバーナーを仕込む計画は存在したそうですが、予算不足によりキャンセルされたようです。
     ハリアーの遷音速抵抗が大きいのは胴体の太さに大きな原因がありますが、これは大直径のペガサス・ターボファンエンジンを内装している為やむを得ません。これを変えるとなるとエンジン換装が必要となり、エンジン換装に伴って垂直離陸システムの見直しが必要となり、たぶん別の飛行機を作るのと変わらない作業になります。

     ハリアー以降に設計された VTOL 軍用機の多くは超音速飛行性能を設計範囲に含めています。旧ソ連の Yak-41/141(AB 付き可変ノズルエンジン+リフトエンジン)、ボーイング X-32(固定式後方 AB 付きノズル+垂直離陸用の二股可変ノズルの切り換え式)、ロッキード X-35 (Yak から購入した AB 付き可変ノズル+クラッチ付き延長軸駆動のリフトファン) などですね。
    ささき

  2. 大石英二氏の10年位前の小説で、YF−23の主翼にリフトファンを付けたような超音速戦闘機などはやっぱり無理なんでしょうかねぇ? 初歩的なQですみません
    Yakisaba

  3.  ささきさんも簡単に触れていますが、ハリアーの超音速機化計画はありました、期待各部のリファインと、エンジンを超音速対応(具体的にはささきさんの指摘どおり可変ノズルにPCB(プレナム・チャンバー・バーニングの略、綴りはちょっと忘れたです)というアフターバーナーの一種を仕込む)にし、超音速を越える計画でした、予算不足で計画段階でキャンセルされたのはささきさんの指摘どおりです(確か80年代の話だったと記憶しています)。

    >2
     あーと、某HJ設定のマットアロー2号がそんな感じです(爆)
     冗談はともかく、主翼に仕込んだリフトファン形式のVTOL超音速機となりますと、結構主翼を厚く作る必要があるのと、リフトファンの動力をどこからもって来るのかと言う問題があると考えられます、その点をクリアすれば不可能とは言いがたいでしょう、ただ、そのリフトファンで機体を持ち上げなくてはならない事をお忘れなく。
    ooi

  4. http://translate.google.com/translate?hl=en&sl=fr&u=http://jpcolliat.free.fr/xv5/xv5.php3?page=1&flag=0

    …こんなのがあるにはあるんですが、主翼はかなり厚そうです。
    Schump

  5. 皆様ありがとうございます!
    むむむ、主翼の強化とリフトファンの動力ですか・・・。
    PCBは予算があればなんとかなるでしょうか?
    するが

  6. >5. ooi さんの (3) で述べられている「機体各所のリファイン」とは「主翼の強化」というより、空気抵抗削減という意味でしょう。ご存知のようにハリアーは機体のあちこちにアンテナ類や兵装がデコボコと出っ張っていますし、機首も丸っこく、翼型もジェット機にしては分厚い方ですから。
    もっとも、ハリアーがあの形になっている事にはそれなりの理由がある(低空・低速の対地直接支援が主任務→良好な下方視界、フレキシブルな武装搭載能力と敵対空兵器への対抗能力が必要→機首は短くキャノピーは大きく、パイロンだらけ、アンテナだらけの機体になる)わけですから、機首を尖らせてキャノピーを小型化し、薄翼化してパイロン数も減少、アンテナ類も除去した「超音速ハリアー」は亜音速ハリアーより使い勝手の悪い機体になるのではないか、と個人的には考えます。

    >PCB
    今までにないエンジン技術ですから、予算だけでなく長期の開発熟成時間が必要だと思います。それをやっているうちに F-35 など次世代 VTOL が完成してしまうかも知れませんね。
    ささき

  7. 垂直離陸するためには機体を支えるため機体の複数の個所から排気する必要があります。少なくとも機体の前後、安定させるためには左右にも必要でしょう。
    ハリアーは機体中央にデン、とペガサスエンジンがあり、そこから四方に伸びて曲がった4つの可変ノズルから排気して推進します。
    1つのエンジンで水平飛行も垂直飛行も行なうことができるので効率的ですが、垂直離着陸するにしろ水平飛行するにしろ曲がったノズルを通して排気する必要があるので超音速は無理でしょう。

    超音速ができるほどの高出力のエンジンで、しかも垂直離着陸を行なわせるのであれば通常の戦闘機のように機体後部にエンジンを配置し、垂直離着陸の時のみ排気を下に曲げる方法が考えられます。しかし、この場合、機体後部だけしか支えることができず、機体前部から排気をする仕組みが必要です。

    ロシアのヤコブレフYak−141は超音速VSTOL機です。
    機体後部に配置されたメインエンジンの排気を下に曲げることができる上に垂直離陸用に機体前部にリフト用エンジンを積んでいました。
    素直な解決策だとは思いますが、水平飛行時には無用のものとなる重いリフトエンジンを積んでいるため戦闘機本来の機能は犠牲になります。

    F−35も超音速VSTOL機です。
    Yak141と同じく、機体後部のエンジンを下方に曲げることができます。そして、エンジンから機体前部に棒のように回転軸が伸びていて、これが機体前部にあるファンを駆動し、これの推進力によって機体前部の重量をささえて垂直離陸ができるようになっています。
    これならばハリアーのように水平飛行の時にはジェットエンジンの排気を曲げる必要はなく、フォージャーのように重たいリフト用エンジンも積む必要もありません。
    ただし、機体前部にあるファンのための空間が機体内部に必要になります。

    http://naivze.hp.infoseek.co.jp/which/fighter/f-35.html

    F−35はVSTOL型と非VSTOL型があり、非VSTOL型の場合は機体前部のファンが無く、代わりに他の機器がこの空間を埋めることになります。

    F−35、日本も導入できたらいいなー。


    非現実モードで話せば、アニメ「マクロス」に出てくるバルキリーは機体後部にある双発の超音速メインエンジンをエンジンごと動かして機体中央に配置することによって垂直離陸(というか、物理法則を無視した動き)をすることができます。エンジンを丸ごと移動させる丈夫で、しかも軽い航空機用材料と重たいエンジンを移動させることができるコンパクトで軽量な動力さえあればこの方法もなかなか合理的だと思います。

    アオキ


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