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3393 初めまして、azureといいます。質問させてください。

第二次大戦の東部戦線で、ソビエトは初期から各種の空対地ロケット弾搭載機があるのに対して、ドイツ空軍では空対地ロケット弾搭載の戦闘機が最後まで見当たらないのはなぜでしょう。

ドイツ陸軍ではロケット弾を多用しているようですし、空軍でもWG 21空対空ロケット弾が出てくるようなので、技術的に不可能とは思えないのです。
過去ログには、陸軍用のロケット砲を翼下に搭載したようなものがあったというのは見つかったのですが、それ以外の例は見つかりませんでした。

それともうひとつ関連して、WG 21ロケット弾を空対地ロケットとして使用した例はあったのでしょうか。
もし、時限信管が作動する前に着弾した場合、触発信管のように即時爆発するでしょうか。もしくは、時限信管が壊れて不発弾になるのか、時限信管はそう簡単には壊れず定時で爆発するのか、興味があります。
是非とも、お考えをお聞かせください。
azure

  1.  「世界の傑作機No.78」によると1944年8月に陸軍の発射筒式ロケット榴弾をベースにした口径88oの「パンツァーシュレック」が開発され、翌年1月に発射筒6基を装備したFw1905個飛行中隊が実戦に投入されたそうです。
     また口径55oのレール発射式空対空ロケット弾R4Mを転用した「パンツァーブリッツ2」も開発され、この発射基6〜10基を装備したIII/SG4のFw190が1944年2月〜3月半ばまでの一ヶ月半にハンガリー方面で延べ115機の出撃で934発を発射、戦車23両を破壊したそうです。

     Wgr.21を空対地ロケット弾に転用することも考えられたようですが、テストの結果、弾道が不安定で対戦車攻撃には適さないと判断されたそうです。
     根拠はないのですが、常識的に考えてこれらの空対空ロケット弾を転用した空対地ロケット弾は、対地攻撃に適した信管に交換されていたのではないかと思います。
    T216

  2. 対地攻撃用機銃の方が弾道が安定していて地上目標を精密攻撃でき有効と考えられていたからではないでしょうか?Ju87GやHs129といった対地攻撃機に30ミリ以上の機銃をガンパック式で搭載しているし。
    また、ドイツ空軍の場合、戦争末期は別として単発戦闘機による対地攻撃任務をどの程度行わせていたか、そうした運用面についてソ連空軍と比較してみる必要があると思います。
    アリエフ

  3. T216さん アリエフさん ご回答ありがとうございます。

    てっきり対地ロケット装備は数機程度だと思ってたんですが、戦果が残るほどロケット装備機がまとまって運用されてたようで、意外に感じました。
    実用的な空対地ロケット弾搭載の戦闘機が、全く無かったわけではないのですね。

    >対地攻撃用機銃の方が弾道が安定していて地上目標を精密攻撃でき有効と考えられていたからではないでしょうか?

    しかし、機銃や機関砲では相当近づいて数秒間 照準 射撃を続けないといけませんが、対空砲火に長時間さらされるリスクより、確実に損害を与えれることを重視したということでしょうか。

    >単発戦闘機による対地攻撃任務をどの程度行わせていたか

    ソ連に比べれば、それほど空対地攻撃は行われなかったということでしょうか。ドイツといえば急降下爆撃、と思って対地攻撃機はいっぱいあると思ってました。戦闘機と戦闘爆撃機の全体数の比などを調べてみます。

    自国でロケット弾を開発しながら、ソ連のRS-82やRS-132 をマネたり、鹵獲してコピーしたりしなかったのが不思議だったんですが、ロケットを量産しても運用するべき戦闘爆撃機がそれほどなかったということでしょうか。

    ちなみに、過去ログというのは↓のことでした。
    http://www.warbirds.jp/ansq/4/D2000076.html
    azure

  4. >Wgr.21を空対地ロケット弾に転用することも考えられたようですが
    ちゃんと転用を考えられたり、テストもされていたんですね。
    時限信管の時間を早めて、榴散弾にすれば軽車両相手によかったのかな・・でもあまり意味がないですね(^^;)

    例えば、Wgr.21を抱えたパイロットが空振り出撃の帰還中に、敵車両を見つけて撃ちこんでみた・・・といった場合、どうなるのかを考えてました。(爆撃機の迎撃と敵車両のいる前線じゃ、全然位置が違うとは思うのですが^^;)
    ”サイドワインダーを試しに船に撃ってみた”といったレベルの、イレギュラーな事例があったら、ぜひ聞かせて下さい。
    azure

  5.  えっとですね、ドイツ空軍は基本的に対地直協を軽視した空軍です。
     地上戦への関与においても鉄道や橋梁撃破、集結地点への爆撃等の後方移動妨害等を主に行う爆撃機重視だったのです。
     対地支援はオマケみたいなものだったのです。であるからアリエフさんが仰られたように単発機等による対地攻撃のウェイトがポイントになるのです。

     また、対地攻撃の精度と威力を考えると、ロケット弾は決して優れた武装ではないのです。
     現代でも対地攻撃任務に付く航空機は大口径機銃を持つものが少なくないように、狙って撃つなら機銃が、軽対空火器をアウトレンジするならば爆弾があるのです。
     これは本格的対地攻撃機ならば、それなりに訓練された人員と照準装置も持っているという事もあります。
     ロケット弾は大口径機銃と爆弾の中間的な位置付けではあっても、それらを代替しうる装備なのかというと中々難しいのです。
     ロケット弾は特性上攻撃精度が低い上に重量辺りの破壊力は爆弾に比べて低いという事も上げられます。
     20mm以上の機銃ならロケット弾よりも遠距離で射撃できますし、何秒も撃ちっぱなしということも有りません(勿論そういう使い方も出来ますし、そういう柔軟性が機銃の魅力でしょう)
     ロケット弾は爆弾の照準精度が悪い機体に打撃能力を付与するには有益な装備ですが、それだけの事でしかないんです。
    SUDO

  6.  WGr.21 はもともと曲射兵器で、飛行機に装着するときも発射チューブに比較的大きな仰角が付けられています。直射照準で弾道交叉するのは特定の距離一点に過ぎず、それより遠くても近くても狙ったところには当たりません。しかも両翼1発づつなので時間差発射で弾幕を作って命中精度をカバーする事もできず、更にチューブが固定式なので発射後も直径 20cm もある空気抵抗源が残ります。

     もともとドイツ式三号爆弾というか、重爆編隊の防御機銃射程外から榴弾を撃ち込んで炸裂させ編隊を崩すための兵器ですので直撃を狙うことは必要ないし非常に困難でもありました。これを対地攻撃に使ってもあまり意味はなく、爆弾を持って行った方がマシ(少なくとも緊急投棄できる)ではないでしょうか。
    ささき

  7. SUDOさん、ささきさん、ありがとうございます。

    >対地支援はオマケみたいなものだったのです。
    なるほど、そもそも連合側とは考えが違ったんですね。

    >20mm以上の機銃ならロケット弾よりも遠距離で射撃できますし

    私の思っていた以上に、ロケット弾は当てづらいものなんですね。

    今まで想像していたロケット弾の利点は、『多発で弾幕を張れば、敵の射程外から対空砲を排除できそう』『爆弾より多く持てるので、余ったら主目標以外も攻撃できそう』『急降下爆撃より訓練が楽そう』『爆弾より戦闘機の翼下につけ易そう(?)』だったのですが、機関砲より精度が悪いとなると、ほとんどが無理のようですね。

    >ロケット弾は爆弾の照準精度が悪い機体に打撃能力を付与するには有益な装備ですが
    よっぽど接近できる時に、戦闘機が硬い目標にダメージを与えれる兵器ということですね。

    >WGr.21 は・・・直射照準で弾道交叉するのは特定の距離一点に過ぎず

    空対空用だと水平に1000m以上は飛ぶ計算なので、射程を短くする代わり、仰角は機銃のように水平近くににして、機速をつけて対空砲や軽車両めがけて散弾入りWGr.21を撃ち込んだらどうかなと思ってました。
    やはり2発程度で精度が悪いとなると、ささきさんの仰るように爆弾の方がマシになるんでしょうね^^;

    チューブはなぜ外れないのか、これも不思議でした。FW190-F8用の50Kg x 4の翼下投弾ラックで支えれないものかと。弾だけで100kgを超えていてちょっと重すぎなのか、発射し終わったら残りは20mm 2門なだけに、もう戦わないのか・・もう少し探してみます。

    さらに検索したら、他にも過去ログがありました。
    http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2001523.html
    http://www.warbirds.jp/ansq/11/A2002102.html
    azure

  8. 非常時には支持部に内臓の雷管を爆発させ切り離し可能です。
    G

  9. >8. おぉ、それは知りませんでした。フォロー多謝。
    ささき

  10. 航空機用のロケット弾の話ではありませんが、ドイツによるソ連のロケット弾のコピーのことに関して
    「ドイツの火砲」広田厚司、光人社NF文庫、によりますと「ソビエトのロケット弾は製造とコストが安く取り扱いが容易という優れた点があった。ロケット弾には棒状のニトログリセリンの溶剤が充填されドイツのダブル・ベース推進薬に比べると資材的にはるかに供給が容易だった(中略)経済的なソビエト型のロケット方式に生産転換するとなれば多くの軍需工場の生産設備を変更せねばならず、、その結果は生産中断であり、戦争は続行されてるのに供給が途絶えるという重大な支障が発生したことであろう。このためソビエトのM-8のコピーは行われなかったのである。」とあります。
     ただし、戦争末期にはSSがM-8のコピー生産を行うべくSS独自の生産設備を確保し、その結果が8cmR-フィールファファ・ヴェルファーである、ともありますのでコピー自体はされた模様、これらは国防軍のほうでは使用されなかったんでしょうねえ
     ドイツの砲兵たちは当初ロケット弾に対する評価は高くなかったようですが、これはロケット弾の命中率の悪さが正確なものを好むドイツ人の嗜好に合わなかったことが原因のひとつに思われます、航空機用のロケット弾の場合もやはり命中率のいい機関砲の方がロケット弾よりドイツ人の好みに合ったのでは?と思います
    Hammer

  11. Gさん、Hammerさん、ありがとうございます。

    >非常時には支持部に内臓の雷管を爆発させ切り離し可能です。
    ちゃんと敵戦闘機に追われたときのことも考えられてたとは、知りませんでした。トカゲが尻尾を切って逃げるみたいで、なんだか面白いですね^^;

    >これはロケット弾の命中率の悪さが正確なものを好むドイツ人の嗜好に合わなかったことが原因のひとつに思われます
    確かにドイツの精密・精緻なイメージを考えると、しっくりきますね。

    あと、私が、
    >(WGr.21を)発射し終わったら残りは20mm 2門なだけに、もう戦わないのか・・
    と書いてしまったのですが、WGr.21と外側の翼内機関砲は干渉しなかったと思いますので、この文は間違いです。すみませんが訂正させてください。

    もう一つ、以下のページにはWGr.21の射程は約900mとなってるので、単純計算で1000m以上と書いたのも間違いでした。
    http://www.skynet-1.com/kuni/kuni007.html

    さらに検索してみたところ、以下のページも見つかりました。
    http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/8892/d9r4mjp.htm
    http://earth.endless.ne.jp/users/mac0115/doitugunn22.html
    http://www.apd.co.jp/andou/mainhtm/d_otk/nebel_w.htm

    >旋回安定に固執する国防軍に対しても、しつこく8センチロケットの美点を吹聴し、翼安定の採用を主張した。
    というのが面白いです^^; これもドイツ人の嗜好なんでしょうか。
    azure

  12. >これもドイツ人の嗜好なんでしょうか。
    編集中に書き込んでしまいました。『これもドイツ人の嗜好なのかも。』でした。^^;

    azure


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