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3444 はじめまして。
零戦ファミリーの中で末期に登場した五二型に興味あります。
このタイプはもはや零戦の良い部分がなくなってしまって人気もないみたい
ですが、性能はともかく、零戦を無骨にしたイメージが好きなんです。
本題の質問ですが、五二型といえば本土防空あたりしか写真がないのですが
デビュー、というかマリアナ海戦あたりで活躍した部隊とか、登場していた
人物で有名な人はいないのでしょうか?
ちなみにこの時は甲・乙・丙じゃなくて、ただの「五二型」ですよね。
この「五二型」で有名な機体を知りたいです。よろしくお願いします。

エース

  1. 零戦は実用機としての最初のタイプA6M2の実機が出現する以前から、本来企図されていた性能を実現するための改造案が検討され始めます。これがA6M3なのですが、しかし出現したA6M3実機は予想よりも若干性能が下回る感があり、この部分を再改訂して完成させたのがA6M5五二型といえます。そんなに末期のタイプというわけでもないんですよ。
    実戦への投入も、18年後半の南東方面(ラバウルを中心とする戦域)です。ラバウル戦では、米側の来襲118機を邀撃して12機撃墜、日本側の損害をゼロに留めた空戦で使われていたりします。
    その半年後のマリアナ戦の頃には、五二甲型がすでに登場し、ごく少数の五二乙型も実施部隊に配属されはじめています。


  2. > このタイプはもはや零戦の良い部分がなくなってしまって
     五二型はそれ以前の二一型より高速かつ大火力(20o機銃が新型になっている)で急降下時に突っ込みが効き、さらに計算上二一型より航続距離大で、二一型の欠点であった横転性能も向上しています。
     二一型より低下したと言われる旋回性能にしても、米軍は自らの装備機より遙かに優れている(低空低速時では)と評価しています。

    > 「五二型」で有名な機体
     有名人が乗ったとされる機体であれば、「253-104」号機(岩本徹三)、「252-114」号機(同左)、「ヨD-126」号機(赤松貞明)などがあります(ただし「253-104」号機は二一型または二二型とする説もあります)。
     塗装や尾翼番号などで有名なのは「9-151」号機などのラバウル航空隊所属機、「虎-110」号機、「61-131」号機に代表される尾翼の「虎」や「斑塗装」で有名な261空所属機、「653-117」号機などの最後の母艦航空隊653空の所属機等でしょうか。
    T216

  3. >2. に補足。坂井三郎氏が「一番好きだ」と言ったことから最高の零戦と思われがちな 21 型ですが、これはエンジンがまだ一段一速過給の栄 12 型です。公称全開高度は 4200m とされており、これを超えるとどんどん出力が下がってゆきます。32 型以降に搭載された栄 21 型は一段二速過給器を備え全開高度を 6000m まで引き揚げ、高々度性能を改善しています。
     それでも零戦は機体が軽いので、スピットファイヤ V や F4F 程度の相手なら同程度には戦えたのでしょう。より優れたエンジンを持つ新型戦闘機(P-38 や F4U など)に対し、21 型は 4200m を超える高度では非常な不利を強いられたと思います。
    ささき

  4.  補足の補足になりますが…。
     「二一型最高説」の論拠として1944年7月3日の硫黄島での空戦において、戦闘601のベテランが乗る五二型が未熟者の乗る二一型より多数未帰還になったことが挙げられます。
     これは戦闘601所属機が離陸して高度を取る前にTG58.1及びTG58.2所属のF6F-3とF6F-5が上空から襲いかかってきたことから始まったようです。
     この状況から見て、この空戦は低空かつ低速で横の旋回を多用する旋回戦が多発するという二一型にとって最も有利な条件下で行われたため、このような事態が発生したのではないかと思います。

     これも追加ですが、「有名人」が乗っていて、「塗装が珍しく」かつ「マリアナ海戦時の母艦航空隊」の五二型として、マリアナ沖海戦直前、主翼前縁の敵味方識別帯やプロペラ先端の警戒帯を塗りつぶしている空母「千歳」艦上の653空飛行隊長「進藤三郎」大尉乗機(機番不明。331-1XXまたは653-1XXと推定)があります。
    T216

  5. >1944年7月3日の硫黄島での空戦において、戦闘601のベテランが乗る五二型が未熟者の乗る二一型より多数未帰還になったことが挙げられます。

    現存している戦闘行動調書は、五二型か二一型どちらに乗ったのかは記述がありませんが、中堅、ベテランの1,2番機よりも、若手の3,4番機が苦戦したことが示されています。

    >空母「千歳」艦上の653空飛行隊長「進藤三郎」大尉乗機

    この時、進藤少佐は653空飛行長という肩書きで「千歳」に乗艦しています。飛行長は地上職ですから母艦に自己が搭乗する飛行機を搭載しません。「千歳」の戦闘詳報には、戦闘機隊員が6名記録されていますから、そのうちのどなたかが搭乗したのでしょう。
    川崎まなぶ

  6. > 5.
     フォローありがとうございます。
     しかし、ベテラン・中堅より若手が苦戦したのであれば、若手の方が活躍したという説は一体どこから出てきたのか疑問です。
     この空戦に参加された方の回顧録か何かがもとなのでしょうか。
    T216

  7. 便乗質問で申し訳ないのですが、五二型は推力式単排気管があるけど、三二型や二二型よりも重いですよね。実際に搭乗員が速度や上昇力のアップを体感出来たのでしょうか?
    フッフール

  8. 推力式単排気管は、その実効はともかくとして、あの当時各機種横並びに導入されている要素ですよね。むしろ、五二型の本質とは、三二型の翼端の整形のし直しということに尽きたのではないかと思います。二一型・二二型に対してロール率を向上させつつ、三二型に比して低速粋での安定も得たい。しかし、翼端の整形にともなって肝心の補助翼面積が三二型より減っているのが好ましくない、目的に合致していなかったのではないか、という意見は呼んだことがあります。


  9.  > #7 フッフールさん

     52型は「大型の軽快なオートバイのようだった」との回想があります
     32型や22型との比較ではありませんが...
    セミララ

  10. >9
    それは単排気管の排気音のことじゃなかったでしたっけ。


  11.  > #10 片さん

     うっ、確かにそうかも
     それでも、排気音からもなんか軽快さを感じさせる、というように(私は)取れましたので、書き込みました
    セミララ

  12. 皆様、回答ありがとうございます。

    確かに派手なのは岩本徹三搭乗機の253-104(53-104)ですが、21型という
    説もあるみたいで、はっきりしないみたいですね。
    個人的には、これが52型ならいいのにな、と思いますが。

    あと、面白いのは653空の653-67か、653-58の日の丸の中に白文字が入って
    いる機体でしょうか。これは時期的に乙型かも知れません。
    ハセガワから、このバリエーションが出てたような……。

    261空にマダラ迷彩があるみたいなんですが、これはただの52型なんで
    しょうか? たぶんこれもハセガワからキットが出てるみたいですが、
    これって実在したのかなぁ……。
    エース

  13. ありがとうございます。
    >8 確か五二型の排気音は「バリバリバリバリ」と聞こえるらしいですね。
    >9 丸い翼端の方が失速特性が良かったのでしょうか。

    五二型は米軍測定値だと、三二型より若干上昇率で劣るようです。
    約200sの重量差の割にはそれ程差がない(勝手な判断ですが)
    から、やっぱり排気管の効果ってあったのかなぁ、、、
    フッフール

  14. すいません。もうひとつ教えてください。
    261空のマダラ迷彩ですが、一説によると捕獲した米軍が油で塗装を
    拭き取ったためにできた模様が、写真の具合でそう見えたという事ですが
    実際はどうなんでしょうか?

    それとは別に驚いたのは、同じく261空の虎-110の塗装がかなり派手そう
    なのですが、これも本当なのかな?と思ってます。

    塗装は探し始めるとキリがないですね。
    エース

  15. >14
    塗装を拭き取ったのではなく、汚れを油で拭き取ったのです。
    上面二色迷彩と思われていたのは、ただの土ぼこりによる汚れです。
    飛行場に置かれていた時点での写真を見れば、上面は単色だということは明らかですし、空母上で米兵が油で機体を拭っている写真もちゃんとあります。


  16.  ちょっと気になったので写真を見直してみたところ、「虎-110」号機は翼端が折り畳まれていますので、五二型ではなく二一型もしくは二二型のようです。
     ただ、胴体に太い白帯と黄帯を巻いた派手な塗装はオリジナルのようです。
     同様に「61-197」号機も二一型もしくは二二型のようです。
     混乱させてすみません。

     で、261空の「61-131」号機、「61-121」号機、「61-125」号機、「61-120」号機(現在プレーンズ・オブ・フェイムが所有する世界で唯一飛行可能な栄装備の零戦)は確実に五二型のようです(写真で確認できます)。
     あと製造番号から見て「61-126」号機も五二型のようです。
     捕獲直後の「61-125」号機と「61-131」号機の写真を見ると、機体上面色は通常の濃緑色ベタ塗りのようですので、米軍が剥がしたため斑に見えたと考える方が自然かもしれません。
    T216

  17. >16
    野原さんの「新版・日本海軍機の塗装とマーキング戦闘機・編」189ページに、斑の正体がはっきり判る写真があります。考えるに、真っ赤な日の丸つけた飛行機を飛行甲板にあんなに並べてたら敵と誤認される恐れがあるので、塗りなおそうとして、塗装前に胴翼の日の丸の周囲の汚れを落としてたのではないかなあ。


  18. >2
    計算上21型より航続距離増大したというのはどうしてでしょう?機内搭載燃料が増えたとかがあるんですか?初心者的質問ですみません。


    ふらんく

  19. >18.
     以前に回答として書き込んだ二一型と五二型の搭載燃料と燃料消費量から導き出される推定航続距離を挙げておきますので参考にしてください。

     二一型:自重1754s 333q/h巡航時燃料消費量82.0L/h
                                総重量  推定航続距離
        正規−−−−−−−胴体 62L+翼内380L      2421s   1795q
        過荷重第一偵察−−胴体145L+翼内380L      2482s   2132q
        過荷重第二偵察−−胴体145L+翼内380L+増槽330L 2757s   3472q

     五二型:自重1876s 333q/h巡航時燃料消費量83.3L/h
                                総重量  推定航続距離
        正規A−−−−−−     翼内430L      2607s   1719q
        正規B−−−−−−胴体 60L+翼内430L      2654s   1959q
        正規C−−−−−−胴体 60L+翼内510L      2743s   2279q
        正規D−−−−−−     翼内510L      2671s   2039q
        過荷重第一−−−−胴体 60L+翼内510L+増槽320L 3007s   3558q
    T216

  20. >19
    有り難うございます。巷に溢れている書物に書いてある「52型になって航続距離が大幅に低下した」っていうのは嘘だったんですね。

    ふらんく

  21. >19.
     個人的には嘘というか勘違いなのではないかと思います。
     海軍で距離を表す時は浬を使用し、それにqを併用します。
     この二つの単位は海軍の正式文書でもよく取り違えられているそうです。
     よく本に書かれている五二型の過荷重(機内タンク満載+増槽装備)での航続距離は「1921q」、そして1浬≒1.852qです。
     「1921」という数字の単位が取り違えられているとしたら…と想像して、換算して19.の五二型の過荷重第一の推定航続距離と比較してみて下さい。
    T216


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