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3547 ここの主題とは微妙にずれた質問かもしれませんが、
「ハインケル社が冷遇されていた」
というのは事実なんでしょうか?
一部のナチ高官から嫌われていたのは事実のようですが、ハインケル社自体は拡大を続けていますし、仕事を干されているようには見えません。どちらかというと既存の機種の生産が追いつかずどんどん拡大していったように見えるのですが、実際はどうなんでしょうか?
酔鏡

  1. 議論ボード向きかどうか非常に微妙なところにある質問のようにも思えますが・・・。

    わたしは冷遇されていたとは思いません。

    He112は常に完成度の点でBf109の同等品対しわずかずつ遅れをとっていました。
    He100も同様です。
    また、ドイツの単発戦闘機は前線飛行場での運用が大前提の機種であったことも忘れてはなりません。例えるならば、F-18とMIG-29があったならばMIG-29を選ぶ、選ばなければならないのが戦前戦中のドイツ空軍だったわけです。
    ましてHe112B-1ができたときにはBf109E-0、He100D-0ができたときにはBf109F-1はあったわけですから。

    He280はJumo004の完成を待たなければならないという点で、結局Me262と完成時期は同じということになります。ドンガラの設計製作でいくら先を走っていても、装備エンジンができていなかったのですからどうしようもなく、ドンガラとしての出来は公平に見てもMe262の方が出来は良いようです。

    He219に関しては非常に微妙なところなのですが、基本的にJu88Gに対しては多少速くていくらか重武装で航続力はかなり大きいけれども運動性はやや悪く、特にコクピットの位置が悪くて振り回すのに困難がある。しかも、伝えられる性能はレーダーや弾薬が未装備である可能性が高く、価格は断然高くて、機体自身も大型複雑、整備性もJu88にかなり劣りますね。いろんな意味で惜しいところはたくさんあるのですが、作らなかったのが大失敗というほどの飛行機でもなかったと思います。
    A-5やA-7の場合、比較対象はMe262B-1NやAr234B-4Nになり、これも微妙なところです。
    また、Ta154もあんなかたちでポシャるという予測は立っていなかった点も加味しなければならないでしょう。

    さて、戦闘機を見てきましたが、爆撃機では一貫してドイツの主力爆撃機を任されています。
    ここで押さえておかなければいけないのは、戦前から大戦中期までのドイツ空軍の花形部隊はKGであり、それを支援すべきZGがこれに次ぐ、さらにKGを補うStGがそれに次ぐ、能楽で言えばシテが爆撃機、ワキが駆逐機、ワキヅレがスツーカであって、戦闘機などはお囃子方も同然の傍流部署であったということです。
    つまり、ドイツ空軍の主力爆撃機を任されるということは本流中の本流、主役の衣装や小道具を一手に引き受けているも同然ということです。

    He111は言うまでもありませんね。
    He177ですが、これは米陸軍でいうならばB-24になるはずの爆撃機でした。
    Ju88は本来B-25かB-26にあたるはずの爆撃機であり、He177の供給がより早ければ多少量産規模は小さくなった可能性もあります。
    東部戦線でのドイツ爆撃航空団の戦い方も決定的に変わった可能性さえあります。
    He177はとにかくエンジンと爆撃照準器に祟られてしまい、モノになったときには戦況の面でも燃料事情の面でもドイツにとって重要な飛行機ではなくなってしまっていましたが、開発着手の時点ではドイツ空軍の期待を一身に背負うエースで四番の主力機材だったのです。
    まなかじ

  2. 最後のドイツ空軍の航空機の重点生産にMe262,Ar234,Ta152とともにHe162が選ばれていました。冷遇されていたわけではないと思います。


    バウアー中尉

  3. >2
    うーん、He162はHe219よりも更に微妙なので敢えて外しておいたのですが・・・。

    公平に見て、国民戦闘機計画のなかでHe162が最も優れていたから採用されたというわけでもなく、既に作るべきものがなくなっているハインケルが有象無象のうち比較的マシな案を出してきたので、生産力の有効活用という観点からそれを採用して作らせたもののように思えるのですが。
    地下工場へ持ち込むべき工作機械はハインケルの工場からの疎開ですし、木工品工場はTa154の中止で手空きになっていたもので、人的資源は他にも多くの例はありますが、V-2の最終組立と並んで特に高い割合での強制労働者動員で賄う計画だったわけで。
    更に言えば国民戦闘機計画自体どこまで真面目なものだったのか疑問もあります。
    P.1101やTa183までのごく一時的なつなぎの計画ではなかったのでしょうか?

    もっとも、他社機の転換生産ではなく自社設計機を作らせているという面を見ればハインケルを尊重していると見れないこともないのですけれど。

    それと、書き落としていたので補足すると、He118は明らかに不公平のように見えますが、この時点ではユンカースはJu86が失敗であることがわかり、仕事はJu52しかない状態であったのに対し、ハインケルはHe111の生産でおおわらわの状態で、戦前であったこともあり、この場合のユンカース救済という面は責めきれない部分があると思われます。
    Ju52があそこまでの重点機種になるはずではなかったのですから。
    まなかじ

  4. >3
    ええHe162については、ムスタングに相当する機動性ってのはいいんですが、着陸が難しく急降下に難があるのはいただけないですね。ようするに性能の問題ではなく大量生産するつもりであったってことです。
    >既に作るべきものがなくなっているハインケルが・・・・・
    ってことは「冷遇されていた」わけではないのではないですよね。



    バウアー中尉

  5. ありがとうございます。やっぱり、冷遇されていたと思われる証拠は出て来ないようですね。

    私自身が調べた分で分かったことなのですが、He219の場合は連合軍のテストでアンダーパワーだという指摘があったようです。
    また、各高度の上昇率しかわからなかったのですが、A-7の場合カタログデータで、高度0で10m/sec、高度2kmで8.7m/sec、高度4kmで7.2m/secとなっています。他の夜間戦闘機のデータが分からないのですが、かなり遅いと思うのですがどうでしょうか?

    それから確認できなかったのでうろ覚えですが、He118は急降下時に不安定になる欠点があるはずです。もしそうなら不採用は当然かと。
    酔鏡

  6. >5. 中低高度用 20 系マーリンを積んだモスキート NF Mk.III で海面上昇率 1870ft/m(9.5m/sec)、高高度用 70 系マーリンを積んだ Mk.30 で 2250ft/m(11.4m/sec) という数字が出てきました。He219 が飛び抜けて悪いわけでもないようです。

    http://www.home.gil.com.au/~bfillery/mossie02.htm
    ささき

  7. >4
    性能の問題でないのに機動性とか操縦性能云々というのはよくわからない話ですし、わたしが言っている「He162がマシな案」というのは飛行性能の話ではないのですが。
    また、手が空いているから急場凌ぎにほんのつなぎの急造戦闘機を作らせるというのは、その機体が自社設計機であったとしても、冷遇なのかどうか微妙だなと申し上げているわけなのですけれど。

    >5
    Ju87も試作機の出来は芳しいものではなく、Hs123に優るのは後席が高度読み上げをしてくれるというただの一点のみでした。一応Aは採用はされましたが、Bはもうほとんど別機ですよね。
    試作機のプロペラがすっぽ抜けたという大失点はありましたが、He118も同じくらいの手間をかければ実戦機として使えた可能性は多分にあり、引込脚にスマートな胴体はJumo211と組み合わせればJu87Bをかなり上回る性能になった可能性も捨てきれないものがあります。東部戦線でJu87Dとどっちが良かったかは難しいところでしょうけれども・・・。

    >6
    出力重量比とDB603Gの全開高度からするとHe219A-5/A-7のクライムレートってすごく疑わしいです・・・
    He219って装備エンジンもまちまちだし、R仕様の種類も機数の割にやたら多いので、A-0からA-7までの都合のいい数字を適当に抜き出して組み合わせ、ミルヒ悪役説の補強材料にうまく使われているんじゃないかという印象があります。
    まなかじ

  8. >まなかじさん
    この件につきましては、またお会いする機会にでも続きを。
    バウアー中尉


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