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3716 初めての質問です。陸上基地に於いては製造会社(機体、発動機、装備品)の技術者が派遣されていたようですが、戦時、母艦にそのような事例はあるのでしょうか。新型式の機体についてはどうしても軍のしかも前線の技術力では限界があると思いますが。しかし地上基地に比べいざとなったら生還が難しい母艦では民間人の派遣はしづらいと思うのです。ついでながら航空整備に於ける技術将校のエンジニアリングはどの程度の業務だったのでしょうか。
整備兵

  1. 母艦航空隊は重要な精鋭部隊ですから技術支援も基地航空隊以上に行われているのですが、母艦航空隊の基地は航空母艦ではなく陸上の航空基地です。技術指導や支援は主にこれらの航空基地で行われています。
    BUN

  2. 新型機の実施部隊配備に際しては、軍の技術面での中央である空技廠から直接技術士官が差し向けられることが度々ありました。ここには新製品の初期的故障に対してフィードバックを施すという意味合いもあります。
    日本海軍機の場合、試作終了降は、メーカーよりもむしろ空技廠が熟成・改造のセンターとして機能していました。


  3. 回答欄にて失礼致します。初めての質問でBUNさんにご返答頂き恐縮です。母艦航空隊の主基地が陸上であることと云うのは整備の主基地も陸上と云うことですね。母港に帰った時は機体、搭乗員だけでなく、整備要員を含めた航空要員の大移動となるのでしょう。整備機材や補用部品まで異動は出来ないでしょうから二重の設備を用意しなければならず大変なことだと思います。MANUAL類から整備記録まで考えたら大変な労力を必要としたでしょうね。母艦を運用するのは金がかかると云う意味がこの一つを取っても分かります。それより驚くのは製造者のアドバイスを受けられない環境で遠洋のしかも前線で驚くほどの稼働率で作戦を実施したことです。キャリーオーバも多かったのでしょうがやはり現場の下士官クラスの腕と技術将校のエンジニアリングがしっかりしていたのでしょう。この欄で日本軍の整備スッタフの質云々がよく論じられますが、少なくとも開戦初期に於いては搭乗員同様世界のトップクラスだったと思います。普通科、高等科、専修科等の教育システムがちゃんと機能しているうちは素晴らしい整備要員を抱えていたと思います。普段から自動車や機械に親しむ機会が無かったからと云う論法には経験上まったく関係ないと反論致します。貧すれば鈍する、負けがこめば補給や教育等満足に受けられないのは当然です。整備要員の質に言及するのは酷なような気がします。私は極限の運用とも云うべき戦闘に機体を提供し続けた当時の人々には理解を超えた驚きを感じます。発動機のTBOが200や300時間です、それすら到達しない時間で何十台もの換装作業など考えただけでうんざりします。現代の人間では絶対不可能です。車がいじれるから飛行機もいじれるとは限りません。逆に飛行機がいじれるから車がいじれるわけでもありません。整備も乗員と同じく職人的技に頼ってしまったのでしょう。問題は製造者も含めた技術の共有化やエンジニアリングに対する意識の無さにあったと思います。いづれにしてもあの稼働率を思うと母艦の整備環境やシステムについての資料が少ないのが残念です。(パイロットと違ってメカニックの書いた本など売れないでしょうしね)
    整備兵

  4. > 整備機材や補用部品まで異動は出来ないでしょうから二重の設備を用意しなければならず
     昭和19年の空地分離が行われる以前は、母艦が港に入ると整備科の人たちは整備用の機材はおろか魚雷運搬機、夜間設備用具、果ては予備発動機まで母艦から降ろし、入港前に発艦した搭載航空隊が移動した基地へ運び込んだそうです。
    T216

  5. 片さん有難う御座います。なるほど空技廠が機体開発だけでなくそのような役割もしていたのですか。これなら軍人ですから前線派遣も問題は無かったでしょうし、むしろ現場をよく分かっているでしょうから適切な指導及びフィードバックが出来たことでしょう。確か過去に空技廠の本が出版されていたと思いますので探して勉強してみます。

    T216さん有難う御座います。これは大変だったろうな〜頭が下がります。
    当時は道路事情も劣悪、トラックの調達も厳しかったでしょうに。
    予備発動機だって半端な数ではないはずです。隣の格納庫へ機材を移すだけでも大変なことなのに。やっと前線から帰っても休めませんね。
    ところでこの話しの出所は何処でしょうか?何かの本でしょうか良かったら教えて頂けませんか。私はこのような話しが大好きです。

    整備兵

  6. > 空技廠の本
     碇義朗氏の著作『海軍空技廠−誇り高き頭脳集団の栄光と出発−』『航空テクノロジーの戦い−「海軍空技廠」技術者とその周辺の人々−』(ともに光人社刊)と言う本があります。

    > この話しの出所
     雨倉孝之著『海軍航空の基礎知識』(光人社刊)の「特異なグンカン−空母(その一)」の中の記述をほぼそのまま4.に書き込みました。

     どちらも書店の店頭になくとも注文すれば比較的容易に入手できると思います。
    T216

  7. T216さんご親切に有難う御座いました。早速注文してきました。
    整備兵


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