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74 シュペー等のポケット戦艦は通商破壊戦を目的に建造されたのでしょうか。戦艦より高速で巡洋艦より強武装という通説は裏返せば戦艦には太刀打ちできず巡洋艦には武装過多で劣速のように思えるのですが。

  1. シュペーやシェアーのような装甲艦、いわゆるポケット戦艦が建造された当時、ドイツは1万トンを超える大型艦の保有を禁じられていました。限られた排水量で最大の攻撃力を持たせた結果、装甲と速力は犠牲されたのでしょう。もっとも、通商破壊任務には、戦艦から逃げきる速度と敵巡洋艦を上回る火力があれば充分だと思えます。輸装艦が相手なら、装甲艦でも簡単に追い付けるのですから、、


  2. 独海軍が通商破壊を平時から考えていたとすれば、本来主役になるべき軽巡洋艦群の航続力の乏しさが理解できません。WWUではケニーヒスベルクやエムデンが出撃できない為に戦艦が出撃したのではないでしょうか?主砲についても40センチ並みの長射程で、後に登場するであろうビスマルク等正式戦艦とともに戦列を構成することを目的としていたような気がするのです。


  3. (二つ下の解答者です)装甲艦に戦列を組ませるつもりだったと仮定すると、魚雷発射管を8門も搭載していることの説明がつかないでしょう。あまりにも薄い装甲(シュペーは多少改善されている)や、20ノットで1万浬の航続力を考えると、やはり通商破壊専門だと思われます。ついでに言うと、シャルンホルスト級に28センチ砲を載せている事も、当時のドイツ海軍に艦隊決戦思想がない事を表していると言えるかもしれません。


  4. シャルンホルスト級が28センチなのは艦隊戦闘を考えていないのではなく、シュレスビッヒホルシュタイン級の代艦として建造されたドイッチェラント級の4番、5番艦の計画変更型だからなのでは?


  5. シャルンホルストの主砲が28cmなのは38cm砲の製造が就役時に間に合わないので装甲艦用の主砲を流用したためです。38cmへの換装は考えられてはいましたがWW2勃発で不可能となり、そのままとされたという経緯があります(大塚好古)


  6. それにシャルンホルスト級が艦隊決戦を考えていないのであれば、あれだけの重防御は必要無いでしょう(ほぼ列国の35000トン級に匹敵する防御力)。後のZ計画の通商破壊用の巡洋戦艦計画では金剛型より薄い防御力しか持たせていないのですから(大塚好古)


  7. シャルンホルスト級が28cm装備だったのは38cmの開発の問題と、英国に対する配慮が有ったモノと思われます、重防御だったのは、武装程には世間的に影響がないこと>これは重武装を許されなかった海軍当局に対する政治側の譲歩とも取れますが、独艦の伝統等が上げられると思います。またビスマルク級を含み、独艦は艦隊決戦を考慮した設計だとは思えません、思うにジュトランドの経験から決戦思想に否定的だったのでは無いかと・・・、軽巡による通商破壊は有る程度有力な護衛が付いていた場合不可能だと言うことは、WW1でも証明されましたね、軍艦を投入しても仮装巡洋艦と大差無い戦果しか上げられないのが判っている以上、軽巡での通商破壊を積極的に独海軍が推進しなかったってのは十分に考えられるでしょう>それでもディーゼルの採用などで航続距離の延伸を謀ったりしてますが、結局は使い道があまり無かったようですね/SUDO


  8. でもって装甲艦に戻しますと、当時の制限で1万トン巡洋艦を造っても、敵の同級と相打ちになってオシマイです。ならば多少アンバランスでも「対抗艦」の無いスペックを与え、それを最大限活用できる運用方法を持ち出すしかなかったと>通商破壊に使われた場合、数少ない「対抗可能艦」をばらして護衛に使わざるを得ず、下手に決戦に使うより厄介だとも言えます>エムデン等、WW1独太平洋艦隊への対応にどれほどの多くの大型戦闘艦が拘束されたかを考えれば理解できると思います/SUDO


  9. ワシントン条約の制限を受けず、一万トンの制限枠の中で上限一杯の武装と装甲を施した奇形戦艦がドイッチェラント級なのではないでしょうか。ディーゼル機関については航続距離の延伸より高効率を求めた新技術として採用されているのでは?そして独海軍が通商破壊を主に考えていたなら、何故、前大戦であんなに活躍した航洋型の潜水艦の建造が開戦後ですら後手にまわったのでしょう。また開戦にあたりレーダーが「男らしく死ねることを見せるだけ」等と悲嘆に暮れるのはどういうことなのでしょうか?


  10. MAA,


  11. ↑下まちがい、まあ、議論するつもりは無いのですが、当時「潜水艦」の無制限運用が法律的に出来なかったコトはご存じですか?、浮上して旗掲げて、退避命令出して、出来るかっつーのってなノリの運用方法しか許されてませんでした。WW2でも実際には行われるのですが、少なくとも当初は「やっちゃ駄目」だったコト、潜水艦建造技術は独国内には残されていなかったこと>当然運用技術・人材もだな、以上の観点から、再軍備宣言した当時の潜水艦に対する期待や運用思想・戦略は充分なモノだったとは思えません。ついでに言うと、艦隊決戦思想は戦略的思考を捨てた一種の幼児退行化現象です、日本や英国の様に対外生命線を海上通商ルートに頼る国家が、無茶苦茶手間のかかる通商保護を放棄したいから打ち出した荒技で、大陸国家のドイツが考慮する必要性なんか全然無いってコトも忘れてはイカンでしょう/SUDO


  12. 米国が無制限潜水艦戦を開戦と共に宣言したように、政治的にも戦略的にも自国の航路帯を持たない独が無制限潜水艦戦を実施しても問題は無いはず。にもかかわらず、前大戦前半の戦い方を行っていたことはやはり通商破壊に重点を置いていない証拠のように思えますけれど。


  13. ちなみに米国は平時には潜水艦廃止論まで持ち出した国です。また、Z計画自体が巨大戦艦を含む決戦型艦隊を指向していたこと。英国との長期戦を陸、空ともに事実上準備していなかったこと等から見ても海軍だけ計画的に通商破壊専用艦まで造っていたとは不自然すぎます。1930年代のプロパガンダが「ポケット戦艦伝説」としていまだに尾を引いているように思えます。


  14. Z計画はナチス政権で、装甲艦はワイマール政権で計画されました、両者の条件はだいぶ異なると思うのですがね。Z計画が完成しても本質は変わらないと思いますし>WW1でも一部の海外派遣艦艇と潜水艦が活躍したに過ぎない、これはWW2でも同じカタチになったでしょう。重要なのは彼らの戦力ではなくて、置かれた地理的条件でそれはなにも変化していないのです>と云うかドイツに大型戦闘艦が必要だったのか極めて疑問、Sボートが活躍したのは性能だけでなく、それがその戦場に合致した兵器だったてコトを考えてみて下さい、連中に必要なのは遠洋通商破壊艦艇と沿岸防備軽艦艇なのです、仏新生学派の主張は基本的に正しかったのです>大陸国にはね/SUDO


  15. 成る程、状況証拠だけでは効果的に反論できませんね。こうなったらドイチェラント級建造に纏わる一次資料を漁るしかなさそうです。また来るぞ。ありがとうございました。



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