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433 戦艦の主砲射撃についてです。
試射→目標補足→本射 のプロセスですが、
試射段階では、第1射が目標付近に弾着→照準修正→第2射 なのでしょうか?
もしそうなら、試射段階では何分かに1斉射、ということなのですか?
勝井

  1. そーゆーことになります

    これを緩和するために
    遠めと近めの2つの諸元を与えて交互射撃するとか
    いろいろ工夫はしてるようですが
    基本的には、数分間隔になります

    SUDO

  2. それ考えると、ビスマルクがわずか6斉射でフッド撃沈したのって、
    やはりすごいことなのでは?
    第五斉射で早命中弾があったらしいですから、
    それまでに試射を終えてるんですよね。
    文字通り2,3回で狭叉しちゃったのか。
    勝井

  3. 日本海軍の用語で言えば試射は「緩徐な一斉打方」で本射は「急速な一斉打方」で行われるようです。緩徐と急速の差は前回の斉射の弾着観測修正をしてからの発射であるかの差です。
    本射に入るまでのロスタイムを短縮する為に大正8年に砲術学校射撃科で考案されたのが「初段観測2段打方」でこれは上でSUDOさんが書かれたように左右の砲で遠近を2段階に分けてそれぞれの弾着を観測するやり方です。
    その後昭和に入り、測距儀等の発達や飛行機による観測で測的能力が向上すると初弾精度も向上してとんでもない遠近はでなくなったために、試射は第1斉射のみにとどめて、第2斉射から本射に入って細かくは本射で合わせる「初弾観測急斉射」が一般的になります。かといって「2段打方」がなくなった訳ではなく、太平洋戦争の時点でも使われていたようです。実戦では(観測機が使えなかったりして)思ったほどの測的精度がだせなかった事と後は砲術長の好みでしょう。

    舞弥

  4. ビスマルクの射撃精度は敬服に値しますが、フッド轟沈はフッド自体の脆弱性と当たり所が良すぎた結果だと思います。
    ジュットランド海戦でのドイツ海軍の成績を見ると、射距離が違うので厳密な比較はできないもの15km程度からの射撃で第3斉射あたりで夾差して4分以内で最初の命中弾をだしています。具体的に書くとリュッツォーはライオンに対して15400mから射撃開始して第3斉射で夾差,射撃開始から2分で命中弾。モルトケはタイガーに対して14200m、第2斉射、4分。デルフリンゲルはプリンセスロイヤルに15000m、第6斉射、4分。対する英海軍はプリンセスロイヤルがリュッツォーに14600m、第3斉射、5分。ドイツ側は1分から5分、平均して3分程度で命中弾を出しているのに対して、イギリス側は3分から11分、平均して5分ほどかかっています。
    また太平洋戦争のアメリカ海軍のレーダー射撃の成績を見ると、第1斉射で約5割、遅くとも第3斉射で夾差しています。40km近い最大射程一杯でも同じです。

    舞弥

  5.  空母グロリアス砲撃時のシャルンホルストは第三斉射(標準斉射:弾着砲撃開始後1:50)で夾叉弾を得、
    それを元に砲撃開始後2:06の第五斉射で実行射を行っています。
    この時のシャルンホルストは第一斉射の着弾を修正して近/標準/遠の試射を続けて行い、その結果を
    見てから実行射に移っているようですね(ドイツ海軍の射撃方式はこうなのか?)。
    大塚好古

  6. ↑↑
    >また太平洋戦争のアメリカ海軍のレーダー射撃の成績を見ると、
    >第1斉射で約5割、遅くとも第3斉射で夾差しています。40km
    >近い最大射程一杯でも同じです。
    当時の米海軍のレーダー射撃って、そんなにも精度が良いんでしょ
    うか?近距離ならば兎も角、中遠距離では大した精度は無いと思う
    のですが?
    例えば、ブーゲンビル島沖海戦やスリガオ海峡での戦績を見れば、
    当時のレーダー射撃は恐れるに足りず。という印象を受けるのです。

    ↑ この時の射距離は25000m程度だと思うのですが、ここまで正
    確な射撃を実行出来たのはどの様な理由によるモノなのでしょうか?
    単に光学測距儀の精度だけでは無いと思いますが。
    グロリアスを護衛していた駆逐艦も一応仕事してた様ですし。
    takukou

  7. >.2 ビスマルクが「すごくない」というのは、その第五斉射を出すまでに時間がかかりすぎている、という点にあります。
    主砲のカタログ値でいえば、第九斉射あたりが出ていておかしくない。
    シュナイダー砲術長が慎重派なのか、初の実戦出動ということもあり測距に自信がなかったのか、試射に時間をかけすぎています。
    射距離が2万を切った中〜近距離砲戦だったことをお忘れなく。
    日本海軍なら、初弾から急斉射している場面でしょう。
    ビスマルクは、水準やや以下の砲戦をやっていたのであって、ビスマルクの砲撃が『恐ろしく正確』で、ドイツ海軍の砲術が『非常に優れている』というのは、ビスマルクがもたもたやっているうちに有効弾を出せなかったフッドの拙劣な砲術(艦首4門しか使えなかった不利はあるとしても)を弁護するためのイギリス海軍の言訳かと思えます。
    フッド(ホランド戦隊)の操艦自体は素晴らしいもので、自艦にもっとも不利な距離エリアを突っ切ってビスマルクの懐に飛び込もうというホランド提督の策はビスマルクの鈍重な射撃振りに助けられ、あわや成功寸前だったのです。
    まなかじ


  8. なにしろ、その後のウェールズ相手に
    命中4で被弾3ですからね
    未完成で主砲故障が頻発してる状態の戦艦と大差ないんだから酷いもんです

    SUDO

  9. >6. グローリアス撃沈の際は、レーダーによる測距を援用していたとどこかで読んだ記憶があります。(おお、曖昧)
    ドイツ海軍のレーダーは、警戒や索敵でなく基本的に射撃測距に使うものでしたから、なんとなく説得力はあります。
    しかし、そうすると、ビスマルクもプリンツオイゲンも使わなかったのは、どうしてなんでしょうね?
    まなかじ

  10. ↑6&直上 シャルンホルストは光学測距と電探測距を併用しております。射撃開始時に主砲が
    敵空母攻撃に専念したのは対駆逐艦用には副砲をもって完全に分火指揮したためだと思われます。

    大塚好古

  11. >9、10
    そうでしたか、既にレーダー測距を実施しておったのですね。
    射撃レーダーはブレストで装備したものと思っておりました。

    測距精度もさりながら「腕」の要素も多分にあると思うのです
    が、独海軍も土日は無かったのでしょうか?
    takukou

  12. アメリカ(リー提督)も、光学・電探併用派ですか?
    勝井

  13. ↑ 第三次ソロモン海戦の事を言っているのであれば、あの時はMk3射撃レーダーに射撃指揮を全面委任しております。
    なお、オランでジャンバールと打ちあった際はレーダー・光学測距併用であります(Mk3が故障したせいも
    あるのであるが)。
    大塚好古

  14.  ビスマルクの砲術能力に対しての弁護。

    (1)0553に英海軍が発砲して以降ドイツ側が0555まで発砲しなかったのは単に
       リュッチェンス中将の戦闘開始許可が出なかったためである。
    (2)ビスマルクの初期の射撃速度が低いのは弾種を変えていた可能性があるのでは?
       シュナイダー中佐は英艦を当初巡洋艦と判断しており、榴弾を装填していた
       可能性は充分にある(オイゲンのヤスパーも同様の判断であったため榴弾(瞬発
       信管付き)を当初装填させている)。
    (3)シュナイダー中佐による砲術指揮を受けたビスマルクはフッドに対する第三試射で
       夾叉を得ており、決して砲術能力が低いとは思いがたい。

     以上、「追跡」を読んだ記憶と「巨大戦艦ビスマルク」の記述より類推/考察/抜粋。
     
     …しかし、ビスマルクもオイゲンもデンマーク海峡では大したタマ数撃ってないのね。(93:179)。英艦への命中数が10〜11発で命中率は約4%。ビスマルクのみの場合だと5.4%
    程度の命中率なんですから充分な砲撃能力を発揮したと言っても良いのでは?
    大塚好古

  15. %を出してもね・・・

    日露戦争での、黄海海戦の命中率は日本側5%だそうです
    遠距離で殆どあたらなかったって海戦ですな

    第一大戦、遠距離でアウトレンジに徹したフォークランド海戦で
    英国巡戦は約7-8%の命中率

    第三次ソロモン海戦でワシントンは霧島に対して
    16インチ75発を発砲、主張では9発命中ですが、6発は確実で、12-8%

    サマール沖海戦でも
    各艦の戦闘詳報や、被弾した米艦の報告から見ると、5-10%程度
    殆どの砲撃が初弾か二度目に夾叉です(これは驚いた)

    てなワケで5%って数字は別に良くないのではないかと思います
    10%だと相当良くて、15%だと驚異的ってのが
    近代海戦全般での数字ではないでしょうか?
    勿論、距離によって異なるのですけどね

    SUDO

  16. いや、5%だと結構な命中率だと言えるのでは?
    かなり↑の命中速度からはそう判定出来ますが。

    サマール沖も言われるほどは悪くない、と思っているのですが
    命中率5%以下とみて良いのでは(確か戦艦は2%以下だった
    と記憶します)?
    ただ、戦闘初期(0700近辺)の段階での我が戦艦の射撃(主に
    金剛?)は非常に正確さあった、というのには同意します(命
    中弾は無いんですが(^^;;)。
    takukou

  17. そうなんですけどね・・・

    BUNさんの命中速度数値は22,500mのです
    ビスは2万以下の戦闘で、フッド沈没は13,000です
    11斉射で命中5ってのは、長門の命中速度から計算すると11斉射なら8発です
    実戦と訓練の違いを入れても
    平均15,000ぐらいの状況で命中速度(斉射速度を日本艦と同等として)0.43ですよ
    ちなみに、第三次ソロモン海戦のワシントンは8-9斉射で9-6発ですから1−7
    電探が有っても夜戦ですから、これが近距離実戦能力の目安ではないでしょうか

    綺麗に命中速度が変化するなら、15,000の命中速度は
    22,500の日本戦艦の0.75を実戦用に下方修正して半分の0.375と
    1万未満のワシントンの1-0.7から見て
    実戦で0.7-0.5が出れば「良い」と呼ぶべきで、凄いだと1以上でしょうか

    つまり11-12斉射での「良い」は7発『素晴らしい」なら12発で
    ビスの甘く見て7発、たぶん5発の命中は、まあ、悪いとはいえないけど、良くも無い

    まなかじさんの言うように、水準よりやや下ってのが丁度良い評価なのでは無いでしょうか?


    でもって余談、サマール沖海戦の空母の記録と戦艦の発砲を見ると
    初期の遠距離で夾叉を連続させたのは、金剛なのか判らないんですよね
    私が知ってる夾叉の証拠と言えそうなのは
    航空機発艦作業をはじめたばかりの護衛空母が、巨大な6本の水柱に夾叉食らってる写真だけなんで
    世界の傑作機、グラマンF4Fワイルドキャットに出てます、さてコレだれの砲撃?
    キャプションによると、この撃たれてるのはホワイトプレーンズらしいんですが
    彼女は煙幕に隠れるまで執拗に夾叉を受けつづけたらしいですね

    SUDO

  18. ↑ サマール島沖海戦の時における上の写真の撮影時間が分からないので何とも言えないのですが、
    ガンビア・ベイは金剛と重巡(羽黒か?)の砲火による水柱に包まれている写真があります。
    (両者とも撮影はキトカン・ベイより)。from丸スペシャルNo.106からでした。
    大塚好古

  19. あぅ、そうですね。ビスマルクは13000でしたか・・
    だったら、5%はアベレージかそれ以下でしょうなぁ。まぁフッド
    が呆気なく沈んだのもラッキーヒットと言えば言えるでしょうから。
    シャルンホルストの実績からビスマルクの射撃精度も良いのでは?
    と単純に考えていましたが、就役時期からしてもビスマルクの射撃
    精度はさほどでも無かった、といえるのかも。

    サマール沖の件は、米軍記録の「14インチ砲に夾叉された」という
    のと、金剛が単独行動で比較的良い位置に居た(他の3艦は何れも
    射距離30q以上に対して、金剛は24q)という事からの推測です。
    勿論、他艦の砲撃も効果があったとは思いますが。
    その後、一旦スコールに隠れた空母群は750頃から再度砲撃されて
    ますが、この頃には搭載機の発艦はあらかた片づいていると思われ
    るので、例の世傑の写真は最初の第一あるいは第三戦隊の射撃であ
    ると思われます。

    それしても、射距離と命中率の関係ですがどうなんでしょうね?
    口径にもよるんでしょうが、5000とか10000なんかだと呆気なく当
    たっちゃう感じもするし、逆に20000とか25000だとなかなか当た
    らない感じもするし・・
    takukou

  20. 逆に考えたらどうでしょう?
    フッドがあんなに早く沈んでしまったから、PofWが早々に戦線離脱してしまったから5%なんだと。
    試射段階での弾は全部むなしく(多少語弊有り)海面を叩くだけなんですし。
    勝井

  21. >20
    でも、あの二隻の英艦が普通に打ち合ってたら
    最期と同じように、暫く経ったら火力を失って命中率も何も撃破されてます
    まなかじさんが言うように、ホランド提督の策は成功寸前だったのです

    試射で海面叩くって言っても
    サマール沖海戦ほど無茶苦茶な状況条件では無いのです

    ウェールズは沈むフッドを回避した結果、フッドの進路に乗ってしまい
    ビスマルクからの射撃修正は楽だったと言われてますから
    目標変更に伴うロスは最低限で済んだでしょう


    SUDO

  22. とりあえず6.に関して書くと、光学装置による測距は理想的な条件だったとしても、距離が遠のくにつれて誤差が大きくなるのに対してレーダーでは基本的に距離に関わりません。よって距離が遠のくほどレーダーの方が有利になります。当たらないとすれば第一に散布界、第二に回避運動の問題になります。
    スリガオでの命中率がどの程度だったのかという点に答えられる人はいるのでしょうか?米戦艦の発射弾数や弾種に関しては資料がありますが、命中弾数に関しての信頼できうる資料の心当たりはありません。
    西村艦隊の唯一の生き残りの駆逐艦艦長の証言によれば、時雨が生き残ったのは駆逐艦の運動性を生かして不規則な回避運動を行ったせいだと言っていますが、CLGPを使用している訳ではないのですから、これで命中するか否かは射撃技術の問題ではなく、どちらに神様がついているかという問題になってしまいます。
    舞弥

  23. 見ておられるかどうかは判りませんが、一応書きます。

    スリガオでは旧式レーダーを装備している米戦艦は探知の機会
    さえありませんでした。
    更に、数千ヤード離れた自軍艦艇を誤射したり、最上を取り逃
    がしたり(この段階での最上は半身不随でしたね)、およそ「
    正確」とは程遠い射撃振りです。
    また、ブーゲンビル沖では米軽巡が電探射撃を実施しておりま
    すが殆ど当たってません。同時に照明弾を用いて射撃した我が
    5戦隊の射撃よりもかなり低調な成績と思われます。
    しかも、取り上げた例は米軍がある程度レーダー射撃のノウハ
    ウを得た後の海戦です。
    これから察するに、当時のレーダー射撃あるいはレーダーその
    ものに対してかなり疑問符を付けざるを得ないと思うのですが?

    ちなみに、レーダーにより距離が判ってもそれにより命中率が
    飛躍的に向上するわけでは無いと思いますし、ましてや射程一
    杯での命中精度に大きく関与する物でもないのでは?

    勿論、レーダーの有効性を否定する訳ではありません。
    悪条件下(夜間等)での探知、対空を含む比較的近距離での射
    撃には使い道があったと思います。
    takukou

  24. レーダー射撃が正確といっても程度の問題です。レーダーが有効な理由は正確かつ連続的な測距情報が得られる事と悪条件下でも有効な点です。
    前者について言えば、普通艦砲射撃で問題になるのは照尺(距離)です。苗頭(左右)はそう問題になりません。試射というのは基本的に苗頭はほぼ合っていることを前提に遠近を合わせる為に行われるものですし。従ってレーダーの距離情報というのは命中率に大きく影響します。
    後者について言えば、悪条件というのは予想外に広い範囲に渡ります。夜とか雨とかはわかりやすいですが。例え晴天であっても海面の光の乱反射だのもやだのてき味方の発射煙だのが光学測距及び観測を妨害します。逆に言えば光学測距及び観測が額面通りの能力を発揮できる方が少ないと言えます。
    日本海軍が実際の所、「レーダー射撃なんてたいした事ない」と感じていたとは思えません。戦争後期の日本砲術界での急務が電探射撃の確立だった事からもそれは伺えます。
    個別の海戦例ですが、まずスリガオ。旧式戦艦群は必ずしも旧式なレーダーを積んでいた訳ではありません。少なくとも3隻、ウエストバージニア、テネシー、カリフォルニアの3隻は射撃レーダーとしてMk8の最新型を装備していました。味方の駆逐艦を射撃したのは敵味方の判別がつかなかっただけで、レーダーの能力とは直接関連はありません。最上が逃げられたのは、同士討ちに気が付いたアメリカ側が射撃を中止したせいです。ついでに言えばスリガオでの戦闘で砲撃の中心になったのは巡洋艦で戦艦はそれほど撃っていません。巡洋艦の砲弾の命中率は決して悪いとは言えません。また逆に日本側の射撃がどうだったのかという問題もあります。戦艦、巡洋艦への射撃はともかく襲撃してきた駆逐艦にすら至近弾も与えられずに取り逃がしているのが実状です。
    ブーゲンビルですが、これも日本側の方が命中率が高かったとは到底思えません。海戦の序盤で「川内」と「白露」が大破、その後「羽黒」が中口径弾6発を受けたものの不発弾があったため助かり、日本側は「妙高」と「羽黒」が「デンバー」に3発命中させ「フート」に損傷を与えただけ。「川内」と味方同士の衝突事故で大破した「初風」はその後撃沈されてしまう。とてもじゃありませんが、、。
    舞弥


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