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477 超大和級戦艦「紀伊」級は、重量制限から主砲数を射法上最低限必要な六門としました。
では、何故「六門」なのでしょう?

というのを友人に聞かれたのですが、さっぱりわかりません。
教えて下さいませ。
山雀

  1. 公算射法は基本的には机の上で考え出された物で
    ORで「それだけ必要」とされたからです(爆死)

    まあ、これだけでは不親切とオフ会で怒られちゃうので
    簡単に公算射法を説明します>小笠原さん、ネタ一個無くなった、許して

    公算射法は19世紀末から20世紀初頭にかけて編み出された射撃方法です
    元来は、駆逐艦や大型艦艇の水雷艇撃退方法として考案された物です
    同じ性能の砲を同一諸元(照準)で射撃すると
    理論上は同じ所に着弾するはずなんですが
    色んな要素から、実際にはそのとおりにならず
    ある程度の幅と奥行きを持った楕円形のパターンにばらついて着弾します
     これを散布界と言います
    この散布界で目標を包むように照準できれば
    一回の射撃で、ある程度の数が「当たるだろう」ってのが公算射法です
    この射撃の利点は、投網で包むような物だから
    狙いがそれほど正確でなくても当たる可能性がある>長い射程で使える
    弾着が百mもばらつくような距離でも戦闘が出来る>長い射程で使える
    諸元が同一なので、射撃修正が容易である>長い射程で使える
    ってのがあるのですね

    何ゆえ、対水雷艇だったのかというと
    当時出現してきた水雷艇は、後の駆逐艦よりも魚雷艇に近い艦で
    夜間等で島影とかから出現して
    高速で雷撃距離に突っ込むとかが戦法だったのです
    これに、対応するには
    水雷艇を撃破できる程度の威力の砲弾を多数ばら撒くのが最善の方法でした
    かといって、多数の小口径砲を載せて射撃しても
    「俺の撃った砲弾はどれだ?」>水柱が乱立して見分けがつかない
    つまり、当たったのか外れたのか、どのぐらい外れてるのかが判らない
    結果、統一指揮のもと同一諸元で射撃するってのが編み出されたのです
    各砲が射撃指揮所から
    「この方位、この距離にセットしろ」と命令されて
    それに従って射撃するなら
    立てる水柱は、基本的に殆ど同じ位置に立ちます
    指揮所はそれを観測して
    「少し右とか、ちょい遠目」とかの修正を各砲に伝えて射撃を誘導する
    この射撃方法を大口径砲に応用してみたのが一般的な公算射法です

    でもって、様々な実験と実戦経験で
    ある程度以上の距離で射撃する場合
    散布界の大きさと密度のバランスが良いのは10門前後
    6〜12門あればOKってのが結論だったんですね
    だから超大和型は6門の主砲になったのです

    尚、これは近距離だと門数が少なくても問題ない場合がありますし
    射撃速度で稼ぐとか、抜け道というか、違う方法論も存在します
    ただ、50cmもの主砲は超遠距離での優位がウリですし
    射撃速度が稼げるとも思えないので、原則に忠実になったのでしょう

    SUDO

  2. SUDOさん、私も乏しい資料と焼き蛤と吟醸酒と薄れ行く意識の中、「6門」の根拠を探したのですが、昭和十年代各年度の射撃演習での散布界は4門で計測されていることが多いし、かといってド級艦以前は4門しか主砲が無いし、6門が「射法上最低限必要」とされていたかどうか、という点で、これ、という文章にぶつかりません。砲戦教範等にもっと当たれば出会えるのでしょうか。「6門くらいは最低欲しい」という事であればSUDOさんが指摘したことと同様の想像は私にも出来たのですが、艦の仕様を決定するような基本を成す理論ならどこかに大きく出ているのでは、と期待しておりました。どなたか御存知の方、どうか御教示願います。
    BUN

  3. 6門説はワタシも聞いたことはあるのですが、出典は?ですね。
    ポケット戦艦の主砲やシャルンホルスト級(当初)の主砲門数
    が6門である事の解説で見た気がします。

    しかし、その「大元」は不明です。焼き蛤と吟醸酒で思い出す
    かも知れませんが。
    takukou

  4. とりあえず、「日本の軍艦」とかでも「最低六門」は記述があります。

    で、試射は交互射撃が普通ですよね?ってことは本当の意味での最低所要数は3門ってことに。
    そう考えると、最低3門の根拠が少し見えました。
    おそらく、弾着のパターン形成に必要なのが「最低3発」なのだと思います。
    なんとなれば、3本の水柱があれば、3角形という図形を描くことが出来るから。
    これなら、水柱3本共目標の向こう側→遠弾、
    3本共手前側→近弾、
    1本手前、2本向こう側、あるいはその逆→狭叉
    の判定ができます。
    出典はありません。僕自身の考察によるものです。
    SUDO記者が以前レスされたように、試射では微妙に着弾点をずらしたり、
    交互射撃を行ったり、というあたりや他の本読んだりしながら類推しました。
    けど、理詰めで得られる解答は、今のところこれ以上のものは持ち合わせておりません。
    勝井

  5. パソコンのHDDを捜索したらそれらしいメモが見つかりました。
    公算学上からは、一斉射当たりの母数としては最小限4「発」、
    「6発」以上なら十分、らしいです。

    出典は今の所不明(^^;;です、すんません。
    takukou

  6. ただ、残念ながら勝井山の推測は多分違うと思います。
    パターン形成というよりも散布界の算出とその散布界中の
    弾着偏差を算出するのに必要な数だと思われます。
    takukou

  7. あの・・・突然横やりすみません。
    勝井さんって・・・その推測を「正解」として
    スタジオかつどんのHPで書き込んでませんでしたか?
    私、本気にしてしまいそうになったんですが・・・・
    推測だったんですね・・・・・・・。
    ひもと

  8. 勝井山
    試射は命中を期待していない場合も多いので
    門数に拘ることは無いのですよ>勿論、ある程度の数量は欲しいんですが

    でもって、ここで大胆な馬鹿説を取ります
    主砲の公算射法は
    単一口径ってのが一つのキーワードだと思います
    例の弩級艦(っていうか巡洋戦艦)マフィアのフィッシャー提督を軸に眺めてみます

    提督が単一口径主砲の艦艇の構想を1903年の時点で持っていたそうです
    彼が軍令部総長になるのは、その数ヵ月後
    その頃には、この単一口径主砲艦は、後のインビンシブルに発展します
    さて、興味深いのは、この当初の構想では
    254mm砲16門/21ノットの戦艦と
    234mm砲16門/25.5ノットの装甲巡洋艦だったらしい
    配置方法がどうだったのかまでは判りませんが
    片舷砲力は10門以上になったでしょう
    さて、この砲数は、公算射法の必要数量だったのか
    それとも、単に載せられるだけ載せたら、こうなったのか
    私は、取りあえず、載せられるだけ頑張った結果だったと想像します

    ドレッドノートの起工直前とも言える時期ですが
    この時点で、単一主砲艦艇の構想はまだ固まっていなかったのです
    そして、数量は、どれだけ必要なのか
    充分な考察が無かった可能性も有ります
    単に、弩級は
    「一番強力な主砲を載せられるだけ載せてみた」だけだったのかも・・・

    これの傍証としてはフィッシャーの主張で建造されたハッシュハッシュクルーザーが挙げられるでしょう
    勿論、私としては、あれは浅吃水の遠洋(いや遠征だな)モニターの亜種だと思うのですが
    46cm2門の装備は、門数に対する拘りが、あまり無かった事なのかもしれません

    また、副砲の縮小、廃止が戦艦級で行われていますが
    注目するべきは、軽巡洋艦です
    軽巡の戦闘距離は比較的短く、副砲も主戦闘距離で介入し
    口径差が小さいので、弾着観測等に悪影響があること必至でしょう

    英国の初期の軽巡は
    タウン級>舷側装甲を持つが、速度は低い
    アリシューザ級>当初は舷側装甲なし、高速
    この二種類の新世代巡洋艦が二等程度の防護巡洋艦と置き換わるのですが
    アリシューザの速度とタウン級の防御力を備えたC級軽巡洋艦が
    これらに続いて建造され
    「軽巡洋艦」が完成するのですが、取りあえず、それは置いておきます
    注目するのは、これら原軽巡の武装です

    タウン級は1910年から、アリシューザは1914年から就役を開始しますが
    彼女達は主砲と副砲の混載で登場しています
    アリシューザでは4インチ10門案と6インチ5門案で対立した挙句
    6インチ2門に4インチ6門の混載という折衷になりました
    公算射法の必要数どころか、同一諸元の統一射撃すら出来ません
    実際には
    第一次大戦の戦闘で混載は不便であると認識されて
    6インチ主砲に統一されるのですが
    ドレッドノートから8年経って就役した軽巡が混載だった事は注目に値します
    また、主砲統一後のC級軽巡は片舷指向門数は5でした
    (D級で6門になるのですが)
    それまでに28隻もC級作ってます
    (アリシューザ級やタウン級群も入れると57隻かな)
    これら、初期の軽巡洋艦は5門
    場合によってはもっと少ない数量しか指向できないのです
    勿論、配置の自由度とかの問題はあるのですが
    6門という数量には拘っていない可能性も高いですね
    多ければ大いに越したことは無いが、それほど真剣ではなかった
    それよりも切実なのは、主砲口径の統一だった
    そう感じられる部分が有るように思います

    ただ、第一次大戦末期から戦後の巡洋艦になると片舷6門になります
    D級、E級、ホーキンス級は全て6門ですね
    条約型巡洋艦はサイズと砲の制限があったので
    あまり参考にはならないのですが
    数量確保を重視した条約軽巡アリシューザは6門装備で
    だったら4門装備で、もっと小さくしろとか思ったりもしますが
    結局、これ以上小さくしても
    機関や船体等が喰うので、あまり小型化には繋がらない
    つまり効率が悪いということなのだと思います

    傍証1 パース級は7,000t、6インチ8門で、ア級は5,200tで6門
    「条約型軽巡」のサウザンプトンは9,100tで12門
    4門装備で外洋航行能力や装甲、速度を要求すると、たぶん4,000tぐらい
    門あたりの重量はサ級760t/門、パ級875t/門、ア級866t/門
    4門装備だと1,000tぐらい?
    もし、8-6門装備と同様の効率を望むなら3,500t以内に収めないと難しく
    それは設計も困難ですし、得られる全般性能や将来性も乏しくなる
    6門装備が効率が良いのは、火力と重量のバランスもあったのかもしれません

    傍証2、エイジンコートは輸出用戦艦で12インチ45口径を14門積んでました
    常備27,500tですから、1,964t/門
    これは同レベルの主砲10門装備の他戦艦と同レベルです
    つまり、このぐらいまでなら効率は似たような物と言えますが
    彼女と同じ排水量でクイーンエリザベスが建造できます
    速度同レベルで言うならR級だけど彼女よりも小さい>勿論主機の進歩もある
    つまり14門装備するぐらいなら、より大きな主砲を載せた方が良い

    そう、6-12門ってのは、火力云々以上に
    重量(つまりは最終的な建造費)の使用効率の問題だったのかも知れません

    すまん、オオモトの射撃効率は殆ど考察してないです(爆)

    SUDO

  9. げげっ、推敲前の奴を張ってしまった(;_;)

    あうあう、つまり、重量効率の問題が
    6-12門装備に大きく影響しているのではないかと・・・

    結局、2行で済むんぢゃねえか(;_;)

    SUDO

  10. か、勝井山って、よそでも活躍してるのか?
    凄いバイタリティだな。何か、ホント、感心しちゃうな・・・。
    BUN

  11. ↑今んところ、ここのほか、2、3のサイトを荒らしてます。
    今回向こうで少々先走っちゃった感があって少し反省しちゃってますが
    (でも実は「弾着に折れ線グラフを描かせる」って明記した本、
    以前読んだことあるんですよ。もっとも名前忘れちゃってる以上、
    ここでは屁のツッパリにもならんのですが)
    勝井

  12. >7
    「スタジオかつどん」のURLって、どこですか?
    人間爆雷

  13. ↑ 禁断の突っ込み(^^;;
    刺突爆雷

  14. 世の中には、Internet Link AgentなるVeryVery便利なフリーの検索ソフトがありまして、そいつを使って検索したところ、うまいことLinkのページを経由して“スタジオかつどん”とやらまでたどりつきました。
    http://www.katsudon.com/
    だそうです。
    勝井山がいました。


    FIX@メフィスト

  15. 勝井山、ざっと読んだが、反転だ。反転。
    クイズの件、早くあやまった方がいいぞ。
    FIXさんに言われたろ、周りを見ろって・・・。
    BUN

  16. >11
    勝井さん,その「折れ線グラフ」ってレッドサン、ブラッククロスですよ。
    架空戦記だよ・・・・




  17. 多分、公算誤差の事だと思うんだけど。折れ線グラフっつうか、
    曲線になる筈だヨ。
    takukou

  18. 勝井山集中攻撃を受けて大変だが、自分も基本的に勝井山に近い意見。まだ集中攻撃に耐えられるだけの材料が集まってない(集めていないという説もあるが)のでここに書けないが、とりあえず勝井山に1票という事で。
    舞弥


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