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541 水中翼船の理論って、いつごろ発見されたものなのでしょうか?
また、第二次大戦中に導入するとしたら不都合はどんなところでしょう?
胃袋3分の1

  1. 船体を浮き上がらせて高速発揮を容易にしようという構想は
    19世紀半ばに既にあったようです

    水中翼船は1896年に英国で特許を得ていますが
    理論だけに近く、現実に完成したのは1906年、イタリアだそうです

    1919年にドイツのフォン・シェルテルが水面貫通型の水中翼船を考案し
    1936年にタンデム配置のV型翼を用いることで成功したのが実用化への第一歩
    戦後になって、この資料を元にソ連が魚雷艇やミサイル艇に用いてます

    シェルテルは戦後、スイスに渡って研究を続け
    そちらの系統は戦後に西側陣営でも用いられています

    戦後になって水中翼船に乗り出した米海軍では
    各種の試作の結果、水面貫通型とは異なり
    全没翼型を採用して、ペガサス級ミサイル艇を作ってます


    つまり、水面貫通型の水中翼船なら
    ドイツで第二次大戦中に完成させる可能性が有ります


    問題点は
    水中翼船固有の問題と、水面貫通型の問題に分けるべきでしょう

    水中翼船は、翼で揚力を発生させて、船体を水面から持ち上げることで
    水中・水面にある物体を限定することで抵抗を局限し、高速を発揮させます

    これは飛行機でも同じですが
    水中翼の揚力が、船体重量より大きくないと成立しません
    揚力は、水中翼の面積に依存し
    面積は、船体サイズの二乗に比例します
    そして、重量は船体サイズの三乗に比例するのです

    現代の軽合金や軽量大出力機関を用いても
    500t級が限界と言われています
    つまり大型化が困難なのです
    そして、大型化出来ないと、戦闘能力が限定されるのです

    そして、波浪の問題があります
    波から翼が出てしまったら揚力が無くなりますし
    波に船体が接触したら抵抗が増大します
    つまり、波浪が高くなると、航行不能にはならなくても行動能力が大きく減少します
    また、船体サイズが小さいことからも外洋行動能力は貧弱な物になります

    そして、水面貫通型は、昨今の全没型よりも、この条件がきついと想像されます
    また、戦闘艦艇としてみた場合
    至近弾等で水中翼が破損したら行動能力を大きく喪失すると思われます

    利点としては、吃水が極少になるので、浅海域の行動が容易で
    機雷源とかを突破するのには向いてます
    耐航性能さえ確保出来るなら、ドーバー海峡なんかでは使い道があるかもしれません


    SUDO

  2. そういや1000t越級のHF船の研究しているとこあったなあ。
    日・米・伊ともに。
    sorya

  3. 詳細な解説ありがとうございました。m(_'_)m
    胃袋3分の1

  4. ドイツが1936年にVS-8ザクセンベルグ水中翼船を建造したそうですが、実用化されてないんでしょうか?
    Angel Halo

  5. それって排水量5tの奴?(走行時だっけか)
    あれはキャンセルされたんじゃないかな?
    sorya

  6. 過去のAnsQにありましたが、排水量80tとか・・
    tackow


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