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1362 皆さんはじめましてたかおといいます。
つまらない質問で申し訳ありませんが、大先輩の皆様おおしえください。
日本海軍に「五十鈴」という軍艦がありましたが何故大砲を全部高角砲にしたのでしょうか?
戦争の終頃には飛行機の攻撃が激しかったので仕方なく替えたのでしょうか?普通の軍艦相手では
高角砲はあまり約にはたたなかったのではないかと考えてしまいます。また高角砲は3つついてますが
もっとつめなかったんでしょうか?
色々質問してすみませんが資料がないのでよくわかりません。よろしくお願いします。
僕はすこしかわったこの軍艦がとても好きです。
たかお

  1. 主砲を高角砲に換装したのは、艦隊の防空能力を向上させるためです
    自己防衛以上のことを要求されていたと見ても良いかも知れません

    世界的に見るとこの規模の軽巡洋艦は
    防空巡洋艦へ改造されたり、新造艦でも防空主体の艦が建造されることが多く
    五十鈴の改装はそういった世界的なトレンドの一つで飛行機の脅威への対応だったのです

    また、対水上火力では確かに威力が劣りますが、それほど大きな違いは無いと思います
    五十鈴が搭載した高角砲は連装ですから3基6門あるので
    従来の14cm主砲7門(片舷指向門数6)と比べても単位時間あたりの砲弾投射量ではあまり変わらないですし
    射程では見劣りしますが、実戦ではそれほど問題にならなかったでしょう

    また五十鈴はこの主砲交換のついでに魚雷発射管も新型に交換してます
    これで酸素魚雷の運用能力も持つ事になったので総合的にはプラスかもしれません

    どっちにしても高角砲に換装した後に水上戦に参加する機会は無かったのですから困る事は無かったでしょう

    高角砲の数が少ないのは船体のレイアウトの都合が大きいと思われます
    もっと抜本的に船体に手を入れればもう少し載せられたかも知れませんが
    それだけの時間の余裕は戦時中ですので難しかったでしょう

    余談ですが、五十鈴は爆撃損傷の修復工事のついでに改造されました
    もし損傷してなかったら改装される事も無かったでしょうね
    SUDO

  2. >SUDOさま
    御回答ありがとうございます。ごていねいな解説をいただきましてとてもよくわかりました。
    五十鈴にとっては損傷を受けましたが改装を受けることで結果的には戦力アップになったわけですね。
    こちらの過去のAns.Qも拝見いたしましたが五十鈴の活躍を知りとてもうれしいです。
    SUDOさま、日本軍はお金がないので他の軍艦も五十鈴みたいにするなんていうことは考えなかったのでしょうか?
    勝手に質問を増やして申し訳ありません。
    たかお

  3. ↑お金より、機会がなかったんだと思います。
     なにしろ1隻でも多く可動戦力が必要だったわけですから。

     戦時中、日本艦艇はドック入りの度に電探や機銃を増備してますし、
     摩耶のように主砲を下ろしてまで高角砲を積んだ艦もあります。
    勝井

  4. >2
    例えば英国では第一次大戦末期に建造した旧式軽巡洋艦を
    1930年代後半に防空巡洋艦に改装していますが

    それを出来る経済的余裕があったのも事実です
    もちろん改造費用もありますが、たかおさんが懸念されたように
    高角砲に主砲を交換した場合、対水上戦力は落ちますから、艦隊全体の戦力を考えると何かで補わないといけなくなります
    英国の場合は新型軽巡洋艦を続々と建造中でしたから、旧式軽巡が余っていたわけです

    翻って日本では、五十鈴も含まれる5500t級が主力軽巡洋艦で
    多少旧式化しつつありましたが充分に使える性能であった事
    後継となる新型軽巡の建造予算も中々確保できないという状況ですから
    単なる改造費用よりは、穴埋めの代わりの軍艦を確保する予算が無かったというのが正しいかもしれません

    また勝井山の論は多少あれですが
    大戦末期まで生き残った艦では主砲を降ろして高角砲を搭載若しくは増載した例が多いです
    主砲を全部交換しちゃった五十鈴が最も派手ですが
    5500t型軽巡洋艦の大半と重巡洋艦摩耶が主砲を減らして高角砲を搭載し
    駆逐艦の多くが主砲を一基降ろして機銃を増設
    戦艦大和は副砲を半数に減らして高角砲を倍増させてます

    まあ、こういった対策は他の海軍でも多くの事例が見られますが
    日本の場合は魚雷はしっかりと現状維持か強化してるのも興味深いです
    駆逐艦なんか魚雷を削減すれば機銃はもっと積めたでしょうにね
    (さすがに旧式駆逐艦では減らした例もあるようですが)
    SUDO

  5. 福井静夫氏の写真集「日本の巡洋艦」によればレイテ沖海戦の後、呉に入渠、修理された五十鈴は、乗員の要請で損傷改修工事のみ受け、
    新規兵器の設置・改良はすべて謝絶して、ただちに最前線に戻ったそうです。

    この時期、個艦戦力増強のための悠長な改装・新兵器の装備・調整をしている余裕がなかったのでしょうね。
    Navy

  6. >勝井様 SUDO様 Navy様
    皆様のご親切な御回答・ご指導、感動しました。
    ありがとうございました。
    軍艦の兵器の変更だけでも、ただ下ろして積みかえればいいという簡単なことではないのですね。
    とても勉強になりました。
    五十鈴の活躍を知って、全てのこの形の軍艦(同系艦っていうんでしたっけ?)を五十鈴みたいに
    すれば良かったのにと簡単に考えてしまってました。
    またこのような機会がありましたら、よろしくお願いいたします。



    たかお


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