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1539 第二次世界大戦から対潜水艦用兵器として開発された「ヘッジ・ホッグ」は、なぜ爆雷と併用して使用したのでしょうか?この兵器の短所はどういうところなんでしょう。
TOTOTO

  1.  ヘッジホッグは、多数の小型爆雷を前方方向に一度に投下するものですが、その
    小型爆雷は、通常の爆雷よりも威力が小さく(そのかわり、1発の小型爆雷が命中すれば残りの爆雷が誘爆する。)、また1発も命中しないと起爆しない仕掛けになっています。そのため通常の爆雷が直撃する、あるいは至近で爆発するのに比べて撃沈しにくいのです。
     敵潜水艦が対潜艦の前方の水中にいる間、ヘッジホッグで敵潜水艦を牽制なり、いたぶるなりして、通常の爆雷が使用できる状況(すなわち敵潜水艦が対潜艦の側面下、あるいは直下にきた時)になったら通常の爆雷で本格的な攻撃を行い(とどめを刺す)というというのが、ヘッジホッグと爆雷を併用した攻撃のパターンなのです。
    アッサム

  2.  では、なぜ対潜用前方投射兵器としてヘッジホッグが有功であったかというと、射程距離と投射装置の重さにあります。
     射程距離が長いことが望まれるのは、対潜艦が潜水艦に接近するまでの間に一方的な攻撃を受ける危険を減らすことと、爆雷の衝撃によるソナーへのダメージを減らすこと(爆雷の爆破する海域に近づくことから、通常の爆雷投射よりもソナーへのダメージが大きい)の2点が理由としてあります。
     射程距離が長くなればなるほど、投射装置も重くなり(爆雷は対潜艦の備砲の砲弾よりも重いので、より深刻となる。)、排水量が軽く速度が必要な対潜艦に積み込むのに不利となります。ヘッジホッグの場合は、「小型の爆雷を大量に投射する」方式により、長射程でありながら、通常の爆雷投射装置よりも軽い重量を実現したのです。

    アッサム

  3. アッサムさんご回答ありがとうございます。
    それにしても、連合軍駆逐艦に装備された優秀なソナーと30ノット以上の高速をもってすれば「ヘッジ・ホッグ」などあえて使用する必要がないと思うのですが?

    TOTOTO

  4. >3
    それは大きな間違いです。

    A:ソナーは基本的に高速を出すと聞こえません。
    B:推進器の雑音の問題から船体の後方は死角になります。

    この二つの問題点から、構造的に艦尾方向から投下する爆雷は、
    ものすごく乱暴に言うと「めくら撃ち」になるのです。
    ましてや高速で潜水艦の伏在海域に突っ込んだら失探しちゃいます。

    これを補うためにハンター・キラー戦術のようなチームプレーを導入するのですが、自艦の探知をそのまま攻撃情報として使える前方投射兵器は想像以上の使い勝手のよさを持つと思われます。


    SUDO

  5. >ゴミレス1
     第二次世界大戦の連合国側の船団護衛に使用された対潜艦は、最大速力30ノット以上の駆逐艦ばかりではなく、最大速力15〜25ノット程度のコルベット艦や護衛駆逐艦などもありました。
     対潜水艦船団護衛の場合、潜水艦の水中速力が遅いこと(10ノット未満)、索敵時はソナーの妨げにならない低速(15ノット前後くらい)で航行することなどから比較的低速な艦でもこの種の任務につくことが出来ました。
     それでも高速な艦が船団護衛に求められるのは、水上艦あるいは水上に浮上した
    潜水艦との交戦、潜水艦制圧後の早急な船団への復帰(対潜艦が潜水艦を制圧している間、船団は別の海域に移動しているため。制圧時間が長期化するにつれて、制圧海域と船団の所在海域との距離が広がる)などで速度が要求されるからです。

    >ゴミレス2
     第二次世界大戦末期にドイツが水中速力の速い(と言っても20ノット前後)潜水艦を開発したねらいの1つに、追跡する対潜艦に高速を強いることで、ソナーの失探を招いて対潜艦からの追跡を振り切ることがありました。しかし戦局の悪化と機関の問題から大量配備出来ずに終戦をむかえました。
    アッサム

  6. どうもありがとうございます。大変勉強になりました。

    TOTOTO


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