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1560 ロールスロイス社の艦艇用ガスタービンエンジンのIRCシステムについて質問いたします。このエンジンは排ガス熱を再生器に蓄え燃焼器に入る前の圧縮空気を加熱するとのことですが、何故、燃焼器に入る前に加熱すると燃費効率が向上するのですか?
 (世界の艦船 00/8月号 p103の特集記事を読んだものです)

富士通BIBLO

  1. ごく大雑把に言えば、300度の空気を燃料の燃焼によって1200度に上げていたのを、まず、排気の熱によって700度まで上げておけば、1200度まで上げるのに必要な燃料は少なくて済む。というようなことです。
    より正確な説明は、熱機関工学の本など開いてみてください。
    (N)

  2. http://www.gas-turbines.com/RANDD/ICR-WRDS.htm
    たぶんこのHPにあるICRエンジン・システムの事だと思いますが、これによると圧縮空気を燃焼器に入る前に加熱する事で、より少ない燃料で燃焼サイクルに必要な空気温度に達する事が出来る、とあります。
    ガス・タービンを自律連続運転するには燃料を燃やしてタービン→圧縮機を回転させ燃料が燃焼するのに必要な温度まで空気を圧縮、加熱しなければなりませんが、他の方法で空気温度を上げられればこの部分に要する燃料を減らせる、と言う事ではないでしょうか。
    jas1

  3. あら、かぶってしまいました。失礼いたしました。
    jas1

  4. 既に大筋の部分は説明されているようですので少し蛇足を。
    燃焼器入口温度を上げた場合の副作用として燃焼器出口温度不均一率の向上があります。
    これは冷たい空気に燃料を吹き込み火を点けると火炎放射器のように火炎が伸びるのは
    容易に想像できると思いますが、となりの噴射弁との間には潤沢に酸素が残り、火炎の
    中では超リッチバーンになってますので燃焼効率がそれ以上上がらないし、タービンノズル
    にも悪影響があります。この状態が出口温度不均一率が悪い状態です。
    この状態で入口温度を上げると燃料の微粒化が進み燃料の拡散が多くなりますので出口温度不均一率も向上して燃焼効率が上がります。
    結果として同じエンジンサイクル効率を得るのに必要な燃料が少なくても良くなると言うことです。
    舶用や発用は重油など本来は劣悪な燃料での燃焼を強いられますので、特にこの効果が大きいです。

    もちろん大筋の効用としては前出の方々のご説明にあるように入口のΔTを既に稼げている
    事の方が大きな影響でありますね。

    Square

  5. M!エイブラムスなどのような再加熱装置付きのガスタービンは圧縮タービンから燃焼室までの流路の取り回しが
    ものすごく面積や無理な曲がりがあって大きな圧力損失や抵抗、流量の不均一が起こりそうなのですが、そういうものは
    設計次第で劇的に改善する物なのでしょうか?

    あと圧縮タービン1段目と2段目の間に中間冷却器を設けた場合の舶用ガスタービンの燃費向上というのは複雑化に対して
    ペイするものなのでしょうか?
    Navy

  6. ↑前半はうーん、ちょっと答えづらいです。
    とっても厄介でした。で勘弁してください。ご推察の問題も有るし、軸方向の熱膨張差の処理など
    克服すべき問題は山積みでした。とだけ

    後半は舶や発は航空や車両と桁違いに運転時間が長くなりますので少しの差でも一航海で
    ペイするなんてのも有りです。ですからComp.出口からストラット、ディフューザまで
    考えられる全てを色々試して最適化してもペイできます。


    Square

  7. ああ、そうですね。燃焼器内の温度を上げればいいわけですよね。自分はまた圧縮された空気を熱膨張させて燃焼伝播が上手くいくような−そんなイメージを描いていたもので。妙な質問をしてしまいました。それにしても燃焼機関理論は自分には容易ならざる領域なようです。
    回答いただき恐縮であります。今後も宜しく願います。
    更なるご指南いただけましたら追記願います。 

    富士通BIBLO

  8. >あと圧縮タービン1段目と2段目の間に中間冷却器を設けた場合の舶用ガスタービンの燃費向上というのは複雑化に対して
    >ペイするものなのでしょうか?
    航空機用エンジンの中にはオイルを燃料で冷却する為オイル・チューブの中にストロー状の細いパイプを何十本と配した熱交換器が
    装備されてる例もありますので、フィンで冷却するタイプの中間冷却器は複雑化の範疇には入らないと思いますよ。
    また航空機用エンジンには流入空気温度を下げる為インテーク入口、圧縮機中間、燃焼室入口等に水/アルコール噴射式中間冷却器が
    装備されてたりしますが、Square氏のおっしゃる通り長期間行動する船舶では使い捨て型のタイプより、回収循環式の冷却器
    の方が有利なのではと思われます。

    jas1

  9. お言葉に甘えて蛇足の蛇足です。
    通常の航空用エンジンは推重比を目一杯稼ぐために吸込み効率と初期圧縮を行うインテークを付け
    更に多段のファンや圧縮機を使って高圧高温の燃焼器入口空気を作っています。
    大体の数字で400度くらいでしょうか。
    ここで考えていただきたいのは普通の金属なら700度くらいからヘロヘロになっちゃいますから
    これ以上はインターホッターは使えないんです。しかも排出ガスそのものが推力源ですので
    圧損を生むインターホッターはやっぱり却下になります。

    しかし舶や発用は、インテーク効果が無いしまず価格ですからファンは無いし、圧縮機も
    信頼性のためにもだいぶサージマージンを広く取った設計にディチューンしてますので圧縮比も温度比も稼げないんですね。だいたい250℃くらいでしょうか。
    その上、圧縮効率のためにインタークーラーまで付けて温度下げますし。
    だから最後にインターホッターで400℃くらいまでは加熱できるんですね。

    蛇足ついでに
    車両用は振動時のコリオリ力に対抗するためどうしてもエンジンの性能を下げざるを得ず
    よってディーゼルに敵わない状況になりやすいようで大々的な普及に至らないのが
    理由の一部のようです。

    Square


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