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1566  大正ごろの兵器に戦艦から曳航する観測気球というものがあります。元は第一次大戦中イギリス海軍が対潜用に開発したものらしいですが。
 この兵器はなぜ廃れてしまったのでしょうか? 飛行機に弱いというのは分かりますが、常時高所から警戒できるというのは魅力的だと思うのですが。第二次大戦中でも敵制空権外の対潜用に海防艦や商船の武装の一環として設けていたら有効だったと思うのですが。
 あと、この兵器に詳しい資料がありましたら教えてください。
井中かえる

  1. 速度出せなくなるからです
    SUDO

  2. 追加、艦が被弾した時に曳航索が切れやすいというのも上げられます。

    SUDO

  3. 気球の任務は弾着観測に限らずかなり幅広いもので、大正十年度に気球母艦の新設を検討した際、気球の用法としては、
    1.艦隊出入港時の潜水艦または機雷に対する見張り
    2.小艦艇からの曳航による局地の哨戒
    3.艦隊の哨戒、偵察補助
    4.艦隊戦闘中の潜水艦または機雷見張り
    5.艦隊砲戦中の弾着観測
    6.艦隊戦闘中の敵の運動監視
    7.商船隊の護送補助
    といった運用が考えられています。
    気球の欠点としては、天候に左右されること、無線機の未発達により気球の得た情報を迅速に伝える手段を欠いていたこと、飛行機により撃墜容易なこと、気球を上げれば当然、敵に発見されてしまうこと、等が挙げられています。これに対してこうした欠点も運用でカバーできるとの気球擁護派の意見もありましたが、結局、気球は本格運用される事なく、昭和二年には魚雷発射訓練の支援中心となり、昭和六年に気球隊は廃止されています。一時期は気球と任務を分担しあう立場にあった日本の艦載水上機は敵艦攻撃をその中心的な任務として持ち続けて発達しましたが、気球は積極的な攻撃手段を持たない為にあまり期待されていなかったのでしょう。
    BUN

  4. 気球の耐風力問題については、大正十三年度中の6個流出などが問題となったようですが、材料不良がその原因であるとして、関係風速30mまでは安全、40m以内なら安全な操作は可能だとする所見がありますね。気球隊の側からの報告ではありますけれど。
    BUN

  5. というと、理論上は、無風状態だと艦速15ノットから20
    ノット位までは運用可能ということですね。
    SAW

  6. 計算違い。
    60ノットから80ノットですね。
    25ノットで戦艦が航行すれば向かい風で、17mから
    27m程度の風速(毎秒)ですね。
    SAW

  7.  こんなマイナーな兵器についてこんなに回答がつくなんて、皆さんありがとうございます。さて、思いついたことをいくつか。

    >3・6
     風速は十分実用に耐えそうな数値です。任務も戦闘時だけでなし、通信は曳航索があるのですから有線電話を使えばいい。面白そうな兵器だったのに。
     日本ほど攻撃偏重ではない諸外国の場合はどうだったのでしょうか。また、逆に敵艦などに見つけられることは問題にならなかったのでしょうか?
    井中かえる

  8. 気球を上げれば敵にも発見される、という批判があったのは上に書いた通りです。
    これに対して気球隊の反論として、現代の海戦では飛行機が発達しているので気球を上げるような状況で味方主力が発見されていない訳が無い、というものです。では気球は敵機に真っ先に狙われるではないか、との反論には気球を狙う位なら敵機は主力艦の艦橋を狙うはずで危険なのは気球だけの話ではないと反論しています。
    BUN

  9. ゴミですが、第二次大戦中の独海軍Uボートには無動力一人乗りのヘリコプターのようなものが搭載されていました。形こそ違えどこれが井中かえるさまのおっしゃったものにあたるのではないのでしょうか?
    紅葉饅頭

  10. >9.オートジャイロですね。オートジャイロは無動力でも向い風さえあれば凧のように曳航して飛ぶことができます。戦前の日本にもありました。ここなんかどうぞ。http://www2g.biglobe.ne.jp/~aviation/jpnhistory.html
    ええと曳航式の無動力オートジャイロについては・・・すいません資料が見つけられません。
    epitaph

  11. >9
    Fa330の事ですね。対気速度が40km/hの場合、
    100mの高度を獲得出来るようです。

    あず吉

  12. 家に帰ったので資料を見つつ再レス・・・
    Uボートに搭載されたのは前述の通りフォッケ・アハゲリスFa330“バッハシュテルツェ”(セキレイ・・・鳥?)で海軍Uボートの空中観測器として開発されたジャイロ・カイトと呼ばれる凧の一種だそうです。35km/hから飛翔が可能でUボートとは有線電話を介し母艦との連絡を取っていました。さらに緊急時には回転翼を切り離しパラシュートを使って降下するおもしろいギミック付きでした(笑)42年頃開発、約200機が生産されたそうです。さらにこの機は最大80km/hまで最大速度を持ち220mまで上昇することが出来たそうです。井中かえる様の仰る種の兵器の進化形体がこの機と捉えてよろしいのではないでしょうか?
    紅葉饅頭

  13. >9〜12
     そうか、それがあったんでした。確かに運用から考えれば進化形といえますね。
     みなさま参考になりました。
    井中かえる


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