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1612 1608同様ロシア巡洋艦についてです。装甲巡洋艦「リューリック」は戦艦「ペトロパブロフスク」などとほぼ同様の排水量なのに何故あんなに武装が違うのでしょうか?装甲もあまり厚くないみたいですし、排水量に見合ってない気もするのですが?「ロシヤ」や「グロムボイ」についても同様の疑問を感じているのですが、どうなのでしょうか。やはり当時の技術では機関等がかさばったのでしょうか?
見習い4等兵

  1. >機関がかさばる
    それもひとつの要因ですが、燃料の石炭も大量に積むのでかさばります。それ以上に、当

    時の戦艦と大型巡洋艦の任務の違いが反映されているのです。

    「ロシア」という国名が名付けられていることからもわかるように、この巡洋艦は、外地

    にあって国を代表する存在です。戦艦は基本的に防衛用の存在ですから、航海能力ととも

    に居住性に対する要求が大きく異なります。(乗組員の、ではなく、高級士官の、です。

    もちろん、乗組員の生活環境にも差はあるのですが)

    士官公室では、訪問先で要人を招いたパーティくらい開けなくては困りますし、艦長とは

    別に司令官級の提督が乗ることも珍しくありません。つまり、要求が武装や防御力ではな

    く、容積を第一義にしているのです。大きさは示威上も有利ですし。

    これが極端に出ている一例として、ロシアには分類上は戦艦である「インペラトール・ア

    レクサンドル2世」と「インペラトール・ニコライ1世」(日本海海戦で捕獲された後の「

    壱岐」)があります。
    両艦は準姉妹艦ですが、どちらも主砲は12インチ砲2門だけで、後部には主砲塔がなく、二

    重になったプロムナードが巡らされています。後ろから見るとほとんど客船です。
    志郎

  2. インペラトール・アレクサンドル2世級はほとんど海防戦艦ですし、当の露西亜海軍でもあの二隻だけですから例としてあげるには特殊過ぎやしませんか?

    見習い4等兵 さんの「当時の技術では機関等がかさばった」で充分な理由の気がします。これらの艦の煙突数を見比べるだけでもどれだけの負担がかかっているか一目瞭然です。
    後年の弩級戦艦と巡洋戦艦も一基以上の主砲塔と装甲厚を引き換えに速力を得ていますし、排水量も巡戦の方が大きくなり勝ちでした。取得価格も弩級戦艦より巡戦の方が高かった事を考慮すると、戦艦より価格を抑えているであろう装甲巡が前弩級戦艦より攻防力において見劣りするのは当然な気がします。
    戦艦乞食

  3. おお、すみません。海防戦艦ガングートも同様な形式でした。
    ただどちらにしても小型艦で特殊例だと思います。
    戦艦乞食

  4. お国の用兵思想にも関係してくるのではないでしょうか?
    ロシアの装甲巡洋艦は主として通商破壊艦の意味合いの強い船です。
    射撃回数の少ない重砲よりも速射砲を重用視したのではないかと。
    あと当時の戦艦はまだまだ航洋性の低い船であったことも忘れてはなりません。
    「ペトロハバロフスク」と比べると「ロシア」はいかにも舷側が高く、細長い船です。
    これじゃあ重砲を積みにくいよなぁ…と思ってしまいます。
    tomo

  5. インペラトール・アレクサンドル2世級は、当時としては小さくありませんし、海防戦艦でもないんですが・・・

    tomoさんのおっしゃるように、用兵思想の差には大きなものがあります。ライバルである英国の同時期の軍艦と、当時の国際情勢、力を入れていた海外領土の場所、そことの連絡手段などを考察してみてください。

    19世紀末の装甲巡洋艦と戦艦の性格差は、巡洋戦艦とド級戦艦の間のそれと大きく異なります。また外洋での航洋能力は、カタログに見る速力差で推し量れるものではありません。
    そういった性能に対する要求順位の違いが、機関部を大きくし、ああいう性能差になったのだとするなら、それもひとつの結論でしょう。私は、それだけで十分だとは思いませんけど。

    志郎

  6. 当時の伊装甲巡洋艦「ピサ」が1909年竣工で1万tで140m。
    1897年竣工の英防護巡「パワフル」にいたっては、14,000tで152mなんで、
    -戦艦は巡洋艦よりでかい-って思想が当時定着していなかったのかもしれません。
    まぁ巡洋艦のスペックと建造費のギャップは英国議会でたびたび問題となって
    いた様ですが…
    5,000tの「アスコルド」でさえ戦艦よかでかく見えるんで、やっぱ用兵側のスペックを満たそうとするとああ成るのでは?
    PS:志朗さん。十分だと思ってない訳がすごく知りたいですぅ。
    tomo

  7. 志朗さま、tomoさま、見習い4等兵さま、こちらの思い込みで御迷惑おかけしました。

    便乗質問ですが、インペラトール・アレクサンドル2世級を「ほとんど海防戦艦」と書いたのは世界の艦船の記述からなのです。ただ、浅喫水・軽武装・バルト海用と言った性格は海防戦艦的なのですが、一方で喫水線下銅被覆は長期遠洋航海用の装備です。いったいこのクラスはどう言った目的・位置付けで計画されたのでしょうか?

    戦艦乞食

  8. >十分だと思っていない理由
     全部説明しようなんて気にはなりません。軍艦のスペックだけでなく、その艦種の生い立ち、建造国の技術水準、海軍の思想、地理的環境、歴史から政治情勢、そういう勉強も必要だってことです。

    >世界の艦船の記述
     目的、位置づけの正確なことは、当時の人にでも聞かないと判らないでしょう。それで解るとも思えないのがロシア艦の怖いところなんですが。ある友人は、あれを「超強力皇室ヨット」と評しておりました。
     航続力、航洋性、同時期に建造されていた他の艦との関連、非常に良好な居住性などからみて、あれは長期海外行動用のフネでしょう。ただ、造っているうちに目的が変わってしまうことなど珍しくもない国なので・・・

     吃水は浅いといっても極端ではなく、当時のスエズ運河の制限に引っかからない寸法です。
     起工された1885年は、1884年にアフガニスタンを巡って英露が戦争寸前にまでなった翌年ですから、そのあたりと関連していると見ているんですが。ちなみに日本は眼中にありません。1885年の日本海軍は、まだまるっきりのローカル戦力です。

    >戦艦は巡洋艦よりでかい
     巡洋艦という語に大きな誤解があるので、これだけは気をつけてください。これは本来、戦艦>巡洋艦>駆逐艦などという図式にあてはまるものではないのです。
     仮装巡洋艦はあっても、仮装駆逐艦や仮装戦艦はありません。(唇の端がヒクヒク動く人もいるでしょうが、ちゃかしちゃだめよ)

     根本には、巡航できるフネと、それに適さないフネがあっただけなんです。20世紀に入ってからは、たいていのフネが巡航できるようになっちゃっているので、意味が変わってしまったのですよ。
    志郎

  9. 志郎さま、便乗質問にお答えいただきありがとうございます。結局ここらへんが最初の御回答に関わってくるわけですね。
    「超強力皇室ヨット」このキャッチコピー大変気に入りました(笑)

    う〜ん、後段のお言葉は全くもって耳が痛いです。しかし今回自分でもあらためて調べて納得がいきました。今後ともよろしくお願いいたします。

    しまった!これ、全くの私信だ!すみません、ニコライI世と共に標的艦になってきます・・・

    戦艦乞食


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