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1679 英戦艦「オライオン級」の解説で「背負い式の問題により艦尾艦首方向に発射できる砲は各2門であった」というものをみたのですが、具体的にいったいどういう問題なのでしょうか?またこの解決策とはどのようなものなのでしょうか?抽象的な質問で恐縮ですが、御教授願います。
見習い4等兵

  1. 背負い式の場合、上部に位置する砲塔からの砲撃の爆風が
    下の砲塔に与える影響が結構無視できません。
    勝井

  2. 前ド級艦からリナウン級巡戦までの英主力艦の写真を見ると、必ず砲塔の前のほうに3つぴょこぴょこと突き出している構造物があるのがわかると思います。
    これは砲塔観測所で、各砲塔からの直接照準で発射するときに、砲塔長が照準をつけるのに使います。
    ちなみに左右のものは予備で、中央のものが正観測所。

    さて、ここに配員しているときに上部の砲が発砲すると、当時の観測所はよく見えるように前が吹き抜けだったために、強烈な爆風とともに発砲炎と発射煙が回りこんで吹き込んできます。自分の砲塔だけなら爆風の衝撃に耐えればいいのですが・・・
    ということは、砲塔長の命が危ないわけです(笑
    ここからの照準が全てだった時代は、艦の動揺に合わせて、発砲の瞬間まで照準を保続しなければならないので蓋をするわけにもいきません。

    この問題はオライオン級で初めて起きたわけではなく、セント・ヴィンセント級の後部4番5番砲塔で既に経験されているものでしたが、英海軍としては、単縦陣で敵艦隊に対してT字からの同航または反航で戦うつもりでしたから、艦首尾方向への火力が軽減されるとしても、背負式砲塔の持つ全長短縮効果(同じ火力なら防御範囲は小さくなり、同じ防御範囲ならば火力は大きくなる)の利点を採ったものと思われます。

    結局のところ、第一次大戦直前に英海軍は方位盤射撃を採用し、各砲塔の個別照準から射撃指揮所からの一元照準になり、砲戦中は砲塔観測所に砲塔長をつけず、蓋をしてしまうようになります。
    被弾や故障などで指揮所とのリンクが切れるような事態になれば砲塔各個照準となり、この場合は相変わらず艦首尾方向の火力が減退することになりかねませんが、先にも書いたように、優速の敵をひたすら追撃するような場面でもない限り、英艦隊はできるだけ多くの火力を発揮するために、角度をもって敵艦隊に対するように運動するはずです。

    また、フッドでは観測所の位置が砲塔前盾に下がり、ネルソン級以降の艦ではこの役目は砲塔測距儀が兼ねるようになりますから、この種制限は一切なくなっています。

    まなかじ

  3. 自己れす。
    いや、ネルソン級の3番砲塔には後方象限への射界制限がありましたね・・・

    まなかじ


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