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1768  なぜワシントン条約において、他の補助艦艇を差し置いて、生まれたばかりの空母の保有量が規制されたのでしょうか。
 空母を改装して戦艦にしてしまう事を恐れたためかと思いましたが、裏づけになる資料を見た事がありません。
 ご存知の方がいらしゃいましたら、ご教示願います。
中村

  1. 1921年の時点でまともな「空母」を複数保有、もしくは建造中であったのは英国だけであったのが大きいのではないでしょうか?

    当時、英国が保有・建造中の空母だけで6〜7万トン。これに改装を考慮すると13万トン程度になる、と(英国が)判断したのだとも思えます。
    tackow

  2. 航空母艦についてその後の空母全盛時代と同じようにその能力が評価されていた為でしょう。この時期は実艦の建造はともかく構想上はもはや黎明期ではありません。
    この頃既に戦艦を撃破できるものとして洋上航空戦力は評価されているのです。
    BUN

  3.  というより、用語の定義の問題ではないでしょうか? ワシントン条約で保有量制限の妥協がまとまったのは排水量一万トン以上の軍艦で、その中に「航空母艦」と「主力艦」(戦艦ではありません)の二種類があると見るべきでは。現に超大型の巡洋艦(すなわち巡洋戦艦)は主力艦の枠内で制限されています。
     そして、一万トン以下の空母は制限外です。
    井中かえる

  4. 後発国の日本でさえ龍飛=鳳翔以降は大型の翔鶴建造計画があり、米英とも既に条約以前の段階で航空母艦は1万トン以上の排水量が常識となっていますので、1万トン以下の空母に空母としての機能は認め難いのではないでしょうか。また、こと軍縮条約に関して巡洋戦艦は巡洋艦であるというのは些か微細に過ぎるのではと思います。主力艦を規制するのであれば野放しにはできない存在として航空母艦の位置は他の大型補助艦とは一際異なるのだと思いますが、如何でしょうか。
    回答になっていない点は御容赦。これから勉強します。
    BUN

  5. そして何より、”空母”という名目の”巡洋艦”を警戒したのでしょう。実際、その後の空母「蒼龍」の原案の中にも、アメリカが空母に15.5cm砲を山ほど乗せたものに対応したものもありましたし。もし空母に制限を設けなければ、3〜4万トン基準排水量で、15cm砲4連装x6基と航空機若干といったような”お化け”が出てくる可能性があったからでしょう。それこそ、これなんぞ”戦艦より圧倒的に高速で、防御も十分。しかも重巡などを軽く凌駕する砲撃力。”といった、”軍縮の本意”に反する建艦競争の原因になりかねないと、考えたのでは?
    Lachesis

  6.  いろいろと仮説が成り立つようですね、大変参考になりました皆様有難うございます。 
     ところでBUN様、大型の翔鶴建造計画とありますが、これは初耳です、少し驚いています。
     八八艦隊の翔鶴は常備で一万二千トンほどの予定だったというのは読んだ事があるのですが、より大型の計画もあったのでしょうか、どうかお教えください。
    中村

  7. まともな空母計画に1万トン以下の小型は無いよ、という意味ですので、その翔鶴型のことですね。
    BUN

  8.  そういう意味ですか分かりました、有難うございます。
    中村

  9.  「航空母艦は1万トン以上の排水量が常識」と、回答2でBUNさんが述べられているように、(そして「巡洋戦艦は巡洋艦であるというのは些か微細に過ぎ」るというならば)この当時1万トン超の軍艦というのは航空母艦と戦艦しかなかった、ということになります。その意味でこの二者は他の巡洋艦・駆逐艦・潜水艦といった補助艦艇と一線を画していることになります。そしてこの線が威力(5でLachesis
    さんが述べられた案は確かにいやなものでしょう)・建造予算といった点で国家の戦略にも関わるようなフネか否か、というものとして捉えられたのでは。
     では、何故1万トン以上は一括ではないのか、と質問されたら困るのですが。答えはいくつか思いつきますが、裏づけは見つけていません。
     ところで、「他の大型補助艦」とは何を指されたものでしょう。これこそ定義なのですが、主力艦とは排水量1万トン超で航空母艦以外のもの、なのです。
    井中かえる

  10. 井中さん、そもそも5のような艦が条約下で建造できるのでしょうか。
    BUN

  11. >10
     制限しないで放っておくと5のようなフネを造られかねないからこそ、ワシントン条約で空母の武装制限が設けられたのでは?
    井中かえる

  12. 条約前の母艦建造計画にそのような艦はありませんし、条約下では建造できないのですから想定する意味も無いと思います。
    BUN

  13.  条約前と条約下の間に一つ段階が抜けています。条約の条文を検討する段階です。その段階で「航空母艦」を規制する条文を設けなかったらまずいことになると判断されたのでしょう。
    井中かえる

  14. 条文検討段階にそのような艦が想定されているならば多少の意味はありますが、想定もされていない以上、余りにも理屈で考え過ぎなのではありませんか。
    BUN

  15. そもそも、軍縮条約の建前自身が、”もう戦艦作るのやめよ〜よ”でしたので、それに代わる1万トン超級の軍艦の存在自体、軍縮の考えに反していたと思われます。”今有るものはしょうがないが、これ以上つくるのやめよ〜よ”ということであり、当初、1万トン以下の”補助”艦艇に艦数の制限がなかったのも、”どうせ戦艦にかなうものなんぞ作れないだろう”といった、考えからであり、それに反して、1万トン以上の軍艦である”空母”は、当然制限対象となったのでしょう。そもそも、イギリスの初期の空母の中をかんがえればわかるでしょうが、18インチ搭載の空母もありましたよね?あとは、各国の駆け引きで、保有量バランスは決められましたが、まずはお互い、無制限に軍艦を作りつづけると、また世界大戦(WW-Iね^^;当時は、これを最終戦争にしたかったし、ヨーロッパでは、もう二度と戦争はごめんだという”無制限反戦主義”が広く蔓延しておりました)が始まりかねないといった恐怖もあったため、各国のバランスを取り、戦争の起きにくい状態を作ることに腐心したわけです。当然、各艦艇には、それぞれ禁止条項が色々付帯しており、条約違反をしないと、艦種の変更を含む”大改装”はできないようになっていました。(近代化に伴う”小改装”はOK.ただし、色々条件がある。)
    この中の”空母”の条項は、比較的自由度は高かったものの、20cm砲以下、門数にも当然制限もあり、と、厳しい砲撃力の制限が加えられていたのはご存知の通りでしょう。
    補助艦艇の制限については、当時まだ、”重巡(甲巡)”に該当する軍艦はほとんどおらず、軽巡(装甲巡洋艦や、防護巡洋艦に対してのモノといて)の中に一部19cmや20cm搭載のものがちらほら出てきた程度、それも15cmが標準(?)であった当時の軽巡を凌駕せんと出現したわけであり、項目としては重巡というものを作ったが、どんなものが出来るかはお楽しみ、状態でありました。したがって、次の軍縮会議で補助艦艇の保有制限について、考えましょうとして、ワシントン軍縮会議は終了しました。

    よって、なぜワシントン条約において、他の補助艦艇を差し置いて、生まれたばかりの空母の保有量が規制されたのでしょうか?の答えは、
    そもそも、ワシントン軍縮条約会議で、議題として補助艦艇の保有量について話し合われていない。今回は、1万トンを越える艦船について、その保有量を決定したに過ぎない。
    となるのでは?

    (長文失礼)
    Lachesis

  16. ↑議題として補助艦艇の保有量について話し合われていない
    ではないですね^^;議題にでてました。
    しかし、次回持ち越しとなりました
    が正解です^^;;
    Lachesis

  17.  ワシントン条約で、10,000トン以上の軍艦を規制したのは、巡洋艦の肥大化を抑える意味もあります。
    当時の米英の偵察巡洋艦に関する研究では、8in砲装備で十分な砲撃力・防御力・航続力を
    兼ね備えた艦は15,000トン以上の排水量が必要という計算が出ており、このため装甲巡洋艦の
    代艦かつ準主力艦としての巡洋艦整備を抑える目的もあって10,000トン以下という排水量制限が
    検討されたようです。

     その後の1920年代の造機技術の進化により、条約型巡洋艦が建造され別の建艦競争が起きたのは、
    ワシントン条約規定時では想定できなかった誤算、という面もあったのです。
    大塚好古


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