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1947 亜細亜太平洋戦争当時、空母は直掩機を出して上空を護衛させていましたが、現在はどうなのでしょうか?敵航空機襲来の危険があれば直掩機を出すのでしょうか?
空母野郎

  1. 米海軍の場合ですと、空母から数百キロ離れたエリアに CAP と呼ばれる空中哨戒を常時かけています。脅威があればすぐに増援機が送られ、さらにそれを突破されてイージス艦のスタンダードミサイルによる迎撃、さらに切り込まれてからは他艦のシースパローによる迎撃、そして最終的には個艦防空の CIWS となります。
    空母上空を艦載機がガードすることはないです。そんなことをしていたらかえって危険ですから。
    tac

  2. 現在の米海軍では、空母機動艦隊の航空機による防御は三層より構成されています。
    もっとも外側に位置するのがBARCAP(阻止戦闘空中哨戒)で、空母より脅威の存在する方向925q進出し、自機のレーダーによって脅威を捜索します。
    その内側にCAP(戦闘空中哨戒)が存在し、約280qの地点で2機ペアになり「ホット・コールド(2機が180度反対の方向を向いて旋回し、常にどちらかの機が脅威方向を向いている)」と呼ばれる周回パターンを描き、空中給油機の支援を受けながら2時間滞空することになります。
    一番内側を防御するのがDLI(甲板発進迎撃)で、その対応距離は空母より248q以内となります。

    敵機来襲の危険性があれば、CAPを増やすのが本筋ですが、空中給油機の数がたかが知れていれるので、そうそう増やすわけにもいきません。
    結果、現実にはDLIを増強することになります。
    Sparrow

  3. なるほど。そんな風になっていたのですか。ところで空母上空を艦載機が護衛するのはどうしてかえって危険になるのですか?ド素人なもので・・・。あと航空基地の場合についてはどうなのでしょうか?
    空母野郎

  4. 現在では対艦ミサイルという便利な物があるわけですから、攻撃側は別に空母の真上まで侵入する必要はないわけです。
    逆にいえば、防御側は可能なかぎり早い時点で敵の情報を掴み、敵が母艦を攻撃圏内に入れる前に撃退する必要があります。
    1.2で述べられていることはそういうことです。

    >ところで空母上空を艦載機が護衛するのはどうしてかえって危険になるのですか?

    「上空」という言葉の示す範囲にもよりますが、仮に母艦の真上に護衛機を配置したとしましょう。ではこの機の役割は?。
    先に記したとおり、現在空母を攻撃するのに空母直上に侵入する必要はありません。「なにがなんでも母艦の上にいろ」という命令が与えられているならば、この機は敵の対艦ミサイルが母艦に命中するまで見ているほかありませんし、「発見した(あるいは迎撃誘導を受けて)敵機を撃退せよ」という命令ならば、なにも母艦直上に留まる必要はなく、もっと敵の来そうなところで滞空していればいい、ということでしょう。
    通りすがり

  5.  防空戦の場合、空母上空と言うか艦隊上空は射撃自由エリアになり、味方機がそのエリアにとどまるのは、味方の対空射撃の邪魔になるばかりか、誤射の危険を伴ないます、よってより迎撃に適した位置に待機する事になります。
     それに、敵をより艦隊から遠い所で迎撃した方が味方の対処時間が稼げます、そう考えると、艦隊直上で迎撃するメリットはほとんどないと言う事がわかります。
    ooi

  6. 射程内の目標を自動的に攻撃するCIWSなんてものもありますしね。

    SAW

  7. …というのが現代航空戦の正道なのですが、何が起こるかわからないのが実戦の怖いところ。フォークランド紛争で虎の子エグゾゼ・ミサイルを撃ち尽くしたアルゼンチン軍は爆装した A-4 スカイホークを超低空侵入させる前時代的攻撃を英艦隊に対して敢行し、これを防ぐべくサイドワインダーを装備したシーハリアーが飛び立ち艦隊の上空で空中戦が行われるという事態が起きたこともあります。
    ささき

  8. ……そういえばそうだった(汗)。
    ささきさん、フォローありがとうございます(平伏)
    通りすがり

  9. 空自も近年、対艦誘導爆弾を装備していますよね。
    費用対効果や対電子妨害能力という点から、昔ながらの近接航空爆撃は健在なのでしょうか。

    時期的なものから考えて、フォークランド紛争での戦訓が空自に誘導爆弾を開発させたような気もするのですが…。
    Revi

  10.  まあ、このときイギリスには早期警戒機がありませんでしたからこんな事態が発生したのではありますが(^_^;) もしあれば、さっさと迎撃機を増強してもっと手前で阻止しています。アルゼンチン軍機は燃料の関係から、まともな戦闘機動が取れない状況でしたから、早期迎撃されていればひどいことになっていたでしょう。

     その意味ではフォークランド紛争の戦訓は、「早期警戒の重要性」ということになるのでは。空自が E-2C を米国で受領(82年5月。日本到着は翌年二月)と同時に起こっているのが、奇妙な符合という気もします。
    tac

  11. >7,9&10
     フォークランドは、実戦で空対艦ミサイルが初めて使われた戦いでもあったんですから、対艦ミサイル以外の手段は爆撃しかないのでは?
     戦闘機の機銃掃射までやった湾岸戦争は、では、もっと前時代的ですかね?(湾岸では爆撃もやってますな)

     5月末からの一連のアルゼンチン軍の空襲は酷い時には、十波を越えたそうで、ハリアーの数と滞空時間を考えれば、数量と回数による飽和によって破綻を来たしたのではないかと想像されます。
     忘れがちですが、燃料問題は英軍にもあったのです。ハリアーの貧弱な滞空時間は一回の空戦では問題が無くても、CAPを効率的に行うには足りなかったとも言えます。長距離警戒はヘリやピケットでも多少は成立していました。アルゼンチン軍機の燃料問題から襲撃方向もそれなりに限定されます。それでも艦隊上空での空中戦が頻繁になったのは、ハリアーの数が無く、滞空時間が無かったという側面も無視出来ないと考えます(中射程ミサイルを持たないというのも大きいか)
     そして手前で迎撃してたら往復数百キロの分を諦めた護衛戦闘機の果敢な戦闘機動も考えなくてはいけなくなります。
     ちなみに、スカイホークの低空侵入による対艦攻撃のピークは5月21〜28あたり、まだ、ミサイル残ってました。
     最後のエグゾセが発射されたのは5/30です。

     ちなみに2
     アルゼンチン軍の空戦被害は20〜30機、損失全体の2〜3割程度です。艦艇の対空火器も20〜30機、陸軍部隊の対空火器・ミサイルも20〜30機の戦果を報告しています。(何処までが正確なのかは判りませんが)

     フォークランドの戦訓は早期警戒も含めた迎撃戦闘管制の効率化に尽きると考えます。ハードウェアではなく、如何に効率的に対空戦闘を処理していくかというところに最終的にはたどり着くのではないでしょうか。

    SUDO

  12. >如何に効率的に対空戦闘を処理していくかというところに最終的にはたどり着く>のではないでしょうか。

    「米空母機動部隊の強みは、艦隊内の軍艦や航空機があたかも単一の戦闘機械のように行動できる点にある。」そうです。

    米空母で対潜部隊を運用したことがある(ただし演習時の話のようですが)元一等海佐談

    なんでもイージス艦の艦長が戦闘機の運用を含む防空戦闘を指揮できるレベルにあるとか。(記憶カキコ)

    実戦では何が起こるか判りませんが、艦隊全体(航空機含む)が強固に連携することにより、「現代航空戦の正道」に持ち込み、フォークランドのような事態は避けようと意図しているのかも知れません。
    フォークランドでも被害を受けたのはレーダピケットや揚陸任務艦で、空母までは到達できなかったようですし。
    SAW


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