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2030 大変素人な質問で申し訳ないですが、日本が某共和国と戦闘状態になり某共和国に陸自機甲部隊を上陸させようとしたとき(こんなことは架空戦記ではないのだから有り得ないでしょうが)、現在の輸送艦では足りないので、フェリーや自動車運搬船のような民間の船を使って上陸作戦を行うことは出来るでしょうか(空中給油機が導入されれば制海制空権は文句なしに取れると思うので港湾施設を空挺部隊等で確保したとして)?
法律的な問題は抜きにして、フェリーや自動車運搬船で戦車等が運べるのか?能力的なことが知りたいです。

ぱお

  1.  戦車等各種車両の輸送は出来ますが、上陸作戦が出来るかと言うと難しいと言わざるをえません。

     某共和国がどの共和国かは知りませんが、ロシア共和国だろうがどこだろうが民間の船舶を利用する場合何らかの港湾施設を利用して車両の荷役をせざるをえず、その様な設備が敵地への上陸を伴なう第一波の作戦で利用出来る事は殆ど無いのです、第2波以降の増援作戦には有効でしょうが。

     まあ、前提においての港湾施設を確保出来るかってーのかなり厳しいでしょうし、机上の空論にしても前提条件がどうか(確保しているとはいえ、敵地に民間船舶を突っ込ませるような作戦を今の自衛隊が取れるのか)とも思いますが、陸上自衛隊は以前から民間船舶を用いた輸送演習も行なっていますので、まったく出来ないとは言いませんが、出来るかどうかってのはまた別問題です。

     で、真面目な話、フェリー等の貨物船で戦車が運べないなんて何で思ったんですか?RORO船やらコンテナー船やらを米軍が買い上げて輸送船舶として使用して居るのはいろいろ書物を読めばわかりますが。
    ooi

  2. フェリー、自動車運搬船についてちょっと考えてみます。
    まず、フェリーは二種類に大別できると思います。
    ・瀬戸内海などの島々をつなぐ、小型のもの。
    ・九州〜首都圏〜北海道などの割と遠距離を航行するもの。
    そして自動車運搬船ですね。
    この三種類に共通していることは、どれも自動車、およびトラックの運搬用であることでしょう。そして、どれも、運搬する物の一台あたりの重量が、大して重くないことが考えられます。具体的な数字は手元にないのですが、おそらくせいぜい30〜40t以内なのではないでしょうか?(ちなみに、国内でもっとも大きなトラックで、本体重量25t、積載重量15t(日野-スーパードルフィン))
    すると、船に乗り込ませるためのランプの強度も、おそらくそれに準じたものでしょう。
    それに対し、90式戦車は、約50t、74式戦車でも約38tとされています。
    もちろん、ランプの幅や、乗り込み口の大きさなど、個々の船についての条件もあるでしょうが、そもそも重量がかなりある戦車を、安全にフェリーや自動車運搬船に積み込むためには、ランプの許容重量がもつかどうか。少々疑問です。むろん、船によっては可能でしょう。積んでしまえば、50t程度の重量なんぞ、船の積載可能重量に比べれば屁みたいなものですから。
    しかしながら、今回の条件には海外派兵という条件もついているようですので、戦車まで運べ、東シナ海を渡れる民間運搬船を、何隻確保できるかは、どうでしょうか?それにより、いったい何台の戦車を運ぶことが出来るかについては、未知ですね。
    私としては、戦車以外の車両(普通化連隊の装備)は十分可能だが、戦車および自走砲(どちらも、40〜50t)等については、可能な船舶の確保に疑問ありと考えます。
    Lachesis

  3. 補足^^;
    それに、戦車を確実に運ぶのであれば、自動車運搬船を利用する必要はなく、50t以上のクレーンを擁する港と、コンテナ船等、上から積める船があればOKなのでは?(ooi様と同意見です)
    Lachesis

  4. ooi様、Lachesis様 ご回答ありがとうございます。

    >で、真面目な話、フェリー等の貨物船で戦車が運べないなんて何で思ったんですか?RORO船やらコンテナー船やらを米軍が買い上げて輸送船舶として使用して居るのはいろいろ書物を読めばわかりますが。

    いや〜、資料を読めば分かるって言われるのが、怖くて素人な質問って断りをいれてみたのですけど・・・・。
    単純にフェリーや自動車運搬船で体積当たりの重量が重い戦車なんかが運べるかな?って疑問から質問したまでです。
    下らない質問だとご立腹されたらすみません。

    ぱお

  5.  今の海自には90式戦車10両を自前で輸送・揚陸する能力(『おおすみ』型輸送艦)がありますので、わざわざ民間船舶を調達して揚陸作戦を行う必要性は高くないといえるのでは。
     ただ、『おおすみ』型の揚陸手段であるLCACは1隻につき90式戦車1両しか積めず、何より『おおすみ』型自体の頭数が揃っていない(現在就役しているのは『おおすみ』『しもきた』の2隻で、現在『くにさき』が公試中)ので、現状では大規模な機甲部隊を海自の揚陸能力だけで一度に動かすのは無理でしょう。
    ブラック・タロン

  6.  戦車とかの輸送について 最近の書物では、Jウイング2002年5月号(No.45)58〜61ページに書かれています。参考になります。北方機動演習なんか むしろ民間RORO船が主役なのですよ。
    にわとり

  7. 1)揚陸艦の任務
    戦車などの重い物資を、いわゆる「敵前上陸」させるためには、「おおすみ」などの専用の強襲揚陸艦が必要であることは当然ですが、これは別にノルマンディーみたいに敵の砲火にさらされながら補給するだけではありません。適当な港湾施設や飛行場が利用できなかった場合には、ビーチングの能力を持つ輸送艦が大活躍するしかありません。例えば、阪神大震災直後の神戸港では、岸壁は崩れてクレーンも使えず、民間の船舶で補給物資を荷揚げするはとても困難でした。神戸震災メモリアルパークを訪れると、海上自衛隊が優秀な輸送艦を持っていることに、あらためて心強くなります:
    http://www.kobe-meriken.or.jp/maritime-museum/
    お題の朝鮮半島有事の際には、相手側が支配する海岸に「敵前上陸」をすることなどあり得ませんが、国連軍が支配している地域の港湾施設が十分に稼働していない場合には、海自の輸送艦たちが、後方支援に大活躍をするはずです。

    2)民間船舶と戦車輸送
    以前、民間の貨物船の多くは「バラ積み船」で、強力なクレーン類も多数装備していましたので、特に港湾施設に頼らなくても、簡単に戦車を輸送することができました。

    その後、RORO船が広まることにより、港湾施設さえととのっていれば、従来の貨物船よりもはるかに能率よく、戦車を含めた機甲部隊ごと迅速に展開できるようになったことは、先の湾岸戦争で証明されたとおりです。しかしながら、ご指摘のとおり普通の民間のRORO船は、戦車などに耐えられる必要はありませんので、アメリカ国防総省は、自国のRORO船の建造にあたってランプや甲板が戦車にも耐えられるようにする余分な費用を船会社に補助していました。日本ではどのように補助金が出ているのか存じませんが、最近のRORO船も90式戦車を輸送できることをウリにしているようです:
    http://www42.tok2.com/home/fleet7/Info/Info021.html

    しかしながら、最近は米国(たぶん日本も)の海運会社も国際競争力が低下して、米国籍の船舶数が急速に減少したことに加えて、海運費用を下げるために、世界中の民間船は大型のコンテナ船になってしまいました。コンテナ船自体にはクレーンもありませんので、高度に整備された港湾施設が不可欠です。自衛隊の機動演習で民間のRORO船も活用されていますが、90式より重い外国の戦車まで運べるRORO船は、例外的な民間船舶といえるでしょう。

    3)機甲部隊の海外展開方法
    日本も同じことだと思いますが、戦車を含む機甲部隊の重装備を海外に迅速に展開する方法は3つしかありません。急を聞いてから大量のC-5やC-17などの大型輸送機で空輸するか、きな臭い地域にあらかじめ重装備を運んでおいて備蓄しておくか、海上事前集積船に載せておいて目的地に急送したり緊急予備部隊:
    http://www.marad.dot.gov/Offices/Ship/PRESS-GM2.htm
    所属の大型RORO船で基地から運ぶかのどれかです。

    200両以上の戦車を含む1個重装甲騎兵連隊を、米国本土からペルシャ湾に展開するには、2隻の大型RORO船で24日かけて運ぶか、72機のC-17で24日かけて空輸するかだそうです:
    http://www.cbo.gov/showdoc.cfm?index=11&sequence=0&from=0

    4)将来の展望
    上記の3方式のどれが好ましいかに関しては、色々と議論があるようです。しかしながら、これから将来は、個々の船に何が積めるかなどとの各論を問題にするより、統合軍がどのようにネットワークとして海外に展開できるかが問題となっているそうです。私には全く難解ですが「Sea Basing: What's New?」:
    http://www.usni.org/Proceedings/Articles02/PROcorbett11.htm?login=yes
    などとの論文がありました。
    GST

  8. 民間RORO船の取り扱い貨物は戦車以上に重いことが多いです。
    内航航路の長距離フェリー・大型RORO船全て、外航航路の自動車運搬船の2/3近くは
    何ら改造無しに戦車を積載可能とお考え下さい。

    日本郵船の自動車運搬船のリストです。ランプ許容重量に着目。
    http://www2.nykline.com/nykinfo/car_carrier_services/fleet_list/index.html
    国際航路で大量にある自動車運搬船には、40ftコンテナに積めないオーバーサイズ貨物は上得意客。
    建設機械や輸送機械の大物は戦車以上に重いのです。

    また、フェリーや貨物用RORO船の標準的な積載車両も44tを越えます。
    例えば、上記の川崎近海汽船・栗林商船のRORO船の通常の積載車両は、
    1.トレーラー28t+ヘッド6t=34t。
    2.40ftコンテナ30.5t+トレーラー4.5t+ヘッド9t=44t。
    50tのランプ許容重量は2.を想定し余裕を与えたもの。

    欧州の貨物用RORO船で標準的に使われる40ftコンテナの2段積みトレーラーだと、
    コンテナ2個+トレーラー+ヘッドの総重量は70t程度。
    20ftコンテナをフォークリフト荷役するとコンテナ24t+フォークリフト33t=57t。
    街中をたまに走る3軸ヘッド+3軸重量物輸送用トレーラーは総重量56tです。
    民間輸送の観点から考えると戦車は実は大して重くないんです。

    AI

  9. >4
    >いや〜、資料を読めば分かるって言われるのが、怖くて素人な質問って断りをいれてみたのですけど・・・・。
    >単純にフェリーや自動車運搬船で体積当たりの重量が重い戦車なんかが運べるかな?って疑問から質問したまでです。
    >下らない質問だとご立腹されたらすみません。

     ああ、立腹はしてません、ただ、本屋や図書館に頼る手間暇を忘れないで欲しいだけです、高々2時間程度でも多くの事がわかりますし、調べる為の方法を覚える事は決して無駄にはなりません、ウエブならば簡単に質問は返って来るでしょうが、貴方の身になる訳ではないってだけです。

    >追記
     民間船舶を使った輸送の実例やらなんやらについては諸氏の解説をお読み頂くとして、正直な所を言ってしまいますと、海上自衛隊の揚陸艦艇だけでは強襲揚陸作戦を行なう能力が低いと言わざるをえません、元々強襲揚陸作戦を想定しての艦艇整備では無いので、比較的大型とは言え航空機運用能力の低い揚陸艦3隻では、脅威度の高い上陸正面への立体的な揚陸作戦を行う事は難しいのでは無いかと、まあ、これは私の私見ですが。
     で、じゃあ、その程度の能力しかない揚陸艦艇なんか要らないじゃん、などと短絡的に考えるなかれ、有事に民間の能力を削ぐ事無くある程度の兵力を機動させることの出来る能力ってのは有事でも平時でも貴重な能力なんですよ。
    ooi


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