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2295 「むらさめ」型に2基搭載されているFCS-2-31は、「あさぎり」型などのFCS-2-12と違ってディッシュ状の追尾レーダーのみで、下に板状の捜索(警戒)レーダーがついていないように見えます(FCS-2-12は通常レドームに入っていて外から見えませんが)。
これは新型のFCS-2-31は一枚のディッシュで捜索・追尾レーダーを兼ねる一種の多機能レーダーになっているということなのでしょうか?
レーダーやFCSに関しては防秘のためかあまり詳しい資料が見当たりません。なにかよい本かサイトなどありましたら教えて下さい。
たいばーん・へるみ

  1. 元射撃管制員として少々ご説明します。

    まず資料としては、海人社の世界の艦船に何度か載っています。
    (最近では2003.2月号NO.607に特集で)
    サイトの方はすみませんが調べてません。

    それと、FCS-2型系列に限らず通常の大砲管制用のタイプは
    追尾レーダーのみです。

    ご指摘のFCS-2-12は元々短SAMシースパローの管制を主として開発されています。
    その為、少々多目的用に近い高度な作りになっています。

    その上、普段の目標捜索は、私が現役だった10数年前でさえ
    マスト上の対空捜索レーダーからデータ移管を受け追尾しておりました。
    (おそらく現在もそれほどは変わっていないと思います。)
    追尾レーダーとはいえ、捜索が出来ない訳ではないのですが、
    何分使用目的の関係上、捜索には不向きです。
    (目の周りを焦点範囲に絞る様な形で全周囲を見渡すのと同じで大変見難いです)
    以前のFCS1型なら方位盤(追尾レーダー部)に人が乗れたので、捜索も問題なかったのですが、様々な問題上(リアクションタイム等)現在は無人になっている為、
    上記の対空捜索レーダーからのデータ移管だけになっていると思われます。
    (他艦等からのデータリンクがどうなっているかは、誠に申し訳ないのですが
    存じません。)
    この様にFCS2型までは、目標追尾が専門のレーダーです。

    次のFCS3型ではアクティブ・フェイズドアレイ方式の本格的多機能レーダー
    だそうなので(世界の艦船2003.2月号NO.607記載)、むらさめ型等に搭載されている
    FCS-2-31は、やはり追尾専用だと思います。

    ただFCS-2-12タイプでも確か機能限定版が有った様な…

    いずれにせよ、FCS3型完成までの繋ぎとして取り敢えず載せている気がします。
    しゃあ・アズナブル

  2. こんごう型に搭載されているFCS2はGFCS能力限定だったと思います。
    すすむ

  3. しゃあ・アズナブルさん、すすむさん、ありがとうございます。
    投稿した後、自分でも調べてみたところ、昔の「軍事研究」(1997.11月号)で「海上自衛隊FCS発達史」という記事を見つけました。
    それによると FCS-2-12の開発において「従来の大型捜索レーダーでは発見困難な、低空を高速飛来する小型目標を早期に探知し、追尾レーダーに目標移管しようとする意図」でレーダー方位盤に捜索(警戒)レーダーを取り付けたとのことです。
    ただ「むらさめ」の-31タイプになって捜索(警戒)レーダーが消えたのは、マスト上のOPS-24捜索レーダーの性能が高くなったので必要なくなったのか、それともやはりディッシュ・アンテナに統合されたのか?ということは判りませんでした。
    しゃあさんの書き込みによれば-31も追尾専用とのことなのでおそらく前者なのだと思いますが。
    ついでに-31になってレドームで覆われなくなったのは何か関係あるのでしょうか?
    たいばーん・へるみ

  4.  あんまり関係は無いはずなんですが、FCS―2―31の最新モデル(だった
    と思う)は砲射撃時の光学照準の為のカメラが横についてますんでレドームで覆
    わない様になっているのではないかと推定されます。
    ooi

  5. FCS-2-12では警戒レーダーのTWSモードで3目標の追尾が可能ですが、シースパローも管制する追尾レーダーでは同時に2目標のみ追尾が可能です。

    しかしFCS-2-31では追尾レーダー部がAPAR(アクティブ・フェイズド・アレイ・レーダー)に換わり、補足・追尾可能目標が4目標以上になったそうですので、OPS-24による対空捜索能力向上と合わせて警戒レーダーは不必要になったのではないかと・・・。

    >-31になってレドームで覆われなくなったのは何か関係あるのでしょうか?

    -31のベースになったと思われるFCS-2-21系列はレドームを必要としてません。
    追尾レーダーをAPAR化することで警戒レーダーが不要になった為、光学照準器を装備できるFCS-2-21をベースとして採用したのではないかなと思います。
    ガンヘッド507

  6. >FCS-2-21をベースとして

    FCS-2-21系(多分-23)をベースとして-31を造ったのではないか?と私なりに思った次第だけですのでご容赦を。
    でも、捜索機能もあるというだけで対空レーダーが沈黙でもしない限りは積極的に使用する事はないのかなと。

    最近では工作船対策から各護衛艦のFCS-2(恐らく-21系)とCIWSを連接させようという動きもあるみたいですね。
    ガンヘッド507

  7. >しかしFCS-2-31では追尾レーダー部がAPAR(アクティブ・フェイズド・アレ
    >イ・レーダー)に換わり、補足・追尾可能目標が4目標以上になったそうです

     おおっ、そうすると「むらさめ」型は2基のFCS-2-31で最大8目標以上に対処可能ということでしょうか。
     ちょっとしたミニ・イージス艦といった趣きの性能ですね。
     海自も(OPS-24ともども)もう少し宣伝すればいいのに・・・

    >FCS-2-21をベースとして

     単純に「シースパロー誘導機能がついてるから-12型の発展系だろう」と考えていましたが、型番から考えると-21系の改良型という線もありそうですね。
     ありがとうございます。
     
    たいばーん・へるみ

  8. むらさめ型のFCS-2-31の捕捉、追尾目標数4以上とありますが、それと同時対処可能目標数は本当に同じなのでしょうか?個人的には疑問があります。はるさめのパンフレットには「同時に2つの目標に対処することができる」と書いてありますし、これはこんごう型の「154目標を探知、追尾、識別できそのうち12目標に対処可能」という例と同じようにむらさめ型も「8目標以上を追尾でき、うち2目標に同時対処可能」と考えた方が良いのではないでしょうか。パンフレットが嘘を書いている可能性も否定できませんが。
    しばいぬ

  9. >8
    私も確かな情報ではございませんので、基本的にパンフレットの方が正しいとは思います。
    確かに捕捉・追尾目標数4以上=同時対処処理目標ではないと私も思うのですが、となるとFCS-2-31ひとつでは1発のスパローしか誘導できないということですか?

    FCS-2-12単体でも2目標の同時対処が可能なので、それより劣るということになりますが・・・。
    そのパンフレットに書いてあった「同時に2つの目標に対処することができる」というのは-31を2基合わせての数字なのか、-31単体での数値なのかどちらなのでしょうか?
    ガンヘッド507

  10. パンフレットにはFCS1基か2基かの明示はなされておりません。ただし「垂直式短SAM発射装置」に関しての説明ですからおそらく艦全体の能力(FCS2基)についてのことではないかと思います。
    余談ですが同型艦のいかづちのパンフレットには同時対処可能目標数が記入されていないのですね。パンフレットの体裁は同じですが説明が微妙に異なっています。

    しばいぬ

  11. 私はFCS-2-12が1基で同時2目標対処可能という点にも興味を持ちました。西側の在来型の防空システム(長射程、短射程問わず)はFCS1基につき同時対処可能目標数1であると考えていました。
    しばいぬ

  12. >11
    あるサイトに書かれていて信じてたのですが、なんか私も怪しくなってきたので81式射撃指揮装置(-12型のみ)の要綱を調べてみました。
    それによると追尾レーダーの追尾レーダーセクタ走査モードにて「指定された2方位間を自動反復」できるとあるだけで、シースパローの同時誘導ができるなんて書いてありませんでした。2方位間を自動反復できるからといって発射から直撃まで常にレーダー照射が必要なシースパローの同時誘導は無理っぽいですね。

    残念ながら-31型の要綱は公開されてませんでしたので詳細を調べるのが不可能だったのですが、興味ありますので新たに質問にだしてみます。
    ガンヘッド507


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