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2334 初めまして、錨について研究している者です。日露戦争の頃の主力艦の錨がマーチン型錨(戦艦三笠の主錨等)が多いのですが、この錨は把駐力は低くすぐ反転するため走錨しやすくかなり信頼性のない錨であるのです。しかし、当時は世界的に見てもこの錨を積んでいる艦が多く、その後も戦艦長門型の副錨として使われたりしています。安全に錨泊することを考えればこの錨はお勧めできないのですが、この錨がこれほどまで各国のの艦船に採用されたのはなぜなのでしょうか。ご存知の方がいらっしゃいましたらよろしくお願いします。
mi0693jcga

  1. 実際は錨はくさりの部分の摩擦を利用しているので、たいして気にするほどでもないのではないでしょうか?
    勝賀まさみ

  2.  把駐力の係数が多少低くても、重くすれば補えるし、反対に抜けなくなっても困る訳ですから、このタイプのアンカーが総合的な実用性として特に不都合が無かったというだけの事ではないでしょうか?

    SUDO

  3. お答えくださってありがとうございます。20世紀は錨にとって進化の爆発が起こっている時代で様々な錨が開発され、その試行錯誤の過程であの時代にマーチンが搭載されたのでしょう。その後はバルドー型やJIS型ストックレスタイプが主流となっていますし、これらも現在ではAC14やDA1に移行しつつありますし。たぶん時代の流れで積まれたんでしょう。
    mi0693jcga

  4.  ま、ご自身で結論を出された後にカキコするのも何ですが。。。
     錨関連をざっとみた感じでは、当時の関係者は、マーチン型(十山字型)錨自体に、把駐力に欠け、信頼性の無い、との印象は持っていないようですね。
    (消極的ながら実用性を認めている、積極的に否定するまでもない、って程度か?)

     また、錨の形状の変遷も、錨の効用自体よりは、運用上の観点から改正たれている感もあります。
     特に、ロープに引っかかり易い立体形状(アドミラルティー/十字型)から、上甲板に搭載し易い平面形状(ストックレス/山字型)に遷移しており、船体設計ではアンカーベットの配置に四苦八苦している事から考えれば、甲板に横置きで固縛でき、引き上げ易い錨という事が評価されているのではないでしょうか。

     また、蛇足ながら、ストックレス式錨の評価ですが、1980年当時の英国海軍では把駐力に欠けるのではと考えられていたらしく、導入には消極的で、採用は商船が先行しております。(上述の運用上の問題。揚錨作業人員の削減より)
     日本海軍でも、明治三八年前後には小型艇に採用されてはいるようですが、主力艦への導入は、「香取」「鹿島」を待つこととなります。

     総論としては、
    ・十字型錨が完成の域に達し、錨泊に関して能力的な問題が無いのに対し、突飛な形状(ストックの無い)の山字型錨へ信用を置くだけの実績に欠けていた。
     (結果として、隙間世代との評価になったものの)
    ・帆船より汽船への過渡期であり、走錨には微速航行で対処すればよく、むしろ錨作業の軽減が望まれていた。
     の2点が大きかったのではないかと愚考します。

    するうぷ

  5.  やはり当時の様々な状況からマーチンが1番良かったのでしょうか。まあ、昔の錨の性能を今と比べてもしょうがないのは確かです。ただ、1kgの模型錨を各種ひっぱり、データを取った結果、マーチンがあまりにひどかったので気になった次第です。
     ちなみにマーチンの把駐係数は3弱(JISでさえ6強)で、ほとんど潜らず、すぐに反転するという結果でした。実験室レベルでの話ではありますが、ほとんど変わらないはずです。かなり走錨していたのではないでしょうか。
    mi0693jcga

  6. >5.
    >ちなみにマーチンの把駐係数は3弱で、……かなり走錨していたのではないでしょうか。
     それはあくまで、同サイズ(同重量)での比較のお話でしょうか。
     マーチン(十山字型)錨の採用理由に、「アドミラル式(十字型)に比べ、約半分の重量で同等の性能を出し〜」と書かれていますので、船体に合わせて錨のサイズを加減している事は読み取れます。錨に把駐力が欠けるのであれば、サイズアップするだけですし、効きが良いのであれば小さく纏めるだけでしょう。
     結果から言えば、(日英の)1910年以降の新造艦艇が全て山字型(ストックレス型)錨に切り替わり、マイヤー型を主錨とする時代は、ほんの20年程度です。

     また、ご質問者は把駐力のみに着目しているようですが、「係数が低い=ストックにより錨が立ち易い=引き上げが容易」点に注目しますと、甲板補機(ウインドラス)の能力に欠ける部位・時代においては、揚錨作業の楽な錨として相応の評価を受けていたのではないかと愚考いたします。
    するうぷ


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