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310 成型炸薬弾のノイマン効果はWW1以前にすでに理論が確立されていたとききます。「ノイマン」さんが発見したの?? なぜ実用化が遅れたのでしょうか?
他の国はどうだった?日本にもあったの?欠点はあるの?
 
実用化が早まってればWW2初頭に「24口径75mm砲装備の3号戦車」とかできそう。いやいや「150mm歩兵砲装備のタイガー」ができたりして・・・・・

装甲カタツムリ

  1. ノイマン効果の発見は1920年代だと思いましたが?
    成形炸薬弾に使われているのはモンロー効果+ノイマン効果で
    モンロー効果のほうであれば1880年代の発見とされています。

    何にせよ、理論の確立から実用化に至るまでには様々な試行錯誤を必要とします。
    例えばレールガンやリニアモータの理論だってマックスウェルの時代には
    ほぼ確立していたとされていますが、リニアモータはともかくレールガンは
    未だに「実用」には至っていません。
    それを考えれば成形炸薬弾の実用化など早いほうではないでしょうか?
    他の国でもそれほど間をおかずに使用されています。
    日本のものは「タ弾」でしたっけ?(この辺りはうろ覚えです)
    欠点としては砲弾が回転すると装甲貫通力が低下してしまう点でしょうか。
    PT

  2. これは飽くまでも想像で言うんだけど、加工技術の問題は無かったのかな。
    要は高精度(でかつ薄い)の円錐金属コーンの加工技術。
    一度自前で旋盤回したり鋳造して組み立てた成型炸薬弾を作ってみれば分かるのだけど、厚いコーンを作るとコーンを
    崩壊するだけに衝撃波のエネルギが食われて金属流がマトモに発生しないわ、填薬が偏ると金属流が出来てもフラグメ
    ンテーションが起こり、小さな穴を幾つも作るだけと散々でし。
    sorya

  3. とりあえず誤解の無いように先に言うと、成型炸薬弾に爆薬を用いる理由は
    精度が悪いけど大面積の衝撃波を容易に作り出せるから。

    最近の奴に爆薬レンズを用いるのは点起爆による単なる球形波より効率良く
    液体金属流が発生するからと。
    sorya

  4.  全くの記憶ですが、モンロー効果は鉱山の掘削の時に偶然の産物として発見さ
    れた。らしいのですが?
     鉱山って、発破をかけて掘削したりもするんでさもありなん、とは思うので
    すけど・・ 御存知の方おられますか?
    tackow

  5. モンロー効果、ノイマン効果はそれぞれどう言うもんなのでしょうか?
    違いがわからないです。あと現在のheatとww2期のタ弾原理的には
    ほとんど同じと思って良いんでしょうか?
    taka

  6. 実用化が早まる、と言っても、既に三号突撃砲は初期型から成形炸薬弾を搭載していましたが。
    BUN

  7. みなさん解答ありがとうございます。
    砲弾の断面図が図鑑に載ってたんですけど、内部が円錐状になってて当たって爆発すると円錐の頂点にエネルギーが集中してそのパワーで貫通(焼き切る?)するそうです。これって虫眼鏡の原理と同じですよねぇ。(これでいいのかな?)
    ところで「ノイマン効果」「モンロー効果」「ホローチャージ弾」「タ弾」とかいろいろ名称ありますな。

    もし実用化されなかったら対戦車ミサイルもバズーカも意味をなさなかったんだろうな・・・・
    装甲カタツムリ

  8. あっしの持ち本によるとモンロー効果ってのは、金属板をかませた爆薬を点火す
    ると、液体金属流が発生する現象のことらしいぞ。
    @Fundamental of Shaped Charge Chapter 1 より。
    sorya

  9. >>装甲カタツムリ氏
    もしかしたらHEATの原理を誤解しているかもしれないので、昔某所に遊びで作っ
    たサンプルをひとつ。
    http://208.55.130.87/newebpgs/slidesho/jeteul.gif
    これみたらわかるけど、間違っても爆薬のガスが穴をあけるのでわないぞと。
    sorya

  10. >9
    おお、すげぇ。いいもん拝ませてもらいました。ありがたや。
    まぐまぐマグロ

  11. 9>
    ホント、いいもの見せてもらいました。ミリタリー本の図説なんかより遥かにわかりやすい。

    私の知識はミリタリー本の受け売りなので間違っている可能性がありますが、
    ・モンロー効果
    炸薬の中央部を凹型にした状態で点火すると、エネルギーが凹型の中央部に集中する。
    ・ノイマン効果
    モンロー効果において、凹型を薄い金属の内張りを用いた漏斗型にすると金属噴流によって
    中央部の目標に深い穿孔がうがたれる。

    と把握してます。
    ノイマン効果はほぼ間違いないと思うんですが、モンロー効果のほうが
    ・炸薬を凹型にすることでエネルギーが中央部に集中すること
    ・凹型の大きさには効果を最大に発揮するための最適値があること
    ・それを目標の表面で爆発させることでエネルギーが集中して叩きつけられること
    ・金属の内張りをすることで金属噴流を発して目標に深く食い込むこと
    このうちのどこまでがモンロー効果なのかよくわかりません。
    (最後のケースだとノイマン効果は漏斗型という点だけが新しい発見になってしまう)

    少なくとも地下鉄の風でスカートがめくれあがって云々という話じゃないことだけは確かです。
    PT

  12. ワシ等の世界でわ、ノイマン効果って言葉はまず使わないよ。
    海外のコンファですら。ちなみにドイツ人も使わない(笑)
    まあ、今更その説明に何の必然性が…ってとこがホントだろうけど。

    ときどきあっても、「HEATはモンロー効果によって生成した、液体金属流が…」
    ってな説明が圧倒的。ってゆか、それしかない。

    学術的な部分では少なくともね。(Int. Ballistic Symp.とか、Aero-ballistic Range Assoc.とか枚挙にいとまが無い)
    あ。そういや来年のARAは日本がホスト国。
    後はInt. Symp. of Impact Eng.も来年は日本がホスト国。
    前者は事前登録したメンバーオンリーだけど、後者は一部以外は誰でも参加可能だね。
    この前CFP来てた(笑)前者は面白いので一回観に行く価値があるかも。
    前・後者とも参加料は300.00USD.ワタクシ自腹で参加してます(T^T)
    金くれよ。せめて旅費全額くらい(笑)
    sorya

  13. ありがとうございます。
    それにしても、参加料けっこうしますねえ。
    学会って参加費無料と思ってました>12

    taka

  14. 取る取る。嫌になるくらい。
    ウチらの場合は予算要求しても通ることが少ないんで、自腹で行くこと多いよ。出ても半分かな。あ。あの参加費は宿泊料別ね。

    何処に行ってんだ?わし等が予算要求した海外渡航費用&学会参加費
    学会参加費は日本円なら後で取り返せるけど、それ以外はない。なぜか。

    強いて言えば、自腹で行っても出張扱いにしてくれることくらいかな。
    でも、それだと何処にも遊びにいけないので、休暇とって行ってるよ(T^T)
    sorya

  15. >soryaさま
    やはりビジュアルは説得力あります。

    というわけで、自宅で出来る模擬実験を考えてみました。

    衝撃波を表面波に置換えるという乱暴な方法ですが、
    コーヒーカップに水を張り、水滴を中心点に落としてみます。

    この時、中心から広がった波が跳ねかえって中心部へ向けて戻ってきます。
    条件を変えながら繰り返すと、やがて波が中心点で出会った時に小さな水滴が
    跳ねあがります。
    定量的にはまったく出鱈目、定性的にもちと違う方法ですが
    「ガスが焼きぬくわけではない」とビジュアルに訴える方法としては
    こういうのも良いかなと思います。


    ……まったく的外れでしょうか?^^;


    たかつかさ

  16. おぉ!Sorya殿、わかりやすい例をありがとうございます。
    そっか。拙者は今まで爆風でぶっ飛ばすのかと思ってました。

    銃砲系になってしまいますが
    成型炸薬弾を使った兵器を復習の意味であげときます。(ちと勉強した)

    1)バズーカ
    超メジャー。砲というよりはロケットランチャー
    名前は楽器(見たことないが)に由来

    2)パンツァーファウスト
    ドイツ製。 RPG−7の原型。使い捨てであるがへらの部分は回収して再利用してた。射撃時後方確認を怠ると戦友や自分の足がバーベキューになるので注意が必要だ。

    3)ピアット
    英国製。上の2つとは違う!こいつは「クロスボウ」だ・・・・
    弦を引いて敵戦車に向けてビヨ〜ンと投射する。のどかだ。
    「音がしない。」「煙が出ない。」ので評判がよかった。 

    4)吸着地雷
    ドイツ製。磁石で戦車に貼り付けその場で「モンロー効果」。生身の人間がそこまで近づけるのかぁ??

    5)成型炸薬弾つき棒(名称忘れた)
    日本製!槍で戦車に勝てる。まさに日本的。

    探せばまだまだありそう。ご存知の方ご一報を。

    装甲カタツムリ

  17.  旧日本軍の成形炸薬に関する技術情報はドイツからのプレゼントだそうで、対戦車用ということで『タ弾』と呼ばれております。実用化されたのは昭和10年代みたいです。
     わしが知っているのでは、昭和19年に41式山砲(連隊砲)に『タ弾』が適用されています。ただ、全部隊に支給されたわけではなく、支給された数も1門につき数発程度だったと聞きます。
    ブラック・タロン

  18. >3)ピアット
    >英国製。上の2つとは違う!こいつは「クロスボウ」だ・・・・
    PIATは対戦車擲弾筒とでも言うべきものです。使われる弾も
    迫撃砲弾に近く、弾底部に発射薬が仕込まれたものになっています。
    筒の中にはばかでかいスプリングが入っていますが、これによって
    弾底部の雷管を叩いて発射し、発射時の反動をスプリングの再圧縮に
    使うことで反動を緩和する目的もあります。

    >「音がしない。」「煙が出ない。」ので評判がよかった。 
    ロケットや無反動砲にくらべると音も煙も少ないのは利点です。
    しかし初弾発射、あるいは不発弾再装填時には人力でスプリングを
    圧縮する必要があり、これが非常に骨の折れる力仕事なのが不評でした。
    キリキリと近づくキャタピラ音と地響きを聞きながら、油汗流して
    スプリングを圧縮する…あんまりのどかじゃありませんね(^^;)
    また重装甲化した後期のドイツ戦車相手には威力不足となったようです。
    ささき

  19. もうひとつ…
    >2)パンツァーファウスト
    >ドイツ製。 RPG−7の原型。
    いわゆる「パンツァーファウスト」の弾頭には推進薬が込められておらず、一発どかんと撃ち出しヘロヘロと曲射弾道を描いて目標に当てる無反動砲の一種でした。RPGは「ロケット・プロペルド・グレネード」つまりロケット推進擲弾ですから少し違います。ただ、実戦に間に合わなかった新型パンツァーファウストには射程距離向上のためロケット推進を仕込んだタイプがあり、これがRPGの原形となったことは確かです。
    ささき

  20. >>たかつかさ氏
    うーん。。。そのモデルはカラクリが分かっている人には示唆的だと思うんだが、
    分からない人には何を言いたいのか分からないモデルになりそう。

    っていうか、教え子の看護婦の卵に見せたら「わかんなーい」だった(笑)
    sorya

  21. >3)ピアット
    PIAT とは Projector, Infantry, Anti-Tank の略だそうです。

    >5)成型炸薬弾つき棒(名称忘れた)
    刺突爆雷、というような名前だったと思います。

    >探せばまだまだありそう。ご存知の方ご一報を。
    化学エネルギーではありませんが、粘着榴弾 HESH というのもあります。
    柔らかい弾殻に炸薬を詰め弾底部に遅延信管が装着され、目標の装甲表面に
    グニュッと貼りついてから炸裂、装甲の内面を剥離飛散させ乗員の殺傷を
    狙ったものだそうです。主に無反動砲に使用されます(おそらく無反動砲は
    旋条を持つので、HEAT など化学エネルギー弾を使いにくい為でしょう)。
    第二次大戦中に実用化されていたかどうかは知りません。

    ささき

  22. >21 HESH
    WW2中に英陸軍工兵隊のAVREの290mmスピゴット(一名を空飛ぶゴミバケツ)がHESHを使っています。もっとも対戦車用ではなくトーチカ破壊用ですが。

    けい

  23. 蛇足、
    >21.22.HESH: High Explosive Squash Head
     もろ、潰れる弾頭の意味ですね。

    参考:       全長   薬莢リム径  弾薬重量   弾頭(弾芯)重量
    105mmHESH 990mm 150mm  21kg    11kg
    同 上APFSDS 950   150    18.5     6

    又、HEATに関して ある本(元は西独陸軍のデーターらしい)で下記の解説が有りました。
     「(実験上)最大貫通力はスタンドオフ距離が、弾頭径の1.8倍の時であり、
      その貫通長さは弾頭径の約4倍である。(対防弾鋼の場合)」

     又、下記の様な計算式も有ります。 
      
     HEAT JET圧力 P=1/2 X γ/g X V2 (kg/mm2 ) 

     V: JET速度。 先端で9000〜10000m/s 後端で1000〜2000m/s
     γ: ライナー材比重。 一般に銅合金使用 8.9g/cm3
     g: いわずと知れた 9.8
    計算例 V=9000とし、γの単位合わせを注意し入力−−>P=36800(kg/mm2 )

     この式の意味は、弾頭径は、JET圧力そのものに関係を及ぼさないという事ですね。
     くわしくは sorya氏から 何かコメントをいただけるのをまちましょう。
     
        

    軌跡の発動機?誉

  24. ふう。この土日は死にそうでした。同じ死にそうだったら駅前であんたを殺してあたしも死ぬわといわれて殺されそうになる人間的修羅場のほうがまだいい
    や。っていうかやってみたい(笑)

    で、あの式。あの式自体はみたことないけど、わしらの世界でよくあるHEATやAPFSDS弾の威力を評価する修正ベルヌーイの式と言われてるやつに鋼材の降伏
    応力と銅の0.2%応力を入れたやつを圧力換算として式をいじったやつに近いね。

    まあ、それはそれとしてコーンの崩壊圧力というのは、コーン角(厳密にはコーン厚)、爆薬が一種ならばいしょざんす。コーン径が大きくなると、ジェット
    流生成時間が長くなり、結局侵徹長が増えるという感じ。あくまでもシングルコーンでの話だけど。
    sorya


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