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387 クリスティー懸架ってどうして廃れてしまったんですか? 話を聞いてる限りでは、いいことずくめのような気がするんですが。
AAM

  1. この方式は一つ一つの転輪の上にスプリングが置かれ、スプリングは車体内部に入りこんでいるため、内部容積を狭めてしまうという問題点があります。その反面、高速機動性に優れる、キャタピラを外してチェーンで駆動輪と第一転輪を連結すればタイヤ走行できることが売り物だったわけですが、タイヤ走行機能はキャタピラの取り外し等に時間がかかることから実戦での有効性に疑問が持たれ、結局、ソ連のBT戦車の初期バージョンで採用されるに留まりました。
    一方、トーションバー式は左右の転輪をねじり棒で連結し車体下面に設置する方式であり、機動性が高く車内容積を食わないという利点があります。この方式が早くから普及しなかったのは、金属の棒のねじり曲げを利用する原理であるため、信頼性と価格の面で実用に耐えうるものが出てこなかったためだと思いますが、こちらの方が普及してクリスティ式や従来の他の方式をほとんど駆逐してしまったわけです(戦後戦車での例外はセンチュリオンやメルカバがホルストマン式であること位か)。
    アリエフ

  2. アリエフ様、その「ホルストマン方式」についても、少々ご解説を求めてよろしいでしょうか?
    勝井

  3. ホルストマン式懸架装置というのは、縦置きコイルスプリング2本と二輪ボギーの組み合わせです。ボギーの中央を支点にして、スプリングはそれぞれ反対側の転輪にかかる荷重を受け持ちます。
    どうにも言葉足らずですが、メルカバのプラモの組立説明書と、足回りの部品を見てみましょう。模型屋さんで箱を開けてみれば一目瞭然というものです(汗

    地形追従性に優れるのと、全機構を外置きにできるので整備や製作にかかる手間が少ないのが長所ですが、高速走行に不向きとされます。
    まなかじ

  4. 一部修正・補足:クリスティー式は転輪の支持棒(ロッカーアーム)に縦置きのコイルバネがついており、各転輪を独立懸架する方式。縦方向のストロークが大きく地形把握性に優れる。しかし、車体(シャーシ)の中にコイルバネを格納するシリンダーを設けなくてはならず、その分車内容積を食う。
    トーションバーの場合、荷重への耐久性がコイルバネの4倍くらい。こちらも車内に食い込むものの、機動力・地形把握性がクリスティー式に匹敵し、耐久性はより優れている上にクリスティー式に比べて軽量化が図れるという多くの利点を持つ。問題点は、シャーシ内部を通るトーションバーの整備が面倒ということか。
    アリエフ


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