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520 (続)一式中戦車の生産数について
落馬童子

  1. >>BUNさん
    一時期こちらへアクセス出来ませんでしたのでレスが途切れておりましたが、その後丸子工場の元工員の方及びその元ご同僚の方からより詳しい証言を得られました。

    チヘ車を改造してチヌ車を生産していたとするならば、チヘ生産終了後は改造作業のみが行われ新規生産が行われていなかった事になってしまいますが、これについてはお二入のご記憶と一方の方の当時の日記により否定されております。より詳しくは...

    >全般
    「新型車体は19年度に約250車体、終戦迄では約400車体を組立てた」

    「チヘ完成車の改造は見掛けた事が無い」

    「普通、完成車の留め置きはしない、事故や火災で危険。そう言う(チヘ車が保管されてる)光景も見ていない」

    「月産数(製品完成数)と言うのは砲の供給に左右されたものなので、車体の月間組立て(完成)数とは関係ない。チヌの場合いつも前月分の完成車体に届いた砲を載せて仕上げると言う形になっていた。つまりその月に届いた砲の数がそのまま完成させられる製品の数になる。」

    >19年度
    「チヘの時はその大量の発注を捌く為、今までに無い本格的な流れ作業のラインを敷いた、ドイツ人が指導に来た事もあった」

    「19年度以降戦車生産は各面で優先を受けており、一時期(19/夏)を除き(新規)組立てラインは常に活発だった、悪かったのは18年で他より安全(笑)な三菱でも(招集に)引っ張られそうだった」

    「ホイと言う戦車は知らない、チヘの追加生産とチヌの生産準備で車体組立てラインに呼び戻される前(19/夏)の事は解らない」(19年初夏のチヘ生産据え置き処置で一時中戦車のラインを離れている)

    「チヘの追加生産は19年の夏頃からずっと中戦車を出してなかった為に機材の不足を言われてやった」

    「チヘの為に敷いた大掛かりな生産体制が既に出来ており、加工済みの資材が本当にたくさんあったので、チヌの生産準備は直ぐに整ったが、肝心の砲の供給が悪く砲無しの車体で最終ラインが埋まってしまったので生産調整をしなければならなかった」

    >20年度
    「チヘとして確保済みの資材(ほぼ完成の車体/組立て途中の車体/加工済みの車体鋼板)や手配済みの部品が大量に有った、20年度に入ってからもかなり長い間この分(チヘ資材)で車体は賄えた」

    「砲の供給は(19年度より)良くなったが、それでも不安定でこの為一時期生産(納品)が酷く落ち込んだ。(20年度で)砲無しの車体を多く抱え込んだのはこの時だけ、終戦時も含め(20年度の)それ以外の時は溜まった砲無し車体はそれほど多くない」

    「生産が本格化したのは年が(20年)明けて暫くしてから。月間の新規車体組立て(完成)の最低数は30輌が一つの目処だったが、この時期の(20年度を通しての)実際は大体20輌強から25輌前後。本当ならもっと多く作れる筈なのだが(資材も労力もある)、空襲のせいの中断や電力の不安定だとか諸々の事を考えればこれでもかなり頑張っていた。それでも最初の頃(19年度)からずっと前月分の完成車を持ち越してあったから不足はなかった、最後まで車体には余裕があった。」

    「チヌの生産はかなり重要に思われていた様だが工廠の砲の製造だけはどうにもならなかったらしい」

    ...と言う内容です。またチヘとチヌの仕様の相違について、

    「(19/初夏に)生産が一旦止まる前のチヘの操縦伝達装置(操向機)は油圧式、チヌの時はチハと同じ機械」(正確な切り替え時期については不明、チヌの初期は同じ可能性も)

    ...と言及されております。

    ところでMailをさせて頂こうとしたのですがBUNさんのメアドが解りません。私のでしたら「むーさん」の処の掲示板に置いてあります。


    >>ゴドノフさん
    >逆ハイブリッド「チヘ」
    この車輌についての情報の大元であるPz誌上の解説を執筆なされた旧軍車輌研究の大家、T氏と先日お会いさせて頂きました。情報のソースは相模工廠の工員であられたA氏のスケッチと言う事でありました。スケッチとは言え氏のそれはかなり正確に対象車輌を捉えており、一切資料の残らぬ試作車輌の多くがこれによりその概要を今に伝えられております。

    >チハ車体のチヌ?
    私はこの車輌についての記述を見たことが無いのですが、チヌ車の生産で問題のあったのは砲の方なので(上記元工員の方の証言とは別に、チヌ車向け砲不足の状況を示す資料が有ります)、チハ車体への搭載は考えにくと思われます。この車輌とはつまり同じく砲戦車中隊向けの機材であり備砲も基本的には同じである三式砲戦車ホニIIIの事ではないでしょうか?
    落馬童子

  2. 落馬童子さん、貴重な御発表ありがとうございます。
    私は今、空飛ぶ機械の方の生産数の割り出し作業に関わっておりますが、色々と興味深い回想にもよく出会います。精力的な御調査、感心致しました。
    チヘ車の部隊配備状況についての推論は以前に述べた通りで、少なくとも戦車三〇連隊には一両も存在しないこと等から実車の完成数を非常に疑っております。大量生産されたというチヘ車がどこへ埋れているのかについてはまた秋口から考えてみたいと思います。私のメールアドレスはbun@platon.co.jpです。
    BUN


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