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272  海軍には一式12,7糎高角砲というものがあったはずですが、なぜ陸軍は三式12高射砲を新たに開発したのでしょう?世間では海軍からの技術提供を理由に、三式は陸海軍協力の賜物と言われていますが、一式の存在を見ると、セクショナリズムの見本とその中での協力の限界を見たような気がしますが。
tomo

  1. 協力して生産しようにも、高初速の新型高射砲の(恐らく砲身の)製造能力に限界があった為、陸海軍が協力しても成果は上がらなかったでしょう。というのも、当の海軍の戦時中の主力高射砲は生産数から見て、あの有名な八九式12.7cmではなく、圧倒的に十年式12cmだったからです。この砲は砲そのものとしては高初速でよさそうなデータを持っていますが、システムとしては紛れもない旧式砲です。問題は陸海軍の協力の限界どころではない部分にあると言えます。
    BUN

  2. あの、一式の12センチ7高角砲って、どういう砲ですか?
    わたし、知りません…ソレ。

    ところで、三式十二高が参考にした砲は、どうやら、他でもない十年式12センチ高角砲らしいですね。
    砲身を自緊の56口径にしてはいますが、駐退機の形式や配置はよく似てます。砲弾重量は三式の方が重いようですので、120ミリ高射尖鋭弾に互換性はないでしょう。(お約束)

    八九式12センチ7よりも性能はいいようですが、やはり十年式なんかを参考にしたせいか、自動装填装置の開発に非常に手間取ったそうです。
    機能的、構造的にも、どうせなら、九八式10センチあたりを参考にすれば…。
    海軍が出し渋ったとすれば、それこそ陸海「対立」構造の見本になりそうですね。
    まなかじ

  3. 一式12.7cmは初速890m/s最大射程22000m最大射高16000m(本当か)弾重27kg(八九式は23kg)射撃速度13r.p.m.
    九八式10cm は 1000m/s    14000m    11000m       13kg              15r.p.m

    電動油圧の俯仰、旋回速度は九八式の約二倍程度敏捷で、夢のスペックを誇る陸上砲台用高射砲ですが、果たして何門完成したか不明です。
    しかし、九八式10cmですら百数十門の生産量なので、推して知るべしといったところでしょうか。
    BUN

  4.  質問文が意図不明確なものでしたね。すいません。m(_ _)m 質問の趣旨は「どうせ技術協力するのなら、一式を陸軍でも生産すればよいのに。」ということです。海軍が「教えてやるから、勝手に作れ。」、もしくは陸軍が「勝手に作るから教えろ。」と言っているようなものに思えたもので……。それに陸軍では自繋式砲身の三式を生産していましたから。

     重ねて質問です。九八式十糎高角砲の性能は本によって、二種類あるようなのですが、どっちが本当なのでしょうか。ひとつはBUNさんの挙げているもの。もうひとつは最大射程(ママ)14700m、同水平19500m、他は同じ。ちなみに、後者では「目盛りによる」との但し書き付きで前者の数字を挙げている書籍もあります。後者の代表例は遠藤昭氏の書かれた書籍です。
     この目盛りについては「日本海軍史第七巻」P624の表にもそれらしき表現があります。また、九二式十糎加農が初速765m/s、弾量15,76kgで最大射程18200m、試製大威力十糎加農が初速900m/s、弾量16kgで最大射程20000mを達成しているのを見ると、後者もいちがいには否定できません。

    →3
     私には八九式の方がよく似ているように見えるのですが……。それに、「陸戦兵器の全貌 上巻」(これの完全版「陸戦兵器総覧」、どっかで手に入らないかな〜。)にある装填のメカニズムを見る限りは、やはり八九式を参考にしたように思えます。九八式をモデルにしなかったのはその複雑さのせいでは?
    tomo

  5. これはたぶん最大射程と運用上の最大射程(つまり有効射程)の差だと思います。
    遠藤氏の「高角砲と防空艦」の付図の弾道例視図を見ると確かに通常弾、時限信管付き、常装薬、初速1000m/sの条件でそれぐらいは飛んでいます。たぶん砲弾は14700m、19500mはまで届くことは届くのですが、それが有効弾となりえるかは別の話で、一般的に高射砲の有効射程(射高)は最大射程(射高)の8割程度とされるようなのでそれがBUNさんのあげた方の数字だと思います。目盛りも有効射程の方を表しているのでしょう。高角砲の指揮をする高射装置も94式で3000m〜15000mが対応範囲だからいいところだと思います
    陸軍の場合は最大と有効の両方をデータとして公表するのにたいして海軍の方は有効射程を表す目盛りの最大スケールで射程を表現したんじゃないかと思います。
    舞弥

  6. >4.いえ、ちがうんです。
    十年式高角砲は、砲そのものには自動装填機はついていないのです。このへんがシステムとして旧式というところで…。
    ですから、陸軍は一から装填機を開発(それまでには十四年式十高に装填補助装置を作ったくらい)したのです。これは、参考にしたとしてもおそらくは外国砲ではないかと思えます。
    まなかじ

  7. >TOMOさん

    陸軍兵器総覧はいい本ですが、大砲にかんしては原書房「日本の大砲」の右に出るものはないように思います。
    Navy

  8. ↑4
     自宅にある「高射戦史」「日本兵器総集」で確認しました。確かに仰るとおりのようですね。すいません。(この所、自分の底の浅さを露呈しまくっているな〜。)最近は本棚への収納の関係上、「日本陸軍総覧」を多用していまして、そこには89式を参考にしているような書き方だったものですから、間違えてしまいました。

    ↑5
     仰るとおりです。よい資料です。地元のものではない(遠隔地の)図書館で見たことがあります。「日本の大砲」「陸戦兵器総覧」それと「世界兵器図鑑-日本編」で日本陸軍の火器についてはほぼ万全でしょう。しかしながら、戦記物の例に漏れず、既に絶版、入手はきわめて困難です。未だ学生の身である私の手元にはありません。(シクシク)
    tomo

  9. 失礼。↑4→↑6、↑5→↑7でした。謹んで訂正させていただきます。
    tomo

  10.  そうすると、陸海軍協力は所詮協力止まり。セクショナリズムは消えることはなかったのですね。
    tomo


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