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286 零式通常弾の炸薬量について「通常弾要目表」なる文書があり、それによると、36サンチ砲で炸薬量は弾重622kgに対して29.55kgとあるとのことです。この数字を信じると、砲弾全体の重量に対する炸薬重量の比率は陸軍の大口径破甲榴弾等より小さく、零式弾には確かに「対空」目的とする文書は存在しますが、同時に「対水上」とも記載されたものがあり、零式弾の実態はやはり汎用性を持った半徹甲弾と解釈してよいのではないでしょうか。
BUN

  1. うぅ、これは逆襲ですネ(^^;;

    確かに弾の重量に対する炸薬量は米国よりも少ないですね。
    米国のHE弾だと16インチで炸薬量は70sでしたっけ、我が14インチの
    零式弾は30s。単純に比例させれば16インチの零式弾だと炸薬量は約45s
    ですか。確かにあっちと比べれば少ない‥‥

    しかし、これは用兵の思想と信管から探るとどうなのでしょう?
    実は、以前の書き込みで師匠が書かれた「本来の任務」というのを、私は早
    合点して空母の直衛と誤読したんですよ。
    さておき、零式弾の用兵というか用法ですが。半徹甲弾説の場合、どの程度
    の相手まで(駆逐艦以下?)零式弾を用いるのか?どの程度の威力があるの
    か?
    三次ソロモンでは、多分零式弾も当たっているとは思うのですが、少なくと
    も敵戦艦の1,5インチの外部構造材には致命傷にはなってませんよね。(まぁ、
    これは、信管が時限信管で作動前に当たった可能性もあるのですが。手記や
    戦闘詳報なんかではかなりの命中弾を与えているらしいので、信管は作動し
    たと考えても良いのでは?)
    また、信管面からは、触発信管(あるいは遅働)が装着出来れば対艦用として
    用いられるとも思えるのですが・・確たる証拠は無いので‥‥

    弾の構造上からは炸薬の単位体積重量を1,5t/m^3とすれば、炸薬量が30sと
    いうことは、大雑把に言って炸薬の形状としては半径15pで高さが40p位
    の円筒形になるのですが、これを仕込んで弾体の強度は保てるのか?

    ホントの所はどうなんでしょうか?(全然答えになってな〜い!「砲術史」が
    行き先知れずなんでこれ以上は突っ込めません。悪しからず)
    takukou

  2. そう、逆襲、逆襲(笑)。
    実のところ皆目見当がつかないのですが、重量と形状の問題が裏にあるような気もします。
    徹甲弾と同様の弾道を得るために炸薬量が制限されるような事もあるのでしょうか。
    もっとも、そうであれば「対水上」目標射撃への配慮ということになりますが・・・。
    BUN

  3. 状況証拠しか無いので水掛け論になるかもしれないのですが・・

    三次ソロモンの時は、我が方としては敵は巡洋艦以下と判断した上で徹甲弾に
    替えようか?どうしようか?と逡巡してますよね。
    また、サマール沖(だっけ)の戦訓としては、巡洋艦に対しては徹甲弾よりも
    通常弾(零式弾?)の方が効果が大きい。とされている筈です。

    こうして見れば、三式あるいは零式弾は少なくとも対巡洋艦目的としては用い
    ない。という運用方針であったと推察出来るのですが・・
    とすれば、わざわざ対駆逐艦用として零式弾を用いたかどうか?という事にな
    るのではないかと?しかし、駆逐艦如きは副砲でなぎ払うのでは・・

    ワタシの頭の中では、我が海軍は駆逐艦以下の軟目標に対して戦闘中にわざわ
    ざ弾種の変更をする程柔軟では無い。と思ってるんです。
    仮に、敵が「駆逐艦+輸送艦」であることがハッキリしていれば零式弾を主用
    するかも知れないけども。巡洋艦以上の艦艇が含まれていると予想される場合
    にわざわざ零式弾を用いるのか?という事です。実戦では大体その様なシチュ
    エーションですよね?
    我が海軍のドクトリンとしては「徹甲弾第一主義」であることは間違いないと
    思うので、実戦で零式弾を用いるというのは状況証拠からはどうかなぁ〜と思
    ちゃうんですヨ。

    あと、対空弾としての弾体の強度と、徹甲弾として要求される弾体の強度とい
    う問題は残りますね。
    まぁ、これは破片効果を対艦艇にも求めるとすれば関係ないか。

    いずれ、どの様な信管が装着されていた(される予定だったか)かが判れば一
    発だと思いますが??時計信管が装着可能だったのは確実ですよね。
    takukou

  4. ↑ 補足、「使い方次第では汎用性を持った半徹甲弾として」勿論使える
    と思います。ただ、使う気があったかどうか?ではないのかなぁ・・
    takukou

  5. 零式通常弾というのは、91式通常弾や3号通常弾といった両用砲用の通常弾にルーツを求めるべきじゃないかと思います。
    また零式の炸薬比はBUNさんの方が正しいと思います。
    簡単ですが。
    舞弥

  6. 零式弾の信管は弾頭着発信管の88式と零式時限信管の両方を状況に応じて使い分けたようです。これは基本的に高角砲や両用砲の通常弾と同じです。
    零式弾を水上戦に使用した例としてはサボ島沖海戦や第3次ソロモン海戦がありますが、理由は皆さんご存じのとおりです。その他にはアッツ島沖海戦での愛宕(91式通常弾の可能性もあり)ぐらいしか思いつきません。まだ他にもあるはずですが、いずれにしてそうも多くはないはずです。
    零式弾が水上専用の半徹甲弾の性格をも持つ汎用弾であった事には異論はないですが、一義的な存在理由は実際の使用例から言っても水上戦用ではなく対空戦用であったという点は譲れません。
    舞弥

  7. 「水上専用」→「水上戦用」です。いつも文章変ですいません。
    舞弥

  8. そうでしたか、有り難うございます。
    てっきり弾頭の時計信管+(あるとすれば)底部の信管と思ってたんで・・

    じゃ、一応(積極的に使ったかどうかは兎も角として)対水上目標用として
    も考慮されていた、ということなんですね。
    takukou

  9. 私も「通常弾要目表」見てみたのですが、これにはちゃんと右の用途の項目に「対空」って書かれているじゃないですかあー! BUN師匠。
    それからこれに基づいて信管について訂正すると、戦艦用の零式通常弾乙と20cm砲用の時限信管は零式、15.5cm砲、50口径14cm砲用の時限信管は91式でした。
    単に零式と書いたのは、零式弾で最初に陸上砲撃に向った第6戦隊に関する戦史叢書の記述を元にしたのですが、本来は91式であるべきはずのようです。また要目表には零式だけで着発信管の記述がないのですが、戦史叢書の記述にはわざわざ「(駆逐艦用の)88式」と書いてあったので、本来は零式用には零式時限信管しか設定されていないのかもしれません。

    ついでに書くとそもそもBUNさんが「半徹甲弾」を出してきたのは、「海軍砲術史」あるいはそれの編纂時に黛治夫氏が提出した「砲戦術研究資料」からだと思いますが、これは徹甲弾に関しては91式を想定しているものの半徹甲弾や高勢弾というのは、現実に存在する砲弾を想定した物ではなくなく観念上の存在ですよね。シミュレーションゲームの資料としてなら役に立ちますが。
    舞弥


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