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403 日本陸軍といえば銃剣突撃ですが、接近(肉弾)戦で有利と言う事で日本刀を
装備している者もいたと聞きましたが、これは軍の正式な装備なんでしょうか?
また軍刀自体は各国ではだいたい、いつ頃まで使われていたのでしょうか?
taka

  1.  日本陸軍が本当に銃剣突撃を最重要視していたかは少し置くとして、軍刀は陸軍造兵廠が一定の規格で製造しています。当然個人所有の刀を軍刀拵えにすることも多くありましたが、実戦用というよりは指揮刀として扱われるものです。
    軍刀には、

    陸軍鍛錬刀 −将校の軍装用として製作され軍から販売されたもの上質な日本刀
    造兵刀   −将校用として鍛錬刀の不足を補うもの
    九五式軍刀 −制式兵器である軍刀 帯刀本文の下士官兵用
    ステンレス刀ー海軍士官用
    昭和刀   −一般市販品の主力

    以上の種類があり、上質の陸軍鍛錬刀は陸軍検査規格では試し斬りにおいて厚さ1.2mm、幅15mmの軟鋼板を三箇所で切断し、刃こぼれ、及び刀身の曲がりの無いこととされ、正に鉄をも斬れる伝統の日本刀なのですが、当然供給に難が有り、代わりに、油焼入れは行っているので日本刀としての折れない特徴は備えているものの焼刃が無い造兵刀、それを簡略化した機械仕上げの九五式軍刀、自動車用平バネや、鉄道レール等、刀剣鋼ではない普通鋼を使用した飾り物である昭和刀(最も多数)がありました。
     ですから白兵戦での軍刀は斬る、というより「ぶつ」ものだったことでしょう(笑)。
    BUN

  2. 孫引き資料なのですが、入手しやすいものとして山本七平『私の中の日本軍』(文春文庫)はいかがでしょうか。
    日本刀を兵器としての面から考察した興味深い記事があります。
    まなかじ

  3. 日本軍と並んで白兵が好きなのはフランス軍です。
    1939年改訂の最新の歩兵操典でも、「アルメ・ブランシェ」(白い兵器、つまり白兵)の効用を高らかに謳っています。
    ドイツ軍が戦車と急降下爆撃機を持ち出してこなければ、きっと、マジノ線でボコボコになったドイツ軍に、銃剣突撃で止めを刺すフランス軍歩兵の勇姿が見られたことでしょう(笑)
    まなかじ

  4. もしかして、「白兵」の語源はおフランスだったのですか?
    軍装かなんかが白色だったのでしょうか?
    勝井

  5. 日本以外で大戦中、刀(銃剣以外)を正式の装備にしていたところはあるんですか?
    あといつ頃まで使われてたんでしょうか?いくらなんでも今はもうないですよね
    taka

  6. > 日本以外で大戦中、刀(銃剣以外)を正式の装備にしていたところはあるんですか?
     旧日本軍に限らず、どこの国の軍隊にも軍用としての刀剣は一応あったはずです。といっても、第1次大戦以降、昭和に入る前にほとんどの国で軍用刀剣は儀礼用と化していたはずですから、第2次大戦においてことさら実戦兵器として真面目?に使ったのは日本を含めてごく一部ではないでしょうか?

     そーいや、旧日本軍の軍刀は、最初サーベル形式に日本刀の刀身を組み込んだものだったようですが、いつ頃から日本刀形式に変わったんでしょうかね? 昭和に入ってから?

     与太話。米軍が暗視装置の開発に着手した理由の一つに、南方戦線での日本軍の斬り込み夜襲(バンザイ突撃)があったそうですが、実際には軍刀に月等の光が反射してバレることも多かったと聞きます。
    ブラック・タロン

  7. >4
    「白兵」の語源というか元ネタは中国語です。
    フランス語の方も、刀身の輝き=白という、同じ発想による言葉でしょう。
    「白刃」という言葉もありますし。

    >5・6
    ポーランド軍騎兵隊は、1939年にも騎兵槍とサーベルを閃かせての白兵突撃を騎兵の本領としております。
    中国軍は装備貧弱で鳴らした(?)八路軍はもちろんのこと、国民政府の正規軍も大戦後半に米式装備で再編されるまでは刀剣類がかなり幅を利かせています。

    陸軍の軍刀が日本刀形式になったのは昭和七年からのようです。
    ただ、BUNさんもご指摘のとおり、将校が持つ軍刀は制式兵器ではなく、自分で買わなくてはならないものでした。
    対して、下士官や憲兵隊、騎兵や砲兵のような乗馬兵には陸軍の制式兵器たる三二年式軍刀が支給されます。これは片手保持の、いわゆる「サーベル」です。
    三二年式は、昭和十年に九五式軍刀に更新されます。
    三二年式の刀身はそのままに、拵えのみ日本刀形式に作り換えたものが造兵刀、最初から九五式として造られたものはやや質が落ち、昭和刀と呼ばれます。
    まなかじ

  8. ありり、わたし、すこし勘違いしてたみたいです。
    呼称についてはBUNさんの回答を参照してください(^^;
    まなかじ

  9. >7
    高島俊男先生は仏語が元としておられます。
    594

  10. 便乗質問で申し訳ないのですが、俗称「ゴボウ剣」はどの当たりなのでしょうか?
    イメージとしてはサーベル(三二年式軍刀)のような気がするのですが。
    ダークマター

  11. ↑えっ?ゴボウ剣って銃剣のことじゃないんですか?ずっと30年式銃剣のことと思ってたんですが…。
    AJOR

  12. 「ゴボウ剣」は三○年式銃剣のことです。
    まなかじ

  13. 自分で質問しといてなんですが、サーベルと日本刀どう違うんでしょう?
    ぼくは刀身の製造方法とかだと思ってたんで・・・。
    taka

  14. >13 サーベルは中近東辺りの湾刀の影響を受けて16世紀くらいにスイス辺りで生まれた剣です。騎馬での使用が目的なので軽く、片手で使います。形は様様で刺突用の直刀もあります。騎馬用ということでは日本刀の太刀と通じます。早い話、見た目も歴史も違います。陸軍や警官が何故サーベル形を採用していたのかはわかりません。格好いいと思ったんでしょうかね。
    AJOR

  15. >11,12
    初歩過ぎな著しい過ちだったようですね・・・
    「ゴボウ剣を抜いて」云々と言うシチュエーションが記憶に有ったもので。
    ダークマター

  16. >14
     昔の日本警察がサーベルを装備するようになったのは、明治15年12月1日の太政官達第63号によります。当時のヨーロッパ各国の警察がサーベルを使用していたことを考慮したもので、警察官に威厳を持たせて職務遂行を円滑にするとともに、サーベルを警察官のシンボルとして士気高揚を計るのが狙いだったようです。また、明治10年の西南戦争において警視庁抜刀隊(士族階級が主だった警視庁の巡査で組織した斬り込み部隊)が功績を挙げたことも影響しているようです。
     ちなみに、サーベル形式の外装に日本刀の刀身を組み込んだものが警部補以上の幹部に支給され、一般の警察官は剣先のみに刃を付けた刺突専用のものを支給されていました。なお、大正以降になると乗馬警官等は短剣を装備するようになったそうです。

    >12
     30年式銃剣は全長53cm、刀身長40cmで、当時の各国軍の銃剣と比較すると結構長いものです。見た感じ日本刀っぽいイメージがありますが、銃剣なので刃は先端にしか付いていません(緊急時には刀身の前1/3〜半分を研いで刃を付けたとか)。明治30年以来終戦まで使われ続け、年代によって様々なバリエーションがあったようです(叉銃用のかぎ爪がないもの等)。
     ちなみに、挺身部隊(空挺部隊)では30年式銃剣は長すぎるということで、短縮版の2式銃剣(短剣)が制定されています(全長32cm、剣身長19.8cm)。2式銃剣は刃が付いており、コンバット・ナイフともいえる代物です。
    ブラック・タロン

  17.  質問ではないですが、私の御爺さんの戦友(こちらもまだ存命80歳)は
    長ドスと短ドスの携帯が認められていたそうです。移動の際はひよわな私の祖父に
    短ドスを持たせていたらしいです。
     
    K−SYAN

  18. 平凡社新書の新刊「刀と首取り」(鈴木眞哉著)は、基本的には戦国時代の刀の用法の話ですが、刀の使用の実態の考察の過程で、明治以降の軍刀使用についてかなり詳しい記述があり、私にとっては一粒で二度おいしい本でした。
    皆さんのご参考までに。
    カンタニャック


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