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428 太平洋戦争中、実際に九七式自動砲を装備した歩兵中隊はどのくらい存在していたのでしょうか。戦果を挙げた話は寡聞にして知らないのですが……。

sharman

  1.  97式自動砲(口径20mm)といえば、旧陸軍が開発した唯一の対戦車ライフルですね。
     手元の資料では、昭和13年から関東軍に配備し、配備された歩兵連隊では、大隊砲(92式歩兵砲)の小隊に2門を装備したとあります。が、ノモンハン事件でまったく活躍できず、昭和17年に計300門ほどで量産を打ち切られたそうです。
     その後、昭和18年になると、対戦車兵器としてないよりはましということで量産が再開され、さらに100門ほどが納入されて南方戦線で対舟艇、対軽戦車等の任務に就いたということです。南方戦線での97式自動砲の配備編成については手元に資料がありません(;^_^A
     ちなみに、手元の資料によれば、97式自動砲の20mm弾は、距離700mから30mm鋼板をギリギリ貫通できるとのこと。太平洋戦争における米軍の各種戦車の性能は不勉強なためよくわからないんですが、97式自動砲はこれらに太刀打ちできるんでしょうか?(^^;;; まぁM4シャーマン相手では問題外のような気がします(笑)。
    ブラック・タロン

  2. 御回答ありがとうございます。全部で約400門、1個大隊に2門ならば関東軍と南方の装備のいい部隊には行き渡りそうですね。第二十八歩兵連隊・第三十五旅団・第二師団等ガダルカナルの部隊が持っていたかが知りたいところなのですが…………。
    sharman

  3. 南方では三脚に載せ対空機関砲として使用したそうです。気休め以上の効果があったとは思えませんが(^^;)
    ささき

  4. >3 ささきさん、ちょっと確認させてください。南方で三脚に乗せられたのは
    7連弾倉を付けた97式対戦車自動砲ですか?
    三脚・車輪付き砲架に乗った20連弾倉付きの98式自動砲と混同されている
    可能性はありませんか? どちらもほぼ機構を同じくし、同口径ですから...
    みなと

  5. >4
    みなとさん、3のささきさんの書き込みの件は
    「たんたんたたた」(兵藤二十八著、四谷ラウンド刊)という本にも出てきますので事実と思われます。
    yuji

  6. お、Yujiさんどうもありがとうございます。 ところで兵藤二十八さんというのは
    どなたですか? 最近の研究家の方ですか? 僕、非常にブランクが長く、
    又、日本をしばらく離れているので、最近の事情に疎くて....
    最近の方の著作だとすれば、何らかの資料から採集した題材を比較検証されて
    書かれているのでしょうが、原典はどのあたりなのでしょう。
    「たんたんたたた」(兵藤二十八著、四谷ラウンド刊)という本、読んでみたいですね。

    みなと

  7. >6
     兵藤二十八氏は軍事研究家です(S35生)。元自衛官で、『ゴルゴ13』等の劇画のシナリオライターもなさっているとのこと。旧日本陸軍関係でいくつか著作を出されています。
     僕が上で書いた97式自動砲のデータや、他の旧陸軍兵器関係のスレッドへのレスの大部分も、兵藤氏の著書『日本の陸軍歩兵兵器』(銀河出版刊)によります。
     ちなみに、僕が銃器関係で主に参考にしている評論家は床井雅美氏です。
    ブラック・タロン

  8. >4. 既にレスがついてますが、97式です。いかにも頼りなさそうな三脚に乗せた射撃姿勢を示す教本の図を見たことがあり、「たった7発で役に立つんかいな?」とあきれたことを覚えています。
    97式自動砲はガス圧作動、原形はフランスのオチキス機関砲らしいですが南部麒次郎の手によって大幅な改良が加えられています。これをベースにして航空用のホ1(百式重爆の後部旋回銃)・ホ3(二式複戦の腹部銃)が開発されており、この系列のメカニズムの発展型として海軍五式30ミリ機銃が開発されています。
    http://www.epsnet.co.jp/~f4u/crazy/jp/gun/ja97at.htm
    ささき

  9. ブラック・タロンさん、ささきさん、早速のご回答ありがとうございました。

    >ちなみに、僕が銃器関係で主に参考にしている評論家は床井雅美氏です。

    僕が銃器について色々興味をもっていたのは今から20年近く昔の中学生の頃でしたが、その頃
    すでに床井氏は活躍されていました。成書からの引用ではなく、ご自分の足で現物や、開発者に
    取材を重ねる姿勢には頭が下がります。

    > 既にレスがついてますが、97式です。いかにも頼りなさそうな三脚に乗せた射撃姿勢を
    > 示す教本の図を見たことがあり、「たった7発で役に立つんかいな?」とあきれたことを
    > 覚えています。


    97式自動砲は通常、2脚+ピストルグリップ後方のモノポットで支持され、加えて移動用の
    支持棒と防盾が付きますが、三脚にはどの様に懸架するのですか? 教本をご覧になられた
    ということは、戦場での急造品ではなく、97式自動砲用に制式の対空三脚架が用意されていた、
    ということでしょうか? ご存知でしたらご教示ください。

    大戦中の日本の標準的な歩兵用重機関銃、92式には通常の三脚架の立ち上がり部分を延長する
    ような形の、所謂AAエクステンションが用意されており、またそれに対応するように
    対空照尺も備えています。
    97式自動砲用のあの特徴的なドラム型のピープサイトの周囲に、対空照尺に相当するものが
    見当たらない気がするのですが....


    > これをベースにして航空用のホ1(百式重爆の後部旋回銃)・ホ3(二式複戦の腹部銃)が
    > 開発されており、

    これら航空機銃に関しては、ささきさんご自身ホ1の解説に書かれている通り、98式自動砲を
    基にした、という見解もあるのです。97式(対戦車)自動砲と98式(高射)自動砲は、砲本体
    について言えば非常に似通っています。このあたりの事情を明らかにするには、現存する実物を
    採寸・調査するのが一番早道なのかもしれません。
    ささきさん、博物館めぐりのついでに一ついかがですか?
    みなと

  10. >ということは、戦場での急造品ではなく、97式自動砲用に制式の対空三脚架が用意されていた、
    >ということでしょうか? ご存知でしたらご教示ください。
    う、原本をどこで見たのか覚えていません・・・(汗;)

    >97式自動砲用のあの特徴的なドラム型のピープサイトの周囲に、対空照尺に相当するものが
    >見当たらない気がするのですが....
    たしか対空用の円環型照準具を後付けしていたように思います。

    >について言えば非常に似通っています。このあたりの事情を明らかにするには、現存する実物を
    >採寸・調査するのが一番早道なのかもしれません。
    97式・98式とホ1・ホ3の関係についてはイギリス在住の火器研究家トニー・
    ウィリアムス氏が精力的に調査しており、国本さんと一緒にいろいろ資料提供とか
    していたのです(^^;)。調査の結果ホ1/ホ3の機関部は97式が原形と見てほぼ
    間違いありません。ただし註退器やガスシリンダー形状など細部はかなり異なり、
    97式からホ1・ホ3に変化してゆく間に過渡期の試作タイプがあり、これが
    試験的に実戦投入された写真も残されているので話がややこしくなっています。
    これら過渡型のなかには砲口制退器を一回り大型の98式のそれに交換したものが
    あり、これを屠龍に積んだ写真が出回ったことから「ホ3=98式」説が生まれた
    らしい、というのがトニー氏の見解です。
    彼の研究成果は「Rapid Fire」という書籍にまとめられて AirLife 社から近日
    出版される予定です。amazon で申し込んでいるのですが、まだ初版が出ていない
    ようです…。
    ささき

  11. 困りますねえ〜、ささきさん。そんな面白そうな本を教えてくださるとは。
    うっかり僕も予約を入れてしまいました。7月15日発売予定というから、
    そろそろこちらにも入荷していて良さそうですが、今日現在未着のようです。
    ささきさんと国本さんが新事実を提供されたという当該書籍、正座して朗読しよう
    と思います。 楽しみ楽しみ。
    さて、ホ-1/ホ-3のルーツの件、個人的には使用弾薬を基に判定するのが最も
    簡単かつ論理的な方法と考えています。
    異論もあるようですが、米側の調査では97式と98式は使用弾薬が異なり、互換性
    なしとしていたはず、どちらの派生型と考えるかは使用弾薬が良い判定材料の
    はずです。この辺はどんな記述がなされているのでしょうか、わくわくしますね。
    ささきさん、ありがとうございました。

    みなと

  12. 面白そうな資料をご教示いただいたヨロコビで、本題へのコメントを忘れて
    しまいました。

    >> ということは、戦場での急造品ではなく、97式自動砲用に制式の対空三脚架
    >> が用意されていた、ということでしょうか? ご存知でしたら
    >> ご教示ください。
    >  う、原本をどこで見たのか覚えていません・・・(汗;)

    97式自動砲の対空転用に疑問を持っているのは、非常に簡単な理由からです。
    前出の、対空用にも用いられる 7.7mm、92式重機関銃は、12.96gの通常弾頭
    を、約732m/sで射出するのに比較し、97式自動砲は164gの弾頭を、762m/sで
    射出する、したがって弾頭のKinetic Energyで比較すれば97式自動砲は
    92式重機関銃の14倍ほどもあるのです。

    このことを念頭に置いて98式対空機関砲の三脚重量と92式重機関銃の
    (AAエクステンションを用いた)対空三脚架の重量を比較してみましょう。

    98式対空機関砲の三脚架は約300kgほど、92式重機関銃の対空三脚架重量の
    約8.6倍です。98式対空機関砲は97式自動砲より高初速ですが、三脚架は制退機を
    備えておるところから、この重量差は妥当なところでしょう。

    趣旨がお分かりいただけたでしょうか。97式自動砲を対空使用する為には、
    小銃弾を使用するクラスの機関銃に見られる簡単且つ軽量な三脚架では、
    まったく役にたたないのです。

    もし、対空使用の為の三脚が制式化されていたとしたら、それはかなり大掛かりな
    物のはずで、砲本体にもマウントを考慮した仕掛けがあると思うのですが、
    その双方を見たことがありません。

    それで、97式対空転用のお話しは、実は98式のことじゃなかろうか、対戦車
    ライフルを対空用に転用するというのは実に講談として面白いですし、
    実際前線の兵士が97式と98式を、マウントぐらいしか変らないと認識していても
    不思議ではないと思ったのです。

    戦地での、曳光弾を花火代わりに打ち上げる景気付け程度の急造品であった
    というならまだしも、教本をご覧になられたというので確認した次第です。
    この件、僕もあたってみます。
    みなと


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