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ワルサー・モデルP88に関してなんですが, 商品としては失敗したと聞いているのですが・・・, 麻井雅美という人が,よく,この銃の事を紹介しています. 実際の所,この銃の評価はどのようなものなんでしょうか? 正式に採用した組織があるんでしょうか?. U |
はて
すいません。
U
ワルサーの大口径オートといえば、P38以来プロップ・アップ形式のショート・リコイルを採用してきましたが、P88はガラリと変わって一般的なティルト・バレル形式(ブローニング・タイプ)のショート・リコイルを採用しました。この大幅なスタイル変更には、ワルサー社のアメリカ側販売代理店であるインターアームズ社からの働きかけがあったと言われています。
P88について評価したレポート等は目にしたことがないのですが、Gun誌のバックナンバーにレポがあるはずです。とりあえず手元にデータがあるところでは、Gun誌1983年10月号でターク・タカノ氏がP88を取り上げています。古本屋を当たってみましょう。
P88はコンセプトだけ見ると製品としては悪くないと思います。が、従来のP38系とハードウェアが大きく異なる点が受けなかったのかもしれません。あと、アメリカ市場では1挺1,000ドル以上と高価格(これは他のワルサー製品も同じだったようですが)だったのも響いたでしょう。ほぼ同クラスのS&W M5906が600ドルほどですから・・・
いずれにせよ、P88はいくつかの改良やバリエーション展開を図ったものの販売が伸びず、P99に跡を譲ることになりました。また、ワルサー社自体も経営不振に陥り、エアライフル・メーカーのウマレックス社の傘下に収まることになりました。
ブラック・タロン
http://www.geocities.com/Pentagon/Quarters/2188/index.html
http://members.nbci.com/stationf/p88/index.htm
P88の特徴を上げれば−−
1.ワルサー社初の、多弾倉(ダブルカアラム15発)&両ききアンビの銃。
(デッコッキングレバー兼スライドリリースレバー&マガジンリリースボタンの左右操作可)
2.ワルサー社初の、ティルト・バレルタイプ(銃身旋回式)のショートリコイル方式。 >1.タロン氏解説済。
但し、ガバやハイパワーと違い、スライドと3箇所の接点で、がっしりロックされています。
3.ワルサー社では、P5に次ぐ、手動安全装置、無し(NO マニュアルセフティ)の銃。
4.製造方法は、従来からの削り出し工作が主な為、高コスト。(フレームは、アルミ鍛造削りだし)
同時代の他軍用大型ピストル同様、かなり、SIG P200−229シリーズの影響を受けています。
性能・操作性ともに、堅実で中々良いものであった様ですが、とにかく高価な値段の為、
米軍9mmピストルのトライアルに負け、一般市場及び公用においても、同理由で販売が伸び悩み、
1994年に生産終了しました。設計1982年、製造1984年のリリースから 1994年迄の10年間で、
おおよそ1万丁の生産数だったとの事。 その為、現在では、ややプレミアム品扱い。
(たった1万! ワルサーブランドの銃が、世界中で、1000丁/年 しか売れなかった計算になる)
1994年生産終了後、小型軽量化&少々構造簡易化 の ”P88コンパクト”を発表しましたが、
こちらも、市場受けはしなかった様です。
最後に主要データーを示します。
全長 187mm
銃身長 102mm
銃重量 900g
ライフリング 1−250mm 6条右
弾倉収容数 15発
*床井氏は、長らくドイツに在住して研究&執筆活動をされていた様で、ややドイツ贔屓(ひいき)かも知れません。
軌跡の発動機?誉
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