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1169 質問なのですが、トカレフ TT33には安全装置が無いというのは
本当でしょうか。
また、トカレフのようなトンデモない構造を持った銃は他にもありますか?
トラバント

  1.  その通りです。TT1930/33(トカレフ)には安全装置と呼べる機構はありません。せいぜいハンマーをハーフ・コックにできる程度です(ハーフ・コックにするとトリガーが引けなくなる)。
     トカレフはコルト・ガバメントをベースに開発されたものですが、生産性を最優先したため、製造に手間のかかる安全装置は省かれたというわけです。おかげで操作は極めてシンプルになりました(笑)。
     なお、中国やハンガリー、旧ユーゴスラビア等で製造されたトカレフのコピー品の中には、手動セフティを追加しているものがあります。

    『とんでもない構造=安全装置がない』と限定するなら、昔の拳銃黎明期ならともかく、今はよほどの安物でもない限りはないと思います。一見すると手動セフティがない拳銃でも、何らかの内部安全機構(AFPB等)は用意されている場合がほとんどです。
     安全装置はあるが機能的に問題があるとよく言われる拳銃ならいくつかあります(旧日本陸軍の94式拳銃等)。
    ブラック・タロン

  2.  「安全装置」には実は二種類ありまして、ひとつは「引き金を引けないようにする」装置、もう一つは「弾が出ないようにする装置」です。前者は「人為操作による発射」を防ぐだけであり、前者が付いていても後者がなければ銃を落としたりした時に暴発の可能性があります。ブラックタロンさんの言及された AFPB は「オートマチック・ファイアリング・ピン・ブロック(長い^^;)」の略で、自動拳銃において引き金を引かないときに撃針の前進を抑止して暴発を防ぐ装置で、ワルサー PP あたりから装備されはじめました。
     リボルバーにも同様の「トランスファー・バー」「ハンマー・ブロック」などの装置があり、近代的なリボルバーにはほぼ全て装備されています。西部劇時代のコルト SAA.45 などには装備されておらず、暴発を防ぐため撃針の接する薬室には弾を装填せず5連発として扱う習わしだったそうです。コルト SAA を拡大コピーしたスタームルガー・ブラックホークも当初は安全装置がありませんでしたが、6発装填で暴発させた人が「欠陥品だ」と訴訟を起こし莫大な賠償金を支払う事件のあと、シングルアクション・リボルバーにも何らかの安全装置が付くのが当然となりました。
    ささき

  3. 解答ありがとうございます。
    本当だったとは・・・まあでも懲罰部隊なんて作る国のことですから
    やっぱりなぁという感じはしますね。

    「トンデモない構造」というのは安全装置だけでなくて何かこう変わった
    機構がついているとかそういう感じで書いたのですが説明不足でした
    すいません。

    トラバント

  4. >3.
    訓練された軍人が使うことを前提にした軍用拳銃の場合、必ずしも「安全装置の省略=人命軽視」とは言い切れない場合もあると思いますが…。

    >変わった機構の拳銃
    まずナガン(Nagant) M1895 リボルバー。7.62mm 口径 7 連発という装弾数も妙ですが、特筆すべきは薬莢部分が弾頭をスッポリ覆うほど伸びた特殊な弾を使い、ハンマーに連動してシリンダーが前進し銃身後部に「食い込んで」ガス漏れを防ぐ機構です。この凝った機構を採用したためダブルアクショントリガーは異常に重くなり、更に致命的なのはシリンダーのスイングアウト・メカニズムを組み込めず、コルト SAA よろしく一発ごとに排莢・装填しなければならなかった点でしょう。
    画像と解説 http://rt66.com/~korteng/SmallArms/nagrev.htm

    もう一つ、イギリスのウェブリー・フォスベリー(Webley Fosbery) 38 口径「オートマチック・リボルバー」1901 年。シリンダー・銃身を含む機関部がフレームの上で前後にスライドするようになっており、発射時の反動を利用してこれを駆動しシリンダー回転・ハンマーコックを行うものです。
    解説 http://hem.bredband.net/b102212/wbystory.html
    画像 http://hem.bredband.net/b102212/wby_pics.html
    「オートマチック速射性とリボルバーの信頼性を兼ね備えた理想の銃」と宣伝されたようですが、実態は両者の欠点ばかり兼ね備えた中途半端な代物だったらしく、早々に市場から撤退しています。
    ささき

  5. 『変わった構造等を持つ拳銃』ということなら、それこそ叩けばいくらでも出てきます(笑)。

     とりあえずわしからは以下の2つ。機構もユニークなら使う弾もユニークという代物です。

    *ダーディック
     1956年にデビッド・ダーディックが開発した拳銃。リボルバーともオートともつかない妙な構造の銃です。
     この銃の特徴は、樹脂製の三角柱形の薬莢内に弾頭と発射薬&雷管を内蔵した専用弾を使う点です。銃本体はグリップに15発装填の弾倉を内蔵したオートっぽい外観ですが、シリンダー形薬室(前から見ると『放射線注意』のマークのような形をしている)を内蔵しており、薬室は回転しながら弾倉から三角形の弾を拾い上げていき、撃発済の薬莢は左側面の排莢口から吐き出される仕組みです。口径は.22口径と.38口径の2種類があり、銃身を交換することでどちらの口径にも対応できます。また、ストックと長銃身を付ければカービンに転用できるようになっています。6インチ銃身を備えるM1500と、3インチ銃身を備えた小型版のM1100がありました。
     こちらも弾が特殊すぎたためか、結局消え物で終わり、コレクターズ・アイテムになっています。
     口径:.22または.38 全長:230mm 銃身長:152mm 重量:962g 装弾数:15発<M1500>

    *ジャイロジェット
     1960年代にアメリカのMBアソシエーツ社が開発した拳銃。この銃のユニークな点は、弾丸内に推進薬を詰めた無薬莢ロケット弾薬を発射することです。銃本体はアルミ軽合金によるダイキャスト製で、左右に発射時の燃焼ガスを逃がすための穴を多数開け、スムースボア(滑腔)銃身を備えています。言ってみれば、拳銃の形をしたロケット・ランチャーのようなものです。弾丸は口径13mm、長さ35.5mmのラウンドノーズ(丸頭)風で、後部に雷管と斜め孔の噴射口(弾丸を推進&回転を与えるためのもの)を開けています。トリガーを引くと、弾丸前方に配されたハンマーが上がって弾丸の頭を叩き、弾丸は後方の撃針に当たって撃発、ハンマーを押し倒しながら前進して発射される仕組みです。
     軽量且つシンプルな構造で、構造的にロケット・ランチャーと同じなので反動も少ない、排莢動作もなく、発射音も小さいと、いいことずくめに見えるジャイロジェット・ピストルでしたが、ロケット弾薬の悲しさで、近距離だと弾速が低くて威力不足、弾速が安定してくると今度は弾道が定まらなくなって命中精度が低下、ついでに推進薬量が元々少ないので、300mも飛べば推進力がなくなってしまうという致命的な欠点がありました。また、特殊な銃&弾なので当然値段も高価でした。
     サイレンサー銃の候補として注目されたりもしたジャイロジェットですが、何度改良を加えてもロケット弾薬の欠点だけは克服することができず、結局消え物で終わることになりました。主に拳銃タイプが作られましたが、長い銃身とスコープを追加して木製ストックに埋め込んだカービン・タイプも作られました。現在はかなりのコレクターズ・アイテムになっていると聞きます。
     口径:13mm 全長:242mm 銃身長:207mm 重量:550g 装弾数:5発

    >4
     イタリアのマテバ社が、2006Mリボルバーをモデルにオートマチック・リボルバーを開発したようです(前に誉さんがここで書いていた)。来月のGun誌で床井雅美氏が特集するようなので、どんな代物か楽しみにしています。
    ブラック・タロン

  6. >4、5
    オートマチックリボルバーで、あまり名前があがってこないスペインZulaica社の.22口径オートマチックリボルバー。マテバ社、ウェブリー&フォスベリーの外見がリボルバーっぽいのに比べて、Zulaicaはオート寄りなカンジを受けます。.22口径でちゃんと作動するのか心配ですが・・。



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