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1170 拳銃についての質問です。
ハンマーにはリングハンマーやスピードハンマーなどの種類がありますが、どのようなタイプがあるのでしょうか。またその特性、そのタイプが採用される理由についても教えてください。
町田玲彦

  1. 私の知る範囲でお答えしますと…。

     通常の形式は「スパー・ハンマー(Supr Hammer)」と呼ばれており、形状から「バード・ヘッド(Bird Head)」と呼ばれることもあります。スパー・ハンマーは最も基本的な形状で、加工が楽で実用的ですが抜き射ちのとき服などに引っ掛かりやすい欠点があります。
     同じスパー・ハンマーでも、コルト・パイソンのような高級リボルバーだと指掛け部が平べったく加工されており、これを「ワイド・ハンマー」と称することもあるようです。これは見かけの高級感とシングル・アクション射撃時の操作性向上を狙ったものですが、少なくともコンバット・シューティングの世界ではダブル・アクションが基本なので無用の長物呼ばわりされているようです。

     指かけ部を丸く加工し穴を開けた「リング・ハンマー」はヨーロッパのオートマチックによく見られるものですが、どういうメリットがあるのか今一つわかりません。穴が開いているのはハンマーの動きをスムーズにするための軽量化ではないかと思うのですが…。スパー形式より引っ掛かりにくいので隠蔽携帯に向くだろうことは想像できます。

     スピードハンマーというのが何を指すのかよくわかりませんが、卵形や楕円形の大きな穴を開けたシューティングマッチ用のオートマチックに見られるタイプのことでしょうか?あれは円滑な操作性と高い作動速度(=軽量であること)を総合して生まれた形状だと思います。加工に手間がかかる高価なパーツですし、ギリギリの厚さしか持たない指かけ部はぶつけたり落としたりすると変形しそうですけど。

     ダブルアクション専用の銃ではスパー部を切り落としてしまった「スパーレス・ハンマー」も見られ、これは携帯性(=引っ掛かりにくさ)を最大に重視したものです。DAオートの場合は事故のもとになりやすいシングルアクション・コックを防ぐ意味もあるようです。

     更に携帯性を追求する場合はハンマーを機関部に埋めこんでしまい、外部から一切操作できない内装式もあります。

    ささき

  2. 私の友人がファニング用にスパーが垂直に立ったハンマーをSAAに付けていました。
    私はチェッカーを削り取っただけのハンマーを付けていましたが、手のひらが傷だらけになってしまいました。
    特注品や自前のカスタムパーツには分類のできない変わったものもあります。
    Jabo

  3. 質問者の町田です。
    スピードハンマーはささきさんの仰った通りのものです。
    軽量化、携帯性、コスト等によってハンマーが異なるようですね。
    回答ありがとうございました。

    町田玲彦

  4. では、私が回答いたしましょう。
    1.リンク゛ハンマーの理由---これと似た質問が、1975年頃のGUN誌 読者応答室で有り、
      銃器研究家 岩堂憲人氏の回答は、下記の通りでした。要約

      ”ハンマーに中空部を設ける事により、ハンマーがファイアリングピン&フレームを打撃した時の衝撃による、
      ハンマーの振動を防止、或いは、吸収する。”


      又、私の銃の師匠である、とある方は下記の通り、同様趣旨を申しておりました。
      ”無垢の鉄棒を手で持ち、何かに向かって叩いた時の棒の振動と、同一重量の中空パイプ(当然外径は無垢より大となる)
      を手にもち、同様に叩いた時のパイプ振動を比較した場合、後者の方が低レベルである。
      振動が有ると、ファイアリングピンの動きやタイミングに悪影響をおよぼしかねない。”
      これは、材料力学を勉強なさった方なら、ハハ~ンと解って頂けると思います。


    さて、理屈はこの様に存在するのですが、実際面では、>1.ささき氏の解説に、ほぼ同様に、
      ・大型自動けん銃の場合は、攻撃的使用方法より、手動コッキング、デコッキング操作が多々有る為、
       スパーハンマー タイプになります。 (SPUR=ニワトリの”けづめ”形状より由来)
      ・中、小型自動けん銃の場合は、ポケット等に入れ、とっさに抜き出す事が多い為、引っかかり防止を重要視し、
       リングハンマー タイプになります。

    が!しかし、世の中色々と有りまして、
      ・ブローニングHPや、トカレフTT33は、軍用にもかかわらず、リング(状)ハンマー。
      ・モーゼルHsC や、SIG230は、中型にもかかわらず、スパーハンマー。
      ・M1911A1ガバメントは、スパーハンマー。なのに 短小型コマンダーは、リングハンマー。
      と、結局は、そのメーカー、設計者、の好みのデザインで製造されているのが現実です。

    2.ファニング用にスパーが垂直に立ったハンマー
      これは、形状より、 確か”HORN(角)HAMMER”と言ったかと思います。

    3.その他-1
      ハンマーは軽ければ良いという物では、有りません。 どの様な、動作、向きでも確実に雷管を発火させる
      打撃力が出る様に、ハンマー重量とハンマースプリングの強弱のバランスを色々考えます。
      ハンドガン全般&ハンマー内蔵式のセミオートマチックライフルも含めて、ハンマーの形状が頭でっかちな形なのは、
      回転軸よりハンマー重心位置を出来るだけ離し、回転モーメント力(慣性力)を極力大とする為です。
      (難しい工業力学は忘れました。)

    4.その他-2
      昔(戦前ぐらいかな?)は、ハンマー(撃鉄)が外部に露出している銃全般を ”HAMMER・GUN”、
      日本語では、撃鉄の形より”有鶏頭銃”(ゆうけいとうじゅう)と言っていた時代が有りました。
      旧式の水平2連散弾銃や、ほとんどの自動式、回転式 けん銃が これに該当します。

    以上 長文になりましたが、このHPを見たガンフリークは、長年の疑問が解けたかと思います。

    軌跡の発動機?誉

  5. > ”ハンマーに中空部を設ける事により、ハンマーがファイアリングピン&フレームを打撃した時の衝撃による、ハンマーの振動を防止、或いは、吸収する。”
    長年の疑問が氷解いたしました!ありがとうございます m(_ _)m
    ゴミレスですが、銀玉鉄砲のハンマーリングに紐を通して首から下げていた記憶があります(笑)。銃に引き金以外の可動部分があるなど思ってもいなかった純真な頃であります。
    ささき

  6. >4
     コルト・ガバメントはM1991A1を除く全モデルをリング・ハンマーにしたと記憶しています。そーいえば、ガバのリング・ハンマー採用モデルは、フレーム後端のグリップ・セフティの出っ張りがハンマーに干渉しないよう、出っ張りを少し削ってますね。

     ここでハンマー形状についての余談。ワルサーPP系はリング・ハンマーを採用していますが、スライド後端にピン型のローディング・インジケーター(薬室に弾が入っているかどうかを示す表示器)を組み込んでいるため、ハンマー上部にインジケーターのピンが通るための溝を切ってあります。ただし、.22LR口径のモデルは構造上ローディング・インジケーターがなかったはずなので、ハンマーに溝はなかったように思うのですが・・・(うろ覚え)
    ブラック・タロン

  7. >5.ハンマーリングに紐を通して~
    私が、レスをインプットしているのを横目で見ていた我が女房も、同様な事を言いました。
     「紐を通して ぶら下げるんじゃなかったの!!」
    女房の考えでは、そうしてから、懐中時計の様にポケットにしのばせるのだそうです。
    そうか!!主婦の知恵は偉大。吊環(ランヤードリング)という部品なんか、不要になんだ!!

    ~?誉


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